表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/603

~ダンジョンコア~

~ダンジョンコア~


 サハギンロード。


 ある程度レベルを上げてから戦う相手だ。まず、手下にサハギン3体が手前にいる。そしてその奥から長槍で突き、水魔法の「ウォーターガン」での攻撃をしてくるのだ。


 攻略は手下2体を倒し、1体は放置。そして、その間にサハギンロードを攻撃するのだが、このサハギンロードの面倒なところは盾を持っていて一切攻撃をせずに様子を見る時間帯があるのだ。だからタイムアタックには向かない相手である。


 なんですよ。それを5分で倒せとか言われました。しかも今ボス部屋に入っているのは私だけ。ちょっと意味不明なんですけれど。しかも、十人衆とかすっごい応援してくれてるのはうれしいんですけれど、その奥に冷静に監視しているアンが怖い。


 アンの横にターメリックが立っている。いや、ちょっとこの状況おかしいですよねとか進言してくれてもいいんじゃないんですか?


 というわけで始まりました。サハギンロードとの戦いです。開始早々にまず2対のサハギンを倒しました。


 右側だけ残しているのは、ここにサハギンが残っていると、サハギンロードが槍を使いにくいから。ちゃんと考えていますよ。


 まあ、レベル1のサハギンなので一撃で倒せます。というか、時間制限がなかったらここでサハギン倒しながらレベルアップをしたかったのに。もう。


 奥からサハギンロードがウォーターガンをガンガン打ってきます。ガンだけにガンガンとかマジでやめてください。そういうの求めてませんから。


 仕方が無い。さっきアイルがしていたみたいに壁に向かってダッシュをしてみた。


 ってか、途中まで良い感じだったけれどやはり重力には逆らえない。


 そうそう、重力に魂を縛られているんだよ。


 って、ここで失敗した風になったら特訓が待っている。だから壁を蹴ってそのまま重力とともに私はサハギンロードに切りかかった。


 重力、斬撃の力、私の体重を乗せての攻撃。いえ、太ってませんからね。


 最近、特訓、食事の繰り返しなので体つきがちょっと変わってきたのは自覚してますけれど、まだ大丈夫なはずです。


 ていうか、私よりステータスも高く筋肉量も多いはずのアイルがスタイルいいのが納得いかない。


 あれはやっぱり倒すべき敵なのかもしれない。高く険しい敵だ。あの胸もそうだ。高く険しい。もいでやろうかしら。


 そんな雑念もいっぱい詰まった一撃だけれどサハギンロードの頸椎あたりを強撃できた。いえ、巨人相手に攻撃するにはここだとか思ったわけじゃないですよ。でも、ここって色々と神経がある場所だから傷つくと影響大きいじゃなですか。


 地面に降り立つと、怒り狂ったサハギンロードが力任せに槍を振り回してくる。地面に転がりながら回避して、次は右足首に切りかかる。


 かなりの大打撃を与えられた。だって、ものすごく血が出ていて、膝を付いている。丁度いいところに胸が見えた。剣を少し横に向け心臓を目指して一突きする。ろっ骨を避けるために剣を横にしたのだ。


 サハギンロードはそのまま光の粒上にかわり勝利できたことがわかった。あ、その間に残りのサハギンは一撃で倒しました。5分もかからずに勝利できたのは幸運だった。


「まあ、及第点ですね。壁走りは特訓に追加しましょう。できていませんでしたし」


 マジですか。誤魔化せていなかったらしい。ニュートンさんもびっくりですよ。重力無視して壁走るなんて。


 というわけで、ダンジョンの奥に進む。私を押しのけるようにルークセニヤ公爵が前に出てきた。


「おぉ、これがダンジョンコアですかぁ。美しいぃ。これさえあればひと財産築けますねぇ」


「ご安心を。ダンジョンコアは我らが王への献上品ですので」


 ターメリックがすぐにダンジョンコアを回収する。確かにダンジョンコアがあれば領地運営はかなり楽になる。


 だって、ダンジョンで倒したモンスターは金貨かアイテムを絶対にドロップする。そしてダンジョンコアを破壊する、持ち出さない限り延々にモンスターは何度でも復活する。


 このサハギンロードだってそうだ。こいつは青水晶のランスという水魔法が付与された槍や魚鱗の盾とかも落とす。


 また、魔石を落とすことだってあるのだ。ダンジョンコアは置かれた場所によってモンスターの種類やレベルがかわる。


 そして、設置期間が長ければ長いほどダンジョンは拡張していくし、階層も増えていく。そのかわりに定期的にモンスターを間引く、もしくは入り口を封鎖するなど行う必要がある。


 つまり金を生み出すが管理も必要なのだ。それだけの受け入れ体制がある領土ならどこでも欲しいアイテムだ。


 え?ドカーケ領はどうかだって?いつだって人手不足のドカーケ領に多くの冒険者を受け入れる体制はありません。宿屋とか商店だって足りませんしね。


「わ、わかっているとも、ちょっとダンジョンコアというものを見たかっただけだからねぇ」


 明らかに何かしてきそうだ。だが、ターメリックがこう言って来た。


「我々が所持しているアイテムボックスは王都でも中身が取り出せるものだ。先ほどからダンジョン産のものは収納した分はすぐに回収されているのでこのダンジョンコアもすぐに王都で調査が入るでしょう。今回はご協力ありがとうございました」


 ターメリックはそう言って頭を下げた。そういうアイテムボックスもあるんだ。


「ならば、王都には早めに報告に行った方がいいですねぇ。今日中に旅立てそうですかねぇ?」


 流石に戦った後だから少し休みが欲しい。私はロイを見て、ルースを見た。あまり疲れた様子はない。まあ、実際レベルアップのためのようなものだったしね。


「わかりました。一旦戻り午後には出立できるようにいたします。ターメリック殿もそれでよろしいですか?」


 断ってほしかったけれど「異存ない」とターメリックに言われてしまったのでどうしようもなかった。アンからは「実際戦争とかだと強行軍なんて当たり前ですからその予行練習と思う方がいいと思います」と言われた。


 いや、戦争とかしたくないですしね。それに、そんなイベントなかったし。


 あ、そう言えば、この世界観で別タイトルの戦争モノのゲームもあったなぁ。私やってないから詳しく知らないや。


 でも、確かこのロンベルト王国よりもうちょっと遠い国がモデルだったはず。もっと東の方の国のはずで、食糧とか武器とか色々なものを買う先の一つにロンベルト王国が出て来るはずなんだよね。


 時系列が良くわからないから時代が一緒かはわからないけれど。時期が被っていると嫌だな。


 まず、ユーフィリアと合流するために港町リムドに向かった。街の入り口にあった設営場所はすでにかたずけられており、馬車が数台ときれいに整列した人が迎えてくれていた。


「「「おかえりなさいお嬢様」」」


 見事に90度に腰を曲げてお辞儀をする6名がそこにいた。6名の一番端は満面の笑顔のユーフィリアがたっていた。90度に腰を曲げた人たちを見る。一人は身なりの良い30代くらいの男性と女性、後は3名の子どもたちだ。


「ん?君は確かムドー商会の番頭じゃなかったのかなぁ?」


 ルークセニヤ公爵が身なりのよい男性に顔を近づけて話している。身なりのよい男性が言う。


「我が名は『メドフェス』。私はキールお嬢様に絶対の忠誠を誓うものであります」


 両手を後ろに組み、顔を上にあげて叫んでいる。軍隊みたいな状態だ。なんだか十人衆が優しい目で『メドフェス』を見ている。


「メドフェスねぇ。そういう事ですかぁ」


「ええ、昨日の夜は何もないよい日でした。ですよね。ルークセニヤ公爵」


 ユーフィリアが笑顔でそう言っている。だが、私の目にはユーフィリアの背に羅刹悪鬼が見える。それともう一つ。やたらと殺気を感じる。


「そ、そうですねぇ。ええ、そうですともぉ」


 汗を流しながらルークセニヤ公爵がそう言った。


「では、準備もできているようですからこのまま移動しましょうか」

「いや、待ってくれぇ。護衛兵の準備がまだできておらぬのだぁ」


 ルークセニヤ公爵はそう言って来た。今回ルークセニヤ公爵は2名の護衛だけ連れてきていた。


 まあ、ルークセニヤ公爵の計画だと私たちが怪我をするか、攫われるはずだったのだと思う。だから、ちょっと様子を見に来て日を改める予定だったのだろう。けれど、そのまま現地に行き、速攻で解決をしてしまったのだ。


「そうですね。王都への報告は我々で行いますので問題ありません。それにルークセニヤ公爵としてはネムール教のことも気になっているかと思います。そちらを解決されてから王への報告されるのがよいかと思います」


 ターメリックはそう言って馬車に乗り込んだ。


「後から合流されることをお待ちしていますね。それでは」


 私もそう言って流れでターメリックが乗った馬車に乗り込んだ。流れでターメリックの副官とユーフィリアが馬車に乗り込み馬車は進んでいった。



 しばらく馬車が進でからターメリックが外を見ながらこう言って来た。


「キールは学園に居た時と比べると別人だな。学園にいた時は僕に対して何のメリットもない人物としか思っていなかった。評価を改めよう」


 まあ、実際に中身変わっていますしね。だが、ターメリックが私を怪訝な表情で見ている。というか、変な生き物を見るような目だ。どうにかしなきゃ。


「過分な評価ありがとうございます。学園にいた時の私は自分の役割に徹しておりました。今も同じです。与えられた役割に徹しております」


 誤魔化せたかな。


「それのどこにメリットがあるのだ?まあ、新商品といい、今回といい君は面白いな。今度もっと話しがしたい。このロンベルト王国の利益になることについてな」


 あれ?この『今度もっと話しがしたい。このロンベルト王国の利益になることについてな』って、ターメリックの攻略がうまく行ってある程度信愛度があがると言われるセリフだ。


 まずい、私はターメリックを攻略する気はないの。わかって。


「そうですね。そういう機会があればぜひ。でも、私はこの後ドカーケ領に戻り領地運営を行わないといけませんので」


 これで回避できたかな。ターメリックなんか攻略したらカチュアとの仲が怖い。クルル商会とのパイプは領地運営には絶対に必須なんだから。


「そうだな。では休みが出来たらドカーケ領に行こう。そう言えば、新しく道路を開拓していると聞いたが、グルニクル侯爵には話しをしているのだろうな?」


 言われて忘れていたことを思い出した。あのスティーブがこういう機微なことをすると思えない。


 グルニクル侯爵。『剣と魔法のストーレンラブ』に出て来る『速』担当だ。攻略対象は、ガラ・リース・グルニクル。そして、その婚約者はサラ・リーン・グルニクルだ。


 この二人は男女の双子なのだ。しかも一卵性双生児。見た目はそっくりだけれど、髪型が違うのだ。ガラは短髪。サラは長髪を編み込みまとめているが見た目は短髪に見える。黄色の髪に青い瞳。二人とも背が低くよく似ているのだ。


 近親婚も一夫多妻制も認められている世界。だからこそ、あり得る設定なのだが、この二人の父親は道路公団のトップでもあり、商会とのつながりも深い。


「・・・忘れてました」


「やっぱりそうか。噂にはなっていたが、ガラが企画書を見ていないといっていたからな。それで、いつから工事を開始する予定だ。さすがにもう工事を始めていたらどうしようもないぞ」


 道路や橋などは国防に関わって来る。だから勝手に開発ができない。ゲームの設定であったはずなのに忘れていた。


 ただ、運がよかったと思った。これからの季節は冬。そして、ドカーケ領では冬は結構な積雪がある。けれど、若干は木を伐り開拓も進めている。やばい。誤魔化さなきゃ。


「本格的な工事は春以降です。今は切り開く森の調査をしたり、土魔法が出来るものを集めたりしている段階です。すぐに企画書を作って提出します」


 社会人をしていた時に企画書は何回も作成をさせられた。一枚にまとめること。無駄を省くこと。決裁者が判断できるように作ることだ。


「ユーフィリア、紙とペンを用意して。今作って後で届けてもらうから。今日中に手紙を出せるように準備しておいて」


 私はそれから馬車の中でガラ・リース・グルニクルに向けた手紙と、企画書を作成した。途中、ターメリックが企画書を見て「わかりやすい企画書だな」と言って来た。当たり前でしょ。どれだけ企画書を作って怒られてきたと思っているのよ。


 次の街に着くまでに手紙と企画書ができたので王都に早馬で送ってもらった。まさか、あの企画書があんな事になるなんて思っていなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ