新作発表会と〈祈り〉の香水。4
ロイド・フォン・ユースルン
兄は、生徒会会計で3年生のジルベルト・フォン・ユースルン
会計さんの弟という事は、彼もあざと可愛い系?
早くお会いしたいわ!
同学年、同クラスなら絡み放題じゃない。
やはり、入学式と昨日はお休みしていたらしい。
テストは事前に受けてたんですって。
「入学式もお休みだなんて、体調を崩されているのかしら?」
「貴方って、何にもご存知ないのね(大丈夫かしら)」
エリザベスに呆れられてしまった。
挽回せねば。
しっかりゴマすらないと、断罪の成功率が上がってしまうわ!
彼女が調べた証拠が断罪のポイントの1つだもの。
「シルヴィア様は、そのままで良いと思いますわ」
「アンネ様っ(マイエンジェル♡)」
「甘やかしてはいけませんわ、アンネさん(伯爵家の貴方がどうして、仲が良いんですの!)」
アンネさん呼びだと。
私はまだ様呼びなのに。
ずるいわ、エリザベス!
「大丈夫ですわ。困ったら私とエリザベス様が教えて差し上げれば良いのです。今みたいに」
「そう、ですわね。教える……私が。
こほん、彼は具合が悪いわけではありません。
一種の天才ですわ。(貴方と同じで)
発明家として成功されているから、研究のために引きこもってらっしゃるのよ。
それに、第二夫人の子供だから爵位を継ぐ事もありませんし」
パワーワード多いな。
発明家に第二夫人の子供。
またドロドロ系かしら、ローレヌ家だけでお腹いっぱいよ。
「まあ、そうですの。お兄様のジルベルト様は、何も仰いませんの?」
「言わないでしょうね。仲が良くて有名ですもの。
ロイド様の発明を積極的に手伝っているそうですわ」
仲良いんだ。それは何より。
という事は、可愛い系兄弟のツーショットも拝めるって事ね!
「お会いしてみたいわ。いつ頃いらっしゃるのかしら」
「「えっ⁉︎ 」」
「え? 」
何、私また変な事言った?
「シルヴィア様。
ロイド様が有名なのは、それだけではありません。
性格が少々、かなり変わった方だそうです!」
ぎゅっと瞳をつぶって話すマイエンジェルの可愛さよ。
私この数時間で何回、マイエンジェルって言ったのかしら。
可愛さが止まらないわ!
「どれくらい変わってらっしゃるの? 」
「ジルベルト様以外、関わらないレベルで、ですわ」
oh〜、そうとう捻くれているとみた。
やっぱり関わるのやめよ。
「まあ、それは……大変ですわね」
2日後
「魔法学Aクラスを受け持つ、ラディアンじゃ。
去年まで宮廷魔術師をしておったから、実践的な魔法も教えられよう」
めっちゃ、お爺さん先生きた。
癒しオーラが出てるわ。
「君達は知っているだろうが、初日だからのぉ。
まずは基本知識のおさらいじゃ。
属性から始めよう―――」
魔法の属性は8種類
1人、1・2属性が基本で、稀に3属性がいる。
火属性;火を操る事に特化した魔法
四大魔法の1つ。騎士・軍人や冒険者が多い。
水属性;水を操る事に特化した魔法
四大魔法の1つ。騎士・軍人や冒険者が多い。
土属性;土を操る事に特化した魔法
四大魔法の1つ。職人や芸術家が多い。
風属性;風を操る事に特化した魔法
四大魔法の1つ。医療従事者や芸術家が多い。
氷属性;氷を操る事に特化した魔法
四大魔法に比べると人口が少なく、魔力が高い傾向にある。騎士・軍人が多い。
緑属性;植物を操る事に特化した魔法
四大魔法に比べると人口が少ない。属性名は【緑の一族】からとった。薬剤師や農家が多い。
光属性;浄化・癒しを操る事に特化した魔法
非常に珍しく、魔力操作に優れている。
ほとんどが教会に属する。
闇属性;破壊・感情(洗脳)を操る事に特化した魔法
非常に珍しく、魔力が膨大な為、暴走しやすい。
不明(嫌忌されないよう隠す事が多い)
ちなみに私は緑属性と水属性。
緑属性の人はみんな【緑の一族】ってわけじゃないのよ。そもそも生きている【緑の一族】はヴェルトハイムだけだもの。
エリオットが氷属性と水属性。
リアムとマリエラは風属性。
ニーナは火属性。
お父様は緑属性と氷属性。
お母様は風属性と土属性。
お兄様は緑属性と火属性と土属性。
ヒロインは光属性。
こんな感じかしら。
ラディアン先生のような宮廷魔術師は、
各属性のほんの一握りの人がなれる上位職。
宮廷魔術師 0.1%
宮廷魔導師 3%
宮廷魔導士 7%
受けてもコレぐらいしか、受からないのよね。
「さて、今日は初級魔法を安定化させるための練習をして終わろうかの。
各自、掌、又はテーブルの上で得意な初級魔法をブレずに安定させた状態で20分保ちなさい。成功した者は、授業を終えて良いぞ」
困ったわ、植物がないと緑属性は使えない。
水属性でいっか。苦手なわけではないし。
手のひらの上で、小さなウォーターボウルを作って形を維持させる。
このまま20分か、少し疲れるわね。
集中しないと歪んじゃうから。
「(ふむ。ヴェルトハイム家とメディス家は流石じゃな。安定しておる。2人は問題なかろう。
しかし、1位のユースルン家が居ないのは残念じゃのう。座学で満点の実力者じゃし、実技も期待しておったんじゃが……
ワシ、寂しい)」
10分経つと、徐々に維持出来ない生徒が増えてきた。
初歩的な魔法もやり方を変えれば、大変なのね。
うん、勉強になったわ。
あまり攻撃魔法は得意じゃないから、いざと言う時のために精度を磨かなきゃ。
とりあえず夜盗に殺されるフラグはへし折ってやりたいわ。
「(なんですの、あの執事。無、ですわ。
顔もそうですけど、あんなに涼しげに維持出来るものですの? ムカつきますわ)」
お、リアムも集中してるわね。
せっかく同じクラスなんだから、同じ席に座れば良かったのに。遠慮しちゃって。
「まだ20分経っていないが、今から呼ばれた者は自由時間にして良いぞ。
ヴェルトハイム、メディス、――、―――、―――、リアム、―――――以上、良くやった」
ラッキー♪
いつか授業で大きな魔法も取り扱うのかしら。
家では誰も教えてくれないから、やってみたいのよね。
よく漫画とかにある、大爆発とか地面がえぐれるやつとか!1回は絶対に、やっておきたいわ。
「(お嬢様がまた変な笑い方をされてる。
どうか巻き込まれませんように)」
―――ガラガラ
「遅れてすみません、ロイドです」
「「「(今っ⁈ )」」」
「ほっほ。あと10分で授業は終わりじゃぞ、ユースルン。まあ良い、好きな所に座って周りの真似をしなさい」
彼が、発明家のロイド?
めっちゃ眠そうですけど。
え、何でコッチ来るの。
「シルヴィア・フォン・ヴェルトハイム」
「はい? 」
「となり、いい? 」
まあね、自慢じゃないけど、両隣居ないからね。
エリザベスは取り巻き達に囲まれているのに………
「え、え。どうぞ」
憐れに思われたの? 私。
「どうも。オレ、ロイド・フォン・ユースルン。
君が同学年だと今朝聞いて、学校来たんだ」
知らなければサボるつもりだった、と。
緩いな、君。
「まあ、そうですの。
今は初級魔法を安定させる授業をしていますわよ」
「見たら分かる。君は終わったんだろう。魔力操作も上手なんだね」
さいですか。
「《ブロック》」
へぇ、土属性なんだ。
すごい安定感。さすがは1位なだけはあるわね。
そういえば、7人の騎士の中に居たわね。
マッドサイエンティストの呼び声高い、天才発明家が。土属性、風属性、氷属性の3属性持ちで、生活能力皆無の変人。
そうよ、ちょうど彼みたいに絡み辛くて、気怠気というか、眠そうな顔がデフォルメの―――
「お上手ですわ。ちなみに他にも使えますの? 」
「んー。使えるよー、風と氷。1番は土だけど」
アウトーーーっ‼︎‼︎
攻略対象がクラスメイトですって!
早急に対策を練らないと。
しかもマッドサイエンティストの発明家といえば、
全ルート、シルヴィア死亡よ。
トゥルーエンド;発明品の暴発に巻き込まれ死亡
ノーマルエンド; 〃
バッドエンド;魔力暴走に巻き込まれ死亡
救いがない!
エリオットの婚約解消に暗雲が立ち込める今は、
全て潰しておかないと。
ランドルフに恩を売った後は、彼ね。
彼の性格の歪みを矯正しつつ、生活能力を上げさせて、健全な発明に打ち込めるように正すのよ!
「シルは緑と水だよね。調べた」
調べた‼︎
しかも初対面であだ名呼び!
「よ、よくご存知で。
ひょっとして私にご興味が?……なんて。おほほ」
「興味がないのに調べるわけないでしょ」
「ごもっともで(ゲーム開始前から殺す気? ヤバイわ、この子。物理的に危ない)」
「――よし、今日はここまでじゃ。
成績上位者の集まりなだけあって、皆筋が良い。
だが、実技には不慣れな者もおるようだからな、
遅刻したユースルンにでも聞くと良い。ほっほっほ」
「何でオレが他人の練習なんかに・・・シル助けて」
「嫌ですわ……あら、失礼。
私忙しいんですの(貴方の対策を練るためにね!)」
「えー、シルとオレの仲なのにー」
もうヤダ、帰りたい。
お読み頂き有難うございます!
なんと、メガネのテンプルが明け方4時に折れました。
マスキングテープで巻いたせいで見辛いです。羊