新作発表会と〈祈り〉の香水。3
「ロベルトさん、お久しぶり」
ヴェルトハイム領内の1番賑わいのある街より、
少し奥まった場所に『シルヴィー化粧品』の本店がある。
今日は、本店兼事務所のココでコンセプトやデザインの最終決定を行う予定だ。
「シルヴィア様、突然香水を追加するなんて、
どういう事ですか?
発注の関係もありますし」
怒ってらっしゃる。
5年前の予約会では、あんなにおどおどしていたのに。
今や敏腕社長顔負けのオーラよ。
もう会頭譲ろうかな……学校始まったし。
「ごめんなさい、急遽ローレヌ公爵夫人を招く事になったから、差し上げようと思って。テヘッ? 」
「(お嬢様、それはマズいです)」
「ローレヌって、宰相の? 」
「ええ」
「テヘッ、っじゃないでしょう‼︎
このおバカさんっ‼︎ 」
あのっ、私一応会頭。というか公爵家令嬢、しかも中1。
「何ですか、その目は。何か文句でも?」
「いえっ、ありません。申し訳ありません」
リアム〜〜っ!ヘルプミー!
「(はあ)まあまあ、落ち着いて下さい。
たしかに急ではありましたが、ローレヌ公爵夫人をお呼びすれば、絶大な宣伝効果が得られるはずです。
夫人ともなれば、頼まれても断る方が多いでしょうに……『シルヴィー化粧品』は選ばれたのです。
それも、対外的な発表会でなく、内輪向けの小さな発表会である、今回を。
これをチャンスと呼ばず、何と呼ぶのですか? 」
カッコイイ!素晴らしいわ、リアム!
パーフェクトな演説?よ!
間の感じもバッチリよ!
君こそ宣伝部長に相応しい!
「お嬢様?(ギロ)」
「あ、はい。すみません。訂正します、宣伝会長ですわね、会長。おほほ」
「はあっ(せっかくフォローしてやったのに)」
「ふむ、なるほど。私が浅はかだったようですね。
失礼致しました、シルヴィア様」
「「(納得したんだ。それで)」」
「こほん、良いのよ。
ではコンセプトとデザインの最終チェックをしましょうか――――」
〈ローズ〉女性らしさと華やかさを演出
3種のローズを中心に、ベリーやお花を混ぜた品のある香り。
〈ピオニア〉ピュアな可憐さを演出
ピオニーを中心に、白系のお花でまとめた香り。
〈シトラス〉瑞々しさ、エネルギッシュさを演出
柑橘系を中心に、ウッディで爽やかな香り。
〈オリエンタル〉エキゾチック&ミステリアスを演出
独特な甘さに加え、スパイシーさとスモーキーさが絶妙なバランスの香り。
〈ハーバル〉心を解きほぐす癒しの空間を演出
リラックス効果の高いハーブを中心に、シトラス、フローラルを加えた香り。
「――どれも女性受けしそうな香りですね。
〈シトラス〉と〈ハーバル〉は男性でも使えそうです。
にしても、このリラックス効果すごいですね〜。
常に持ち歩きたいくらいです。
こちらを夫人用にプレゼントされるのですか? 」
〈祈り〉効果で浄化作用バツグンですからね。ええ。
「コレは夫人用ですけど、今後同じ香りで作りますわ。
ですから2ヶ月後の発売には4種、3ヶ月後ぐらいには5種展開にするつもりよ」
そのまま売ったらマズいもんね。
誰に目を付けられる事やら。
おー、こわ。
「容器のデザインは宜しいですか?」
「構わないわ」
ずいぶんシンプルな瓶になってしまうけど、
今の技術じゃ仕方ない。
ガラス工房にも参入しようかしら。
ガラスペン作りたいし。
というか、ボールペン欲しい。
「―――それじゃあ、次は来週の発表会に会いましょう。当日早めに来て、チェックするからよろしく」
「む。遅かったではないか、娘、小僧」
わーぉ、お出迎えがオーベロン様なんて豪華。
マリエラとニーナが震えてるじゃない。
「それはお待たせして申し訳ありません。
ところで、オーベロン様はいつ頃までコチラに?」
「ん? そうだな。しばらくは世話になるぞ」
だから、しばらくっていつまでよ。
「我が飽きるまでだ、娘」
えっ、心読めるの?
「フッ、さあな」
えっ、嘘!そういうのもアリなの、この世界!
「お嬢様、全部口に出てます」
「え゛、あらそうなの。そう、、、失礼」
「さて娘!我が魔法を教えてやろう。
昨日のでは安定せんからな、我に任せるが良い」
大丈夫です。そんな力求めてません。
私の死亡率上がるかもしれないんで。
あ、引っ張らないで、ねぇ、私休みたいんだけど。
翌朝
「お嬢様、入りますよーーっ⁈ 」
「お゛はよう、リアム」
「すごい……くまですね」
夕食後もみっちり練習したからね。
私の睡眠時間が奪われる由々しき事態よ。
まだ成長期なんだけど、私。
「支度手伝います。
トマスさんに頼んで夕食は、和食にしてもらいましょう」
「ありがとう」
「はい、昨日は皆さんお疲れ様でした。
基本はクラスごとの授業ですが、魔法学と算術学、経営学はクラス入り乱れての学力順なので、
明日廊下に張り出すので、自分のクラスを確認して下さいね」
張り出されるなら、もっと真面目に解いたのにっ。くっ。
「では、授業を始めます。
初代アキラ・ファン・ベーヴェルンによって建国された、ベーヴェルン王国は―――――」
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――――――
―――
「シルヴィア様、もう張り出されている様ですわ。
一緒に見にいきましょう!」
マイエンジェルに連れられて廊下に出ると、
見に来た生徒で溢れていた。
「困りましたわ、コレでは見えませんね」
――――ザッッ
「・・・・へっ? 」
モーゼの奇跡の様に人垣が割れたんですが。何事?
「あら、シルヴィア様。見に行かれませんの?
せっかく皆様が、貴方のために道を開けたのに」
「エリザベス様………」
私の小さな呟きに反応したの?
そんなに、私怖かったのかしら。
もしかして、悪役令嬢のポテンシャル発揮してるの?
「ほら、何を呆けてらっしゃるの。
行きますわよ、上から見ていった方が早いですわ。
ああ、ほら。やはり上からでしたわね。どの教科も」
エリザベスに促されて確認すると、たしかに上だった。
【魔法学】Aクラス 上位20名
1位 ロイド・フォン・ユースルン(貴族科)
2位 シルヴィア・フォン・ヴェルトハイム(貴族科)
3位 エリザベス・フォン・メディス(貴族科)
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13位 リアム(執事科)
【算術学】Aクラス
1位 ベリアム・トスティ(執事科)
2位 リアム(執事科)
3位 シルヴィア・フォン・ヴェルトハイム(貴族科)
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6位 エリザベス・フォン・メディス(貴族科)
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19位 アンネ・フォン・ランド(貴族科)
【経営学】Aクラス
1位 シルヴィア・フォン・ヴェルトハイム(貴族科)
2位 ロイド・フォン・ユースルン(貴族科)
3位 リアム(執事科)
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8位 ベリアム・トスティ(執事科)
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14位 エリザベス・フォン・メディス(貴族科)
リアムすごいわ!貴族科を抑えて全て上位よ!
ベリアム・トスティって、トスティ商会の人からしら。
何でそんな有名な商家の子供が執事科に⁇
あと、ロイド・フォン・ユースルンって、どっかで聞き覚えが。
あっ、会計と同じ家名だわ。
それでかしら。ロイド、ロイドねぇ。
あら?初日も昨日もそんな子、クラスに居たかしら。
そんな優秀な学生なら注目されても良いはずだけど。
「さすがはシルヴィア様ですわね。全てTOP3だなんて。まさか貴方の執事にまで負けるとは思いませんでしたけど。
大変ですわよ、彼」
10数名の貴族を抑えて、平民のリアムが上位に居るのは、面白くないでしょうね。
ヴェルトハイムの名前が、どこまで盾になるかが問題だわ。
「私の大事な執事ですから、守ってみせますわ。
エリザベス様、ご心配頂きありがとうございます」
エリザベスって意外と良い子みたい。
もっとキツい子かと思ってた、ごめんよ。
「いっいえ、私は心配なんて///
次は勝ちますわ!(執事に勝たないとシルヴィア様は認めて下さらないもの)」
「ええ、私も頑張りますわ(負けず嫌いなのは、みたまんまか)」
「ところで、エリザベス様とアンネ様は、
ロイド・フォン・ユースルン様をご存知? 」
「「ご存知ありませんの⁈ 」」
「え゛? 」
やだ、有名な方なの?




