-96- 勘違い
うっかり勘違いしたことで、後日、大恥を掻いたり、損をしたりする。こうした早とちりをする人は、どうも物事を重く考えられない人が多いようだ。だからトラウマになったり神経衰弱、ノイローゼには縁遠いから安心だともいえる。^^
竹輪は社内で早とちり名人の異名を持つ軽い社員だった。過去にもこんなことがあった。課長と同じ課内のOL梅岡がにこやかに話しているのを遠目に見て、「あの二人はいい仲なんだぜ」と他の社員達に吹聴して回り、二人から黄色い目で見られたのだ。ただ二人は話が弾んでいただけだったのである。だがそれがきっかけとなり、二人が本当にいい仲になったのだから強ち竹輪の軽さも馬鹿にならない。そして今日も竹輪が吹聴しまくっている。
「ここだけの話だから、誰にも言うなよ。課長の娘と副社長が出来てるらしい…」
「ええっ!? それ本当かよっ!」
「シィ~~っ! 余り大きな声を出すなっ!」
「分かった分かった。…それにしてもどこからの情報だ?」
「俺の情報さ…」
確かに竹輪の情報は正しかったが、副社長と課長の娘ではなく副社長の娘と課長が出来ていたのである。まあ、出来ていたことには間違いない訳だが、竹輪は、またしてもうっかりした勘違いをしたのだった。
こんな口の軽いうっかり社員、あなたはどう思われますか?^^
完




