-46- 睡蓮(スイレン)桶(おけ)
睡蓮桶の水は、程々で交換した方がいい。ただ、交換するときは中の水の状態を確認した方がいいようだ。オタマジャクシが泳いでいる場合があるからである。これは、うっかりと水を交換した失敗談のお話である。
『そろそろ換えた方がいいな…』
睡蓮桶がアオミドロで濁ったのと蚊のボウフラが増えたのを見て、間抜は考えるでなく、そう思った。睡蓮に勢いがないのを見て、睡蓮鉢の土を変えたのは数日前のことだった。そのとき、オタマジャクシが泳いでいる姿に気づいた間抜だったが、水を交換しよう…とまでは思わなかった。ところが、今日、ふとそう思ってしまったのである。思わせる魔が刺す心は怖い。^^
さて、そう思えば一刻も早く交換しないと気が済まない汲山だったから、さっそく作業に取りかかった。
『長靴の方がいいな…』
この発想まではよかったのだ。ただ、作業を急ぎ過ぎたばかりに、水の状態、正確に言えば水の中で泳いでいたオタマジャクシのことを忘れてしまっていたのである。結果、水の中のオタマジャクシは、…とまあ、哀悼を捧げるようなこととなる。^^
『しまった!!』
睡蓮桶の水をすべて汲み出し、植木にやってしまってから気づいた間抜だったが、あとの祭りとなった。その後、睡蓮桶に付着したアオミドロを擦り落として洗い、奇麗な水に取り換えて作業は終了した。ただ、間抜の心にうっかりミスった思いが残り、達成感までは湧かなかった。
このように物事をし終えたとしても、その過程でうっかりミスが生じれば、達成感は潰え、湧かなくなる・・というお話でした。^^
完




