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45/100

-45- 予定

 重要案件の予定をうっかり忘れた原川は、さて、どうしたものか…と思い悩んでいた。必死に思い出そうとするのだが、焦れば焦るほど浮かんでこない。原川が予定を忘れたのは、ひょんな出来事からだった。それまでは忘れまい…と頭の中で念じていたから、忘れるはずがなかった。それが、である。

『原川さん、副部長代理がお呼びです…』

 課長補佐代理の川原のデスクに内線連絡が入ったのは、昼の休憩時間の少し前だった。川原はこのとき、今日はA定食にしようか、いやいやB定食にするか…と涎(よだれ)を口一杯に溜めながら真剣に考えていた矢先だったから、ギクッ! とした。恰(あたか)も個々の中を見透かされた感覚になったのである。原川はこの瞬間、重要案件の予定を忘れてしまったのだった。忘れたことに原川はこの時、気づいてはいなかった。

「副部長代理、お呼びでしょうか?」

「ああ、原川君か…。実はアノ件なんだがね」

「えっ!? アノ件と申されますと…」

「ははは…嫌だな。君が課長補佐に昇格する一件だよ」

「はあ、それが何か…」

「来週には辞令が下りるだろうから、その心づもりで…」

「はい、分かりました…」

「まあ、君の努力が部長代理補佐に認められたということだな。よかったじやないか」

「はい、有難うございます」

「ところで、副部長から聞いたと思うが、重要案件の予定についてなんだがね…」

 このとき、原川は重要案件の予定が何だったのか? を、すっかり忘れたことに気づいたのである。

 その後、原川がその重要案件を思い出したのか? まで、私は知らない。

 重要な予定はメモ書きしておいた方が無難ですね。^^


                   完

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