-44- 渋滞
行楽を楽しもう…と家族で出かけ、道の渋滞に巻き込まれることはよくある。毎年のことだからよく分かってはいたが、逆巻は、やはりいつものパターンで渋滞に巻き込まれていた。よくよく考えれば来年はどうしよう…とかの対応策を考えればいいのである。逆巻本人はいいとしても、迷惑を被るのは家族である。
「またか…」
「…」「…」「…」
車内の妻と子供二人は、逆巻の愚痴ともいえない呟きに、呆れて言葉も出なかった。
「この感じだと、今年は早く解消しそうだな…。あと三十分くらいか…」
「…」「…」「…」
逆巻の言葉を無視し、子供二人はスマホでゲームを、妻は本をバッグから取り出して読み始めた。逆巻の読みは正確だった。渋滞は三十分足らずで解消し、遅いながらも車列は動き出したのである。逆巻としては自分の予想が当たったものだから気分の悪かろうはずがない。
「はっはっはっ…なっ!」
大きく呵った逆巻を一瞬、見つめ、よく呵うよ…、よく呵えるわね…というような顔を三人はした。
このように、うっかりしたとも言えない確実に起きる事象は、事前の対応策が求められる。
前日の深夜に出発すればいかがですか? 坂巻さん。^^
完




