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異世界を征く兄妹 ―異能力者は竜と対峙する―  作者: 四方
第四章:未だ遠き再会の日
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第五十九話:暗雲立ち込める=不吉フラグは、相手にとっても一緒だろう<雨よ降れ>

 すいません、今回は短いです。

 今回完成させられず、書ききれなかった分は明日に回します。明日はその分増量となりますので、どうかお許しください。


 side;ノエル

 「はい?」


 カオルお兄さんが、考えが顔に出やすい人なんだってことが何となーく分かってきた今日この頃。

 そんな今の私には、妙に楽しそうな笑顔で彼が告げた“仕上げ”っていうものが、私には想像できないようなぶっ飛んだ何かなんだろうなあってことが予想できた。


 冒険者たちの叫び声や竜の咆哮、剣と魔法が竜の体を穿つ音と苦悶に身をよじる竜が地を叩く音が耳に届く、とある大木の枝の上。

 先ほどまで、竜と冒険者たちの戦いを鳥の視点から傍観していたカオルお兄さんが、私に笑顔を見せながら言葉を続けた。


「なに。ちょっと、日本じゃ使えなかった戦術兵器を試してみるだけだ。こんな機会でもなければ役に立たなかっただろう代物だが、発動すれば、あの“竜モドキ”も倒せる」

「えっと、良くわからないんですけど、そんなものがあるならなんで今まで使わなかったんですか?」

 

 出し惜しみする理由なんて、ないはずだよね?

 カオルお兄さんは、かっこつけのために取れる手段を絞って戦うような人じゃ……ないよね? そうだよね?


「使わなかったんじゃない、使えなかったんだ。そこがあの兵器が失敗作たる所以でもあるんだが――ってどうした、その不安、というか悲しそうな眼は?」

「な、何でもないっ! ええと、それって隊長に危険はないんですよね?」


 ごめんね、カオルお兄さん。一瞬だったけど、変な勘繰りしちゃったよぉ……。

 後で謝ろう。……これくらいのことなら、叱られないよね?


「ああ、普通に発動して適切な処置の上で使えば、敵にしか被害を与えない」

「ん~、それなら、やってもいいですよ」

「ありがとう――じゃあ、行くぞ!!」

「ええっ!? せめて、今から何やるかくらい教えてくださ――ひゃあっ!」


 気づくと、私は枝から勢いよく飛び降りたカオルさんの腕の中に抱かれていた。


「おっと、すまない。今から行かないと“タイミング”が合いそうになかったんだ」

「女の子の体に触る時は、前もって一言うものだよおっ! そんなんじゃ恋人さんに振られちゃうよ!?」

「うぐっ……!」

 

 あれ? お兄さんが滅茶苦茶ショックを受けてるみたい。そんなに「ユムナさん」のことが好きなんだ。いいなあ、少し二人が羨ましい。


「……次から、善処する」


 うん。頑張ってね、カオルお兄さん。


 そのまま直下の別の枝に足をつけて、適度にしならせることで勢いをつけ、別の木の枝に飛び移ったお兄さん。

 適度に高度を下げたところで、地面に足をつけ、疾駆を始める。

 地面は戦いの余波で派手に揺れてるはずなのに、お兄さんの手の中にいる私は大して揺れを感じない。こういうところは気遣えるんだから、言動にももうちょっと気を配れば良いのになあ。


「さて、いい具合に雲が出てきたな。さっき竜が使った風魔法で上昇気流が生じたのもプラス要因になったようだ」


 暗雲立ち込める、お世辞にも良い天候とは言えない空を見上げながら、満足そうにうんうんと頷くお兄さん。

 何に満足しているかは分からないけど、……これだけは聞いておきたいな。


「ねえ、カオ……隊長っ! どうやってあの大きな魔物を倒すんですか?」

「ん? ああ、もうため口でも構わないぞ。この魔物との戦いは、お前の『責任』の範囲に含まれないことは確認しただろう? つまり、お前はもう『俺の部下』じゃない。それと、倒す方法だが――、」


 ええっ! ちょっと待って!


「そんな、恐れ多いですっ! ――って、ああっ! 遮っちゃってすいません! 続けてください!」

「恐れ多いも何も……。っと、説明するより、見た方が早いな。今から、あれを使うんだ」

「“あれ”?」


 カオルお兄さんの指し示す先を目線で追っていく。

 その先にあったのは――


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