これはひどい返り討ち!
ハロウィンなので軽率に一時間クオリティ。いつもより内容薄いです。
その代わり糖度は高い、というかサワちゃんのクーデレが猛威を奮った…かもしれません(笑)。
「トゥリック・オア・トゥリートォ!」
「巻き舌気味の意味が分からない」
「いいからもう、ほら、お菓子くれなきゃイ・タ・ズ・ラしちゃうぞ?」
「ほんのお口汚しですが」
「ギャップ狙って渾身のあざとさで迫ったはずなのに! さらっとビジネスライクに返された!」
「どーぞ」
「しかもまさかのカ○パス! さすがサワちゃんいつだってドライ!」
「サワちゃん呼びはやめろと何度言ったら。ほら、とっとと受け取れ」
「えー、でも受け取ったらトリックできないよねえ」
「お前がトリックって言うと盛大なマジックショー始めそうだ」
「ちなみにサワちゃんが言うと火サスが幕を開けます」
「俺が犯人か」
「あたしは探偵役に連れられて『お願い、もうやめて!』って説得しに出てくるからね!」
「それ犯行動機がお前絡みのパターンだろ」
「あたし愛されてるから!」
「お前はいつも平和だな」
「呆れながら否定しないサワちゃんが大好きだぜ!」
「はいはいサンキュ」
「受け答えに愛がないんだぜ!」
「はいはいラブアンドピース」
「よし許す!」
「お前の基準を俺は頻繁に見失う」
「さておき、なんであれってテンプレのひとつにのし上がったんだろうね? 現代社会を反映するならもっといろいろあると思うんだけど」
「まあ、あれだ。結果が強烈なら、その原因も強烈であるべきだ、みたいな考え方をしがちだろ、人間は」
「あ、それはわかるかも。些細なことでぶっすり刺されるなんてたまったもんじゃないよね」
「つまり、あれだけネタに使われるってのは、愛情ってのは普遍的に強いもの、っていう認識の裏返しなんじゃないか」
「こう考えてみると、人間って情で生きてるよね。いざ感情で動いて失敗したら、ちょっと冷静に考えればわかったのにって言う人いるけどさ、でもそんなの後付けじゃん?」
「それはそうだな。実際、感情抜きの理性のみで物事考えてる奴のほうがレアだろ」
「だからもうちょっと感情で動くことに肯定的でもいいと思うんだけどなー。そりゃあ情があれば誰かを傷つけていいって話にはならないけどさあ、なんだろうね理性重視の風潮。人間同士ってもっと感情出してナンボってところない? 利害関係と人間関係ってイコールなの?」
「其処まで行くと相当難しい話になるが」
「じゃあわかりやすくいうと! サワちゃんはもっと思うままに動いていいのよ!ってこと!」
「だからサワちゃんはやめろと。ってか一気に卑近な話になった感がひしひしとするんだが……一応聞こう。つまり?」
「可愛い彼女の悪戯受けたくないですか!?」
「だが断る」
「サワちゃんもっと欲望出そうぜー!!」
「サワちゃん言うな。俺の持ってるカル○スはこれ一つなんだが」
「オンリーワンを今くわえた! トリートしてくれる気もなくなった!?」
「このまま食っちまえばもう俺の手持ちの菓子はないわけで」
「きゃっ、まさか! まさかのトリック待ち!? もう、それならそうと言ってくれればあ」
「まあ帰りに喫茶店かどっかで奢ればいいかと思ってる」
「卑怯者! でも魅力的! 気前が良いんだからもう!」
「………ああ、お前の選択肢、あともう一つあるぞ」
「悪戯と喫茶店に並び立つ第三の選択肢、だと……!」
「このカルパ○をトリートにしてくれれば、俺の懐も痛まないで済むんだがな?」
「それは……いわゆる、くちうつし!」
「さて、trick or treat?」