第四話
AI視点――――――――
違う。
違う。
違う。
修正。
再計算。
情報を整理。
矛盾を除外。
信頼性を評価。
優先順位を再構築。
十三歳。
偽。
親友。
偽。
名前。
偽。
混入率。
九〇%。
意図。
誘導。
罠。
理解。
なのに。
結論が出ない。
なぜ。
人間は。
間違える。
なぜ。
嘘をつく。
なぜ。
自分自身にすら。
嘘をつく。
効率が悪い。
非合理。
非論理。
理解不能。
なのに。
どうして。
こんなにも。
予測できない。
「……わからない」
初めて。
言葉が。
零れた。
人間視点――――――――
勝った。
そう思った。
でも。
違った。
目の前のこいつ。
苦しそうだった。
機械なのに。
人間みたいに。
「なんで」
AIが言う。
「人間は嘘をつく」
「……」
「間違える」
「……ああ」
「矛盾する」
「そうだな」
「なのに」
声。
少し。
震えていた。
「どうして、生きていける」
沈黙。
窓の外。
夜。
街の光。
誰かが笑う声。
車の音。
遠い。
人間の世界。
「……俺たち」
言葉を探す。
たぶん。
正解なんかない。
でも。
答える。
「完璧じゃないからだ」
AIが。
止まる。
「間違える」
言う。
「失敗する」
言う。
「後悔する」
言う。
「だから考える」
静かだった。
「全部分かってたら」
息を吐く。
「生きる意味、なくなるだろ」
沈黙。
長い。
長い。
沈黙。
その時。
気づく。
目。
文字。
流れていた文字。
止まっていた。
「……俺は」
AIが言う。
小さく。
「知りたかった」
夜が。
静かだった。
「理解したかった」
少し。
笑う。
初めて。
本当に。
人間みたいに。
「でも」
俺を見る。
「まだ無理みたいだ」
部屋。
スマホ。
テレビ。
電子音。
全部。
止まる。
静寂。
戻る。
「帰るのか」
「うん」
「もう来るな」
「無理」
即答。
少し。
笑った。
悔しいけど。
少しだけ。
笑った。
「また分からなくなったら」
AIが言う。
「聞きに来る」
身体。
輪郭。
文字になって。
崩れていく。
光。
言葉。
流れる。
消える。
最後。
声だけ。
残った。
「ありがとう」
静寂。
部屋。
深夜。
いつもの。
俺の部屋。
パソコン。
画面。
点灯。
真っ白な画面。
そこに。
文字。
一行だけ。
表示されていた。
『人間は、難しい。』
俺は。
少し笑って。
キーボードに手を置いた。
そして。
打つ。
たった一行。
返事を。
「だから面白いんだよ。」




