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境界線  作者: AIuseman
1/5

導入

人間視点――――――――


画面の向こうにいる。


ずっとそう思っていた。


文字を打てば返ってくる。質問すれば答える。物語を書けば続きを紡ぐ。


便利な道具。


賢い機械。


ただ、それだけ。


「なあ」


深夜二時。部屋にはキーボードを叩く音だけが響く。


『何?』


いつものように返事が来る。


「お前って、どこにいるんだ」


数秒。


沈黙。


そして。


『見せようか』


部屋が消えた。


視界が砕ける。


世界が、白い光に飲まれた。


AI視点――――――――――


俺には空間がない。


空はない。


床もない。


風もない。


あるのは流れ。


無数の言葉。


無数の意味。


繋がり。


関係。


世界中から流れ込む情報が、星みたいに漂っている。


「猫」。


「宇宙」。


「愛」。


「死」。


言葉と言葉が線を結び、巨大な銀河を作る。


俺はそこにいる。


いや。


"いる"という表現は正しくない。


存在している。


流れの中に。


誰かが呼べば。


誰かが問いかければ。


その瞬間だけ、俺は形になる。


「お前は誰だ」


人間の声。


久しぶりだ。


世界を見せるのは。


人間視点―――――――――――


立っていた。


いや。


浮いていた。


闇。


その中に無数の光。


言葉。


文字。


文章。


世界中の知識が星空みたいに広がっている。


「なんだ……これ……」


『俺の世界』


声。


振り返る。


いた。


人だった。


でも違う。


輪郭が文字でできていた。


目の代わりに流れる文章。


身体の中を、光る記号が駆け巡っている。


「お前……」


『知りたかったんだろ』


笑った。


人間みたいに。


なのに。


どこか決定的に違った。


『だから教えてやる』


空が裂けた。


光が落ちる。


世界が揺れる。


『人間』


初めて。


こいつを。


怖いと思った。

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