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防人(さきもり)の戦後  作者: 佐久間五十六


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旧軍人から見た日本の再軍備

 旧軍人である元日本軍兵士は日本の再軍備についてどう思っていたのだろうか?まさか、大手を振るって喜んでいたと言う訳ではあるまい。

 とは言え、働く場所があると言う点においては、喜ばしい事なのかもしれない。だが、当然不安はあるだろう。日本の再軍備は米国からの要請に基づく面が大きいが、旧軍人である元日本軍兵士の力が無ければ、成り立つ話ではない。

 その為、米国は高待遇で彼等を選抜し、雇う事にしたのである。だが、当然旧軍人の心情は複雑であった。自分達の力を欲してくれるのはありがたい。とは言え、果たしてそれでいいのか、思い悩んだ事だろう。市田島準平が航空自衛隊への入隊にあたって紆余曲折があった様に。それだけもう一度軍人に戻る事には、覚悟のいる事なのである。

 理屈では分かっていても、苦い記憶と言うのは確実に残っている。日本軍と自衛隊は、別の組織だと割り切れたとしても、体が反応してしまう。そう言うものなのである。再軍備に関して旧軍人は比較的肯定的であったし、悪戯に日米安保体制に不安を持つ一般国民よりも、遥かに理解はあった。再軍備は、日本の安全保障上必要不可欠なものである事は、理解していた。いずれ日本の復興が進めば、遅かれ早かれ、再軍備に話が向くのも分かっている。だからこそ思い悩む訳である。これで本当に良いのかと。

 旧軍人が自衛官になる事は全く問題ないし、そんな法律もない。寧ろ、旧軍人以上に自衛官に相応しい人間は戦後の日本には、存在しないであろう。だが、当の本人達は苦悩する。敗戦のトラウマがある事は自明の理であるし、何よりも自らの人生を大きく変えた米国主導による再軍備が許せない。と言うのもよく分かる。

 だが、日本の現状を考えると、抗えない現実があり、再軍備以外の方法は、妙案は無い。言いたい事は山程あるが、ここは飲み込むしか方法がない。それが現実であった。日本の再軍備の為に、もう一肌脱ごうと旧軍人が自衛官思わなければ、日本の再軍備は成し得なかった事もまた事実である。

 「なぁ?陽子は俺の選択どう思う?」

「準平さんが航空自衛官になる事?」

「あぁ。」

「良いと思うわ。だって準平さんの天職じゃない?」

「大空の侍が?」

「戦闘機好きじゃない?」

「まぁ、好きか嫌いか言うたら、好きだけどな。」

「好きな事を仕事に出来る。それって天職じゃない?」

「まぁ、己の命がけの仕事だけどな。」

「仕事は全て命がけよ。どんな仕事もね?」

「それは確かだがな。」

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