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防人(さきもり)の戦後  作者: 佐久間五十六


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苦悩④

 日本を取り巻く国際情勢が大きく変化してきた事は、確かである。隣国の韓国では、直ぐに朝鮮戦争が起きていたし、アジア・アフリカ地域では、独立する国が急速に増加していた。

 日本としても、これらの国際情勢に鈍感である訳にはいかない。最も庶民レベルではそんな事よりも、自分の生活を営むだけで精一杯であったが。

 第二次世界大戦後直ぐに始まった東西冷戦に日本は否応なく巻き込まれて行く事になる。無論、それがなければ"東洋の奇跡"と言われた急速な高度経済成長は無かったのだが…。戦後の日本経済は順調に右肩上がりを見せた。勿論、その影には多くの人の苦労と苦悩が伴っていた事は言うまでも無い事である。市田島準平だけが、苦悩していた訳では無いのだ。多くの日本人がどう生きたら良いのか、どういった選択が幸せになるものなのか、それらを大いに悩んだ。

 その努力の甲斐もあってか、日本は戦後7年足らずで独立を回復した。100点の解答では無かったかもしれないが、先人の努力が無ければ、順調な復興とは別物になっていた事だろう。とは言えその当時を知らない世代が、大半を占める世の中になったが、現代人も大いに参考になる、学ぶべき時代であった事は確かである。

 生きると言う事は、苦労と苦難の連続である。苦労と苦難の無い人生など有り得ない。苦しい時こそ、辛い時こそ、自分の持てる力を充分に発揮して、乗り越えられる事が、出来るか出来ないかで、その人間の人生が決定付けられる。と言っても過言ではないだろう。人それぞれ抱えている苦労と苦難に程度の差はあっても、それを乗り越える為の資質は皆等しく、平等に存在するものである。今をどう乗りきるかと言う事ばかりを考えてしまいがちだが、本当に力の使い方の上手い人間は、未来を見据えて生きている。それが重要であり、それが出来る人間はどんな苦労があっても、充分に乗り越えられる筈である。

 市田島準平も同じである。空軍たる航空自衛隊に行く事によって、自分の未来がどう変化して行くのか?そこまで考えた上での結論が入隊と言う形であったに過ぎないのだ。帝国陸軍航空隊に比べれば航空自衛隊など天国であったかも知れない。理不尽な暴力はないし、上下関係も思ったより柔らかく、そもそも、士官候補生としてスカウトされた訳だから、上司よりも部下の方が多い訳ではある。何かにつけて殴られていたあの地獄の様な下積み時代?はもう過ぎたのだからどうと言う事は無いだろうと準平は考えていた。

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