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防人(さきもり)の戦後  作者: 佐久間五十六


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招請状①

 これからは平穏な日々が過ごせる。市田島準平がそうやって腰を落ち着けた頃に、彼の運命を変える出来事が起こる。その運命の扉を開ける一通の手紙を発見したのは、市田島準平の妻陽子が発見したのである。

 「あなた?手紙が届いてるけど?ここに置いておくわね。」

 「あ?手紙?ありがとう。一体誰からだろう?」

 「その棚に置いたわ。封も切ってないし。」

 市田島準平は、恐る恐る手紙を開いた。そこには、驚きの内容が記されていた。5枚にも及ぶその中身を要訳すると、こうなる。

 「市田島準平元帝国陸軍曹長殿。現在我が国を守る力は米軍に一任されてしまっている。だが未来永劫、その状況が続く事は考えにくい。そこで、まずは我が国を自衛するに足りる戦力を整える事が、その状況を打開する為の第一歩となる。日本政府としては、市田島準平元帝国陸軍曹長の様な優秀なパイロットを一民間人として、眠らせておくのは、非常に忍びがたい。無論、新組織の立ち上げには、君以外の多くの旧軍人が参加する事になるだろう。その可能性のある者にしか、この招請状を送っていない。今回の目玉は陸海軍といった旧来の従来型の勢力に、空軍と言う新しい軍種を加えた陸海空軍の三本立てになると言う事だ。如何せん我が国は、空軍と言う軍種を独立した形で保有した事がない。だがこれからの時代は、空を制する者が戦争を制する。と考えている。市田島君の様なベテランパイロットならば良く分かっている事と思う。単刀直入に言うと、その航空自衛力を持った、新組織(航空自衛隊)の士官に市田島準平君を推薦したいと考えている。まだまだ、現役バリバリでやれる君のような人材は我が国の貴重な財産だ。どうかご検討の程を頼む。」

 差出人は、政府の省庁にはない防衛庁(仮)政務官武村仁志となっていた。市田島準平は思う。自分はもう敗戦した時に、この世界とは綺麗サッパリ手を切っている。妻も子供もいる。ようやく第二の人生を軌道に乗せた矢先の話だ。この安全で安定した生活を手放すのは忍びがたい。とは言え、心の中にはその航空自衛隊とやらに限りなく興味があるのは事実であった。

「で、なんて書いてあったの?」

「防衛庁と言う組織の航空自衛隊と言う部隊で、戦闘機のパイロットをやらないかって。」

「貴方その話受けるの?」

「まぁ、正直悪い話では無いと思う。陽子も知っているだろ?俺が特攻機のパイロットだった事。」

「また、あの時に戻るの?折角ここまで、立ち直ったのに。」

「俺の代わりなんざいくらでもいるさ。この話受けてみようと思う。」

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