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防人(さきもり)の戦後  作者: 佐久間五十六


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戦勝国の横暴①

 戦争には必ず勝者と敗者が存在する。例によっては、戦勝国のやりたいように都合の良い様にやられ放題になってしまうのが、現実である。

 第二次世界大戦の勝者の一つである米国は、その典型的な例である。やりたい放題とは言え、少し位の温情があって然るべきだが、米国は日本に対してそんなものは全く無かった。

 憲法を変え、軍隊を解散させ、財閥を解体した。我が物顔で、日本を平気で滅茶苦茶にした。流石にこれはやりすぎである。日本も黙っちゃいないが、敗者の日本に冷徹なまでに大局的視点を与えなかった。日本にとって敗戦と言うものが、ここまで尾を引く事になるとは、考えてもみなかったし、何より米国が徹底的に日本を潰しにかかってきたのは、誰も予想してはいなかった。

 まぁ、米国程の国ならば勝者として徹底的に日本を潰す位の事は雑作もない事である。だが、本来の国家間の戦争の勝者と敗者にしては、勝者の横暴が目に余る気がする。そこまで日本を米国の同盟国家にしたかったかは定かではないが、結果として日本を、米国の思惑通りの国家へと変革させる事に、成功したのは事実である。

 勝者の横暴だと分かりながら、それを防げなかったのは、単に日本人に力が足りなかったと言う様な類いのレベルの話ではない。日本人は国家存亡の混乱期にあり、よく耐えた。米国と言う国のやり方があまりにも汚なく、シビアなまでに現実的で、合理的なものであったから、それ以上反撃出来無かった。

 同じ敗戦国家のイタリアやドイツが日本程の厳しい仕打ちを受けなかった事を見ても、日本の仕打ちがシビアだった事が分かる。これを横暴と呼ばずして、日本の失敗と見なしてしまう事は間違いであろう。何よりも当事者の日本人がそれを糧に戦災や度重なる自然災害も乗り越えて来た。

 そうやって世界最大級の経済成長を遂げた。日本にとってこの占領は、大きな転機となったのだ。米国のやり方はダーティでシビアなものかもしれない。しかし、それこそが国際政治におけるパワーポリティクスの在り方であり、米国はそれを体現したまでに過ぎない。日本人にとって敗戦と占領がプラスになったのか、マイナスになったのかは、それは今後の歴史の中で証明されて行く事であろう。


それと同じ事を中国とロシアは行っている。力による現状変更を認めないとは、言葉では上手く言っているが、それを先人を切ってやっているのが、米国、ロシア、中国の3大国である。自分達より何が何でも優位には立たせない。場合によっては核兵器使用までチラつかせる。そんな酷い世界情勢になっている。

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