九話
体育館に行くと、すでにほとんどの生徒が集まっていた。ステージの上にいる人達は生徒会の連中だろうか。先生達は泣き喚いたり、暴れたりしている生徒をなだめている。ん?先生の数がかなり少ないような。そのせいか普段のうちの高校からは考えられないくらいの荒れようだ。
「みんな荒れてるな。まあこの状況じゃ仕方ないか」
「コウちゃんが冷静なんだよ」
「こんな状況で冷静なやつが一人もいないことこそ危ないだろ?他の奴らは知ったことじゃないけど、守れる人は守りたい」
「コウちゃんは、、、どこまでいってもコウちゃんだな!」
「ははっ、どういう意味だか。あ、今はその羽ペンを使うのはやめようアリナ。どういう反応をされるか分からないから」
コクっと頷くアリナ。パッと見、羽ペンはただのかんざしに見えるから大丈夫だろう。
《やぁみんな、あらかた集まってくれたようだね!この混乱と恐怖の中しっかりと集まってくれて嬉しく思うよ。ありがとう!》
気づくと、ステージの上にはズラっと生徒会が並び、二、三歩前に出た生徒会長がマイクを持っていた。ひたすら黙って前を向く生徒会。彼らとは対照的に、生徒会長はどこかにこやかだ。みんなを不安にさせないためなのだろうか。
《さて、ここに集まってない生徒達は後で僕らがどうにかしよう。この集会で、僕らから君達に聞きたいことがある》
ざわざわし始める生徒達。
《真面目にこのデスゲームのような"宴"を行うか、自衛隊や警察が来るまでここに立て籠もるか、外に出て助けを求めるか。この三つのうちどれかに手をあげてほしい》
唐突に打ち出された三つの提案。ざわめきがどんどん大きくなっていく。
ヤバイぞ。あの生徒会長は、楽しんでやがる。この提案は、悪魔の提案だ。
「コウちゃん、どうする?」
「……手を、あげるな」
「あげなくていいのか?」
「もし、真面目にやるっていう方に手をあげる人が八割くらいだったらそれに便乗しよう。だけど、もしバラけるようなら手をあげるな」
「コウちゃんがそういうなら……」
アリナも分かってくれたようだ。
今この体育館にはおおよそ800人ほどいる。その八割となると、目視でもなんとなく数は把握できるだろう。
《えーでは、真面目にやるっていう人は手をあげてください》
そろそろと手をあげる生徒達。なんと、半分以上が手をあげた。八割を超えたのだ。普通の精神状態なら、真面目にやろうなんて思わないだろう。だが、さっきからの超常現象。そして参加権を持てずに殺された生徒達。それらのことを考えると、この宴に参加しなくてはいけないと思ってしまっても仕方がない。
視線でアリナとユウに合図して、俺らも手をあげた。
《オーケー。じゃあ次、ここに立て篭もりたいって人》
さっきよりはかなり数が少ないが、100人ちょっとくらいが手をあげた。
《はいありがとう。じゃあ最後ね、外に出たいって人》
これはそんなに手をあげなかった。物資のことを考えると、いずれは外に出なきゃいけないと思うが、今はそこが論点ではない。
《手を下げていいよ。ふぅー。困ったなぁ》
その顔は困ったように見えないが。
《まあいいや。とりあえず僕達の方針を伝えるね。ええと、僕達生徒会はこの高校の最大多数の最大幸福を望んでるんだ。でもね、話し合いの末あの神様には逆らえない、つまりこのゲームには参加せざるを得ないってことになったんだ。今君達に聞いたこの提案は、提案した時にはもう結果が決まっていたんだよ》
この言葉の真意に気づいた少数の人物、その中でも"立て籠もる"と"外に出る"、つまり宴に参加しない選択肢を選んだ生徒が何人か叫び声をあげて外に出ようとした。
《あーあー、その子達を捕まえといて。全く、人の話を最後まで聞かないなんてねぇ。で、続きなんだけど。この決まりきっていた提案をした理由は分かるよね?……二つ目と三つ目の提案に挙手した人をーー殺すってことだよ》




