25日目「捨てハイ」
日曜日。
本物の捨てハイがやって来た。
朝食の後、食器を洗いながら、そういえば食器洗い乾燥機って最近あまり使ってないなあ、と思い、
手で洗って布巾で拭いてしまえばいいんだから、いらないか、
と急に思って、シンクの上から取り外し、
ちょっと重いけど、頑張って玄関に出した。
そこからスイッチが入って、
赤ちゃん用品ってもういらなくない?2人目が出来たらまた買ったりレンタルしたらいいし、ってなって、
押入れと収納から、
ベビーカーとバウンサーと抱っこ紐とおんぶ紐とベビーチェアーとオムツ処理機とおまるを出して来て、また玄関に。
売れる物は売って来て、売れなかったものはまた平日に清掃センターに持ち込みしよう。
そうなると、
ベビー食器やマグもいらないか。
食器棚から出して袋に入れる。
きれいなので残しておいた産衣やお洋服も、女の子が生まれるとは限らないし、いいや。
きちんとたたみ直して袋に入れ入れる。
マタニティも、また買えばいいかな。
流行もあるだろうし。
ウェアとかパジャマ、腹帯、下着と、産後のコルセット、とかいろいろ。
出してみるとけっこうな量だ。
せっかくなので他にも売れるもの無いかな。
コタツとか、去年も出さなかったし、暖房つければいいんだから、いらなくない?
そう思ってコタツを運んでいると、
蒼介が飛んできて、
「コタツいるから!秋田寒いから!ちょっと待って!」
と、止められた。
廊下に積まれた荷物を見て驚愕の表情で立ちすくみ、
何故か土下座された。
「すいませんでした!もう離婚の相談には乗らないから許してください!」
えええ?
「べつに怒ってないけど?」
「いやいいからいいから。俺が悪かったから、捨てるのちょっと待って。爽子、お茶淹れるから、こっちで休んでて。」
リビングまで連れて来られてソファーに座らされた。
「あっ、もしもしー。おふくろー?オレだけど、来月から家族で秋田に住むことにしたから。あ、そう、知ってる?
それでさー、ベビー用品とか、すぐ使わない物預かって欲しいんだけど、大丈夫?オレの部屋とかで。うん、そう。今日これから運ぶからよろしくー。じゃあ、後で。」
電話を切ると、
「実家で預かってくれるって。今から行ってくる。」
と言って慌てて支度を始めた。
「今日秋田に戻るんでしょ?休んでなくて大丈夫?」と聞くと、
大丈夫大丈夫、と行って軽い荷物から運び出して行った。
何だか分からないけれど、
希和の相談に乗るのをやめてくれるようだ。
ホッとした。
ということは、
やっぱり嫌だったんだな。自分。
世間では、とか、普通は、とかは関係ない。
自分が嫌だったら、嫌だって言って良かったのかもしれない。
また我慢してしまうところだった。
自覚が無いって怖い。
それにしても、
コタツを捨てられないのは惜しかった。
じゃあ、リビングのテーブルの方を要らないか?
「コタツをテーブルにして、こっちのを売っていい?」
と、車と玄関を往復している蒼介に聞くと、
すごく困ったように、
「コタツをテーブルにしていいから、リビングのテーブルは漫画を描くのに使いなよ。」
と言ってくれた。
それ、いいなあ!
じゃあ、やっぱり鏡台とカウチソファとタンスを売るか。
全部で70万円くらいした高級家具だけど、金額じゃないよね。
また戻って来た夫に、
「赤ちゃん用品ってまた要ると思う?」と聞いたら、
またすごく慌てて、
「要る、かな。要るかも。」と言って、すぐ言い直して、
「いや、来年あたりまたぜひお願いします!」と言って笑った。
爽子も、それもいいな、と思って笑う。
笑った爽子を見て、蒼介がホッとしたような顔をするのが可笑しかった。
爽子も自分の実家に電話して、食器洗い乾燥機を要らないかどうか聞いたところ、ぜひ欲しい、と言う。
ソファーとタンスと鏡台ももらってくれることになった。
母が、「ああいう家具が欲しかったの」とすごく喜んでいた。
元の爽子の部屋を自分の部屋にするつもりらしい。
「好きな絵やバラの花を飾って優雅に暮らしたい」と言っていた。
タンスは大きいので、運搬は業者に頼むことにする。
何も捨てられなかったけど、
押入れと収納はかなりスッキリした。
見直せば他にももっと捨てられるものあると思う。
片付け隊も残り1週間。
応援し合える仲間がいるうちに、頑張ってさらに片付けたい。




