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ザセツ系主婦の片付け日記  作者: 三条まこ
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14/30

13日目「玄関脇収納」

昨夜、久しぶりに帰宅した夫といろいろ話し合った。


工場の立ち上げの為、半年間出張の予定が、予定が変わって、正式に担当者になってそのまま配属になる、と言う。


とりあえず家族と相談したい、と言って返事を保留にして来たそう。


本来は社員に転勤の拒否権は無いが、爽子も先月まで社員だったための考慮かもしれない。


単身赴任でも、一緒に来てもらってもどちらでもいいよ、と蒼介は言う。

「でも、秋田って良いところなんだよ。海は近いし、ほどほどに田舎で自然も多いのにお店も結構あって便利だし、食べ物も美味しいし」

「秋田新幹線出来て近くなったし」

「出来れば早めに一緒に来て欲しいけど、時期はいつでもいいよ。連休に1度遊びに来てみたら?」



爽子と莉音の移動は急がなくても良いみたいなので、

秋田のことをネットで調べたり、自分がどうしたいかをじっくり考えて決めたいと爽子は思った。


で、

今日は片付けの続きをしている。

「最悪」の箇所と思っていた玄関脇の収納。

片付け慣れして来たせいか、大量の物を見てもあまりダメージを受けなくなった。

全部出して、仕分けて、要るものを戻す、不要なものを排出する、というだけの作業である。


蒼介と莉音も手伝ってくれている。


「すごいね、家中きれいにしてくれて、ありがとう。」

蒼介に言われて、困惑する。

「ごめんね、今まで片付けられなくて。私の部屋とか、本当は嫌だったんじゃない?」

「そんなことないよ!」

少し考えて蒼介は続けた。

「仕事しながら妊娠したり、育児したり、大変そうだな、っていつも思ってた。うまく支えてやれなくてごめんな。」


よかった…片付け始めて。

今までの私たち家族はどこか無理してて、上の空で、どこを見ているか分からなかったけど、何かが戻ろうとしている、

爽子はそんな風に感じていた。


浮き輪、ビーチサンダル、シートなど夏物をしまい直しながら、

「今年も海に行けるといいな」と、莉音がにこにこしている。


そうだ、忙しかったけど、

夏は毎年海水浴に行った。

休みを合わせて旅行にも行った。


なんだかんだ言って、家族はいつも一緒の時間を過ごしていた。

やっぱり、離れて暮らすなんて嫌だな。

秋田、行ったことないけど、新しい環境もまた楽しいかも。


莉音が

「パパ見て見て〜!」とはしゃぎながら爽子が昔描いたマンガを見せに来た。


「わーこれ!懐かしいなあ!ママのマンガだ」

「えっ!知ってるの?」

こっそり描いていたつもりなので意外だった。

「社内報に4コマ描いてたじゃん。俺大ファンだったんだよ」

「えー⁉︎初めて聞いたよ!そんなこと。」

「ママか入社した時俺まだ横浜の事業所にいて、本社の営業に面白い子入った、ってちょっと評判だったんだよ。転勤になった時、どんな人が描いてるんだろうって気になってこっそり見に行ったりしたなあ。」


びっくりした。

上司の紹介で知ったんじゃないんだ…。

お見合いみたいなのものか、って勝手にすごくコンプレックス感じてた。


「え〜!それでそれで?」って莉音が夢中になって聞いている。


「本人もいいなあ、って思ってたんだけどなかなか機会がなくて声かけられなくて、ライバル多かったからあせって上司にお願いしたんだよ。」

「きゃー!パパって照れ屋さんなんだね!」


初耳だよ。初めて聞いたよ。

蒼介の気持ち、もしかして今までも伝えてくれていたのかもしれないけど、疑っていたから全然耳に入って来なかったよ。

もしかして、ちゃんと愛されていたのかもしれないなあ。

不安、って要らないものだね。

不安も片付けして、ちゃんと受け取って感謝して暮らしたい。


一坪の収納から、信じられない位の量の不用品が出た。

「これ、どうやって処分するの?」

「うん、明日清掃センターに運ぶんだよ。」

「そうなんだ!じゃあ、俺自分の部屋も片付けるから、それもお願いしていい?」

「いいよ。こないだなんて120キロも捨てたんだよ!片付け隊の人でトータル500キロも捨てた人もいるんだって…」

「それもネタにしてマンガ描けば?」

「うん。実は昨日からちょっと描いてみてる…。」

「そうなんだ!うん、描いたらいいよ!ママほんと才能あるし。」

そう言われると嬉しい。

資材もなくて、スケッチブックに黒ペン1本で描いてたマンガだけど、気にしてくれてた人がいたなんて…。


履歴書に「趣味・マンガを描くこと」と書いたために、頼まれて毎月載せていた四コママンガ。

社内の出来事や、話題の製品、お客様とのやり取りの中で自分が感じたことをそのまま描いただけの素朴な作品だったけど、

描くのはすごく楽しかった。


片付けながら感じたことや気づきをマンガにするのも、今すごく楽しい。


実はマンガ用に既にブログも開設した。

「ビギナー主婦・自分と出会う毎日」というタイトル。

まだこれは蒼介には内緒だ。


秋田に住んだらまたそれをネタにマンガを描こう。

楽しみになって来た。


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