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ザセツ系主婦の片付け日記  作者: 三条まこ
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10/30

9日目「発熱でお休み」

朝起きたら全身がだるく、頭もガンガンする。

熱を測ると39℃あった。


なんと起き上がって莉音を起こしてご飯を食べさせると、

爽子は同じマンションの松田さんに、熱があるので見送りは行かず、莉音だけで行かせる、とlineした。


松田さんからはすぐに返事があり、

娘さんのみおちゃんと2人で爽子の家の玄関まで迎えに来てくれた。


玄関から顔だけを出して、ありがたく莉音をお願いする。

助かった…。


家事も諦めて、とにかく横になる。


片付け隊のグループには

「熱が出てしまったので今日の片付けはお休みする予定です。」と書き込んだ。


隊長の唯子から返信がすぐに入った。

「爽子さん、ゆっくり休んでくださいね。

片付け始めると熱を出す方、実はすごく多いんです。

物が動くと自分の体の中も動くんですよね。

片付け隊では、発熱やケガを「好転反応」もしくは「邪気の排出」なんて呼んだりします。

発熱も自分の中のお片付けだと思って、充分自分を労ってあげてください。」


片付けは一旦お休み。

爽子はとにかく眠った。



インターフォンが鳴ったので、なんとか起き上がってモニターに見ると、莉音が松田さん親子と一緒に帰って来ていた。

いつの間にか帰宅時間になっていた。


「よかったら莉音ちゃんこのままうちで預かるよー。今日は習い事無い日だし。」


一瞬迷うが、お願いすることにした。


「ありがとう。いろいろごめんね。」

「いいよいいよー。ゆっくり休んでねー。」


助かった…。

なんかいろいろ、ギリギリだった気がする。


冷蔵庫に入っていた野菜ジュースとプリンを食べて、

また布団に横になる。


熱を出すのはいつ以来だろう。

莉音を産んでからは風邪を引いた記憶もない。

独身の頃は年に一度くらいは寝込んだりもしてたから、10年ぶりくらいかな。

熱を出すのも片付けだって。

そういえば、熱を出すとガン細胞も死ぬとか言うし、たまには良いのかも。


片付けを始めてまだ1週間ちょっとなのに、物も心の中もたくさん動いた。


特に辛かったのが、やっぱり服。

どうかしてたと思う。あんなに買って、捨てなくて。

大好きなのに、全然大事にしてなくて。

いろんな服をたくさん持っていたいのに、持っていることがすごく負担になっていた。


もう必要ないかな。

そんな気持ちになった。


仕事してた時の自分は、なんだか自分では無かった。自分じゃなくて、「子どものいる会社員」だった。

うまくやろうといて、毎日いっぱいいっぱいだった。


ただの、何者でもない、シンプルな自分がいい。

自分じゃ無かった頃の物はもう全部手離してもいい。


明日熱が下がったら、古着屋に買い取ってもらいに行こう。

そういえば、今朝は可燃ゴミを出すの忘れた。明日清掃センターにも行こう。


夜7時前に松田さんが莉音を連れて来てくれた。


「ありがとう。助かりました。」

「いえいえ〜、みおも楽しかったみたいだし。ご飯も食べたし、宿題も終わったよ。

それと、これママの分のおかゆ。莉音ちゃんも手伝ったんだよ〜。」

「えー!ありがとう」

「いえいえ、また困ったことがあったらいつでも頼って」

「本当にありがとう」

「じゃあ、また明日lineしてねー」


ありがとうばっかりだったな。

こんな風に近所の人に頼れるようになるなんて、今まで思いもしなかった。


莉音も「楽しかったよー♬」とニコニコしている。


おかゆをいただきながら、莉音のおしゃべりを聞いていた。


おやつを食べてwiiUをしたとか、夕ご飯はハンバーグだったとか。

おかゆは、分量を量ったり、卵を溶いたりしてくれたらしい。

莉音にも改めて

「ありがとう」とお礼を言った。


「学校の方はどう?お友だち、できた?」

「うん、まあ、ちょっとずつだけどー。みおちゃんもいるし。」


よかったー。

「今度みおちゃんにも家に遊びに来てもらおうね」

「いいの⁉︎やったー!!」


そういえば、家に莉音のお友だちを呼んだことはない。

保育園のお友だちはみんな忙しいし、お母さん同士も、会えば話すけど個人的に会ったりする程の付き合いはない。


仕事辞めて、片付けしながら、今まで取りこぼして来たことを拾って行ってるなあ。


人との付き合い、子どもとの時間。


今までよりずっと人間らしい。

まず人間に戻って、自分に戻ろう。


熱はまだありそうだけど、元気は出た。



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