団長にご挨拶
「入りなさい」
「失礼致します」
扉を閉め、お辞儀をし顔を上げる。
(おわお〜、迫力ある〜)
重厚な机に座る男の姿に、ミカエラは目を少し見開く。
騎士団長の「ギルロイド・スカーレッド」。
胸の前で手を組み、顎をのせてこちらを品定めするかのような視線を向けている男は、
まさに神話の軍神のような姿の男だった。
後ろに結われた濃いローズブロンドの髪は、ところどころが短く跳ねていて獅子のようだ。
ローズブロンドが彩る精悍な顔立ちに、頬にある大きな傷が迫力を更に増している。
エメラルドグリーンの切れ長な瞳からは、鋭い眼光が放たれている。
野生の狼のような精悍さだが、
鼻筋が通った高い鼻や、薄い唇が、王族らしい上品さがある。
肩幅も広く、厚みもある筋肉質な体は、騎士服の上からでも鍛えあげられていることが充分にわかる。
(腕が丸太みたい、すっげーー)
なんて感心する。
まさしく獅子や熊のごとき体格と、迫力に満ちた強面。
そんな軍神王弟ギルロイドの険しい表情に、
並の人間なら、ビビってチビっているところだ。
だが、何せミカエラは普通の人間ではない。
多少の緊張はありつつも、
ギルロイドの圧倒的なオーラの前に、臆することもなく向き合う。
そんなミカエラに、ギルロイドは少し驚いたような表情を浮かべるが、
すぐに書類を手に取り、読み上げる。
「ミカ・マグノリアだな。入団式で俺の顔を見てはいるだろうが、
初めまして。
俺が、騎士団の団長を務めるギルロイド・スカーレッドだ。」
「はい、初めまして、ミカ・マグノリアです。
本日から騎士団で、精一杯励んで行きたいと思います。よろしくお願い致します!」
ミカ・マグノリア、私の騎士団での偽名だ。
「うむ。・・・マグノリアか。珍しい苗字だな。」
「え?そうですか?」
「ああ、今までこの苗字の者には会ったことが無い。」
「あ〜、確かに、この苗字は珍しいかもしれないですね、」
「・・・マグノリア、君は・・・」
団長が、私の顔をジッと見つめる。
どうしたというのだろうか。
「ん?」
「・・・いや。オボン、では、騎士団に入った志望動機から話しなさい。」
「はい、僕が騎士団を志した理由はーー・・・」
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「はは、流石に緊張したなぁ、いや〜迫力あったわぁ軍神王弟様は」
「それな、」
無事、団長への挨拶も終わり、私達は食堂に来ていた。
ガヤガヤと賑やかな食堂には、騎士団の武官、文官が沢山集まっている。
「でも迫力はあるけど、何か意外と、想像よりはっていうか、見かけよりは、怖くなかったかも」
「そうか?ずーっと仏頂面だったから、イメージ通りだったぞ?」
「ふーん、」
席につき、話しながら昼食を食べていると、
カシャーン!という音と共に、「うわあ!」という慌てた声が聞こえた。
「弱い者虐めなど卑怯だぞ!」
ん?
何やら食堂の隅から、騒ぎが聞こえた。




