16/81
旅立ち
ヒショウは走っていた。
手に持っていた外套はすでに羽織っている。
雨上がりの空模様は木々に邪魔されて良くは見えない。それでも差し込む光がぬかるんだ山道をてらし、ヒショウに進むべき道を伝えた。
あの方に会いたい。
あの方に追いつきたい。
その強い思いが、ヒショウの足を動かし続けた。来た道を振り返るなんて、ましてや、足を止め休むだなんて、とても考えられなかった。
分かれ道が現れた。ヒショウは迷わずに道を選択し進んでいく。進むべき道はわかっている、ゼンがすべて教えてくれた。
――いつか、この世界のすべてを見に行こうな
ヒショウは南都への道を急いだ。ヒショウにはまだ大きすぎる外套が向かい風を受けて大きくはためいた。




