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朱雀の飛跡~ある鳥の死から孵化まで~  作者: 文張
同属とうさんくさい笑顔
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旅路

 王都からあの村まで約十日。

 その次の村までは、飲まず食わずで走って二週間。

 その村の話によると、王都まではあと二つ村を通りざっと一ヶ月はかかるようだ。

 南都は本当に大きな町らしい。王都を国の中心に位置しているとすると、そこから南下してずっと行った先の港町が南都。ヒバリの村からでもかなり長い旅路になるので、ヒショウのように命をすり減らそうとしない限りどこかの村で一度は休むはずだ。同じ道さえきちんと歩けていれば、どこかの村で会えるはず。南都にゼンがついてしまう前にはどうにかして追いつきたかった。

 前の村には、ゼンはいなかった。

 故にヒショウは今、次の村に向けて一度も休むことなく走り続けている。

 幸いにも、あの特別な力が功を奏した。本来こんなに走り続けていれば体を壊すに違いないが、力のお陰で体は元気そのものだ。

 そう考えると、少し恐ろしくも思う。もしかすると、自分が気づいていないだけで自分は何度も死んできたのかもしれない。この力があったからこそ今まではかろうじて生きてこられた。でも、この力があったからこそ手を血に染め、生きてきてしまった。

 生と死という、運命も変えかねないこの力の使い道は未だにヒショウにはわかっていなかった。喜ばしくも、恨めしくもあるこの力の危険性を、ヒショウはまだ理解していなかった。


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