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滅亡回避し栄華を手に! 名門だけど滅び歴史に埋もれた豊嶋家の嫡男に転生したので天下統一を目指します。  作者: 武雅


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越後出兵

1489年


4月初め、長尾景春率いる上野の国人衆を主体とした第五軍、6000が雪の残る三国峠を越えて越後へと進軍を開始した。


当初の予定では、三国峠を越え、湯沢辺りまで行軍しやすいよう道の整備が終わってからの予定であったが、魚沼一帯を治める上田長尾家の当主、長尾景隆(ながお かげたか)が、豊嶋家への臣従を表明したことで、越後上杉家の上杉房定(うえすぎ ふささだ)が、長尾景隆討伐の動きを見せた為、援軍として長尾景春が出陣したのだ。


長尾景隆も、落ち目の上杉家に従うより、勢いのある豊嶋家に臣従した方が良いと判断したようだ。

同族である長尾景春が実質、上野一国を任されており、豊嶋家に従い手柄を挙げれば、越後一国は無理でも、一郡や二郡は与えられるだろうとの打算もあったようで、冬の間に景春がおこなっていた調略に応じた感じだ。


残雪の残る中での陣触れとあり、越後上杉家当主、上杉房定の命の下に集まった兵は4000程ではあったが、対する長尾景隆は、堅城である坂戸城(新潟県南魚沼市)に籠城し景春の援軍が到着するまでの間、防戦の構えを見せる。


景春率いる第五軍が到着する前に、坂戸城を囲んだ上杉房定は、翌日から城攻めを開始するも、雪の残る急斜面や空堀に阻まれ城に取り付く事も出来ず、死傷者を増やして行く。


坂戸城を包囲して3日目、長尾景春率いる6000の兵が三国峠を越えたとの報を受け、上杉房定は、長尾景春との合戦を避け周辺の村々を焼き払いながら兵を引きあげて行った事で、長尾景春は乱取りをされたうえ火を放たれた村々の復興を手伝う。


「これでは何のために越後まで来たか分かりませぬな…」


坂戸城近くにある寺を仮の本陣とした長尾景春に、副将の土屋元親がため息交じりに愚痴をこぼす。


「まあ、合戦で手柄を挙げようと集まった上野の国人衆達も同様の事を言っておった」


「それで国人衆に復興の手伝いをする村々を割り当て、いち早く復興をさせた順に褒美を与えると申されたのですな。 しかも手抜きをしないよう目付まで派遣するとは」


「当たり前だ。 褒美欲しさに手抜きをされて困るのは民百姓だからな。 これでこの地の民百姓は我らへ恩義を感じるであろう。 上田長尾家の長尾景隆も臣従を申し出たとはいえ、この先どうなるかは分からぬのだ」


本来ならば、越後上杉家の兵が引き上げた時点で、長尾景春は援軍の役目を終えて上野に兵を戻すはずであったが、乱取りをされ、家屋を焼かれた村々を目にし、豊嶋家、そして長尾景春の命で村々の復興を手伝う事で、民百姓に恩を売っておこうと思い立ち、現在に至っているのだ。


「領主よりも早く、民百姓に救いの手を伸ばす…。 長尾景隆殿は景春殿の真意に気付かず好意と捉え感謝し、特に村々への手当はしていないので、我らの思うつぼ…、になれば良いですが…」


「そう簡単にはいかぬであろうな…。 だが、万が一我らと上田長尾家が争う事になれば、その槍先も鈍ろう」


そう言うと、景春は地図を覗き込みながら、駒を動かし始める。


「この後、上野に帰らず、軍を進めるおつもりで?」


「いや、まもなく農繁期だ、此度は暫くしたら上野に兵を引く。 今やっているのは、田植えが終わった後、再度越後へ兵を進めた際に、越後上杉家がどう動くか予想しておった。 恐らく農繁期が終われば、最大で10000は動かすであろうな。 国人衆が従えばだが…」


「左様でございますな。 従えば…。 なれば今は調略に注力致しましょう」


景春と共に土屋元親が、越後の地図を覗き込み、置かれた駒に印をつけていく。


現在、第五軍に課せられた命は越後の攻略だが、揚北衆を味方に引き入れるか、討ち滅ぼすかが最優先となっている。


そう越後を米処とする為には、揚北衆の存在が邪魔だからだ。


従うのであれば良いが、敵対した場合、本来の目的である越後平野の治水工事の邪魔だけでなく、米がとれるようになった後、攻め込まれる可能性もあるからだ。


「揚北衆は独立心が強いと聞きまする。 調略に乗ったとしても、その後、豊嶋家に従うかどうか…」


長尾景春と土屋元親が、誰を調略するか話しているのだが、最初に揚北衆をどうにかし、越後平野、そして佐渡を手に入れる事を最優先とされているのだから。


「ここは、上田長尾家の長尾景隆殿にも動いてもらうしかないな…」


地図を覗き込みながら長尾景春が盛大にため息をつくと、釣られるように土屋元親もため息をつき、苦笑いを浮かべた。

稚拙な文章ではございますがお読頂き誠にありがとうございます。

また誤字報告ありがとうございます。

本当に、誤字脱字、言い回し等、稚拙で申し訳ございません。


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