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滅亡回避し栄華を手に! 名門だけど滅び歴史に埋もれた豊嶋家の嫡男に転生したので天下統一を目指します。  作者: 武雅


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敗走

GWモードで本日より5/6日まで連続投稿致します。

「申し上げま~す!! 山川殿が豊嶋に寝返り多賀谷殿の兵に攻めかかったとの由に御座いまする!」


「申し上げます! 上杉顕定様、松山城へ向け兵を引いたとの由に御座いまする!!」


「申し上げます!! 江戸殿の兵が真壁殿の兵に襲い掛かり、真壁勢敗走したとの由!」


「申し上げます! 長尾忠景殿が豊嶋に寝返り、関東管領上杉顕定様が討ち取られたとの事、現在、上杉勢

が長尾勢に攻めかかっておりまする!!」


床几に腰を下ろし、次々に本陣へ駆け込む伝令の報告を聞く足利成氏は、不機嫌そうな顔をしながら傍に控える野田成朝に怒りをぶつける。


「ええぇ〜い!! 何がどうなっておるのだ! 夜襲を許したのみならず、味方同士で争っているではないか!!!! 上杉顕定は逃げたのか! 討ち取られたのか!」


「恐れながら…、情報が錯綜しており、真偽は分かりませぬが、豊嶋の夜襲と流言によりお味方が混乱し同士討ちがおこっており、この場も危のうございます。 公方様におかれましては、一旦兵を引き、入間川を渡ってから立て直しを図るべきかと…」


「余に逃げろと申すか!!!」


「豊嶋も夜襲に加え、川越城の太田勢も城から打って出ておりまする。 この場から一旦離れ、入間川の対岸より指揮を執られるのがよろしいかと」


「大軍で川越城を囲んでおきながら、城を落とす事も出来ず、豊嶋の夜襲で…」


「公方様!! お逃げ下さい! 屋敷に火が放たれましてございます! 兵が消火にあたっておりますが、火の勢い激しく、このままでは…」


「豊嶋の兵がここまで来たか!! なれば余自ら打って出て豊嶋の兵を蹴散らしてくれようぞ!!」


「公方様! お待ちくだされ!!」


成氏が床几から立ち上がると、太刀を抜き本陣を出ようとすると、慌てて野田成朝を始めとした側近が止めるも、成氏はそれを振り払うようにし大声で出陣の命を下そうとしたその時、成氏が雇った伊賀者の頭である権六が駆け込んで来た。


「公方様、 風魔衆が多数入り込み、お味方を惑わし同士討ちをさせておりまする。 某の配下で生き残っている者達で退き口を確保しておりまする故、急ぎお退きくだされ」


「権六!! 其の方も余に逃げろと申すか!!」


「恐れながら、豊嶋の兵と太田の兵がこちらに向かっておりまする。 屋敷に火を放った風魔衆は討ち取ってございますが、この場に留まれば豊嶋、太田の兵のみならず風魔衆にもお命を狙われるかと!」


「公方様、ここは権六の申す通り、この場を離れるべきと存じまする。 一旦退いて入間川対岸で軍を立て直すしかございませぬ!」


権六は成氏軍の中を駆けまわり、風魔衆と戦いながら味方の様子を見て来たのか、少なからず手傷を負っており、それを見た成氏は怒りに任せ、近くにあった燭台を太刀で斬り捨て、一旦退くよう周囲の者に命をだした。


成氏がこの場を離れるにあたり、味方が瓦解しないよう、また風魔衆に察知され途中襲われないよう、味方にも悟られぬよう、側近と供回り100人程で本陣としていた屋敷を出て、権六に先導されて入間川の対岸を目指す。


「古河公方、足利成氏殿、本陣に火を放ちご自刃!!!」


「公方様、ご自刃!! 公方様がご自刃召された!!」 


成氏が本陣を離れ暫くすると、足利軍の各所で成氏自刃の流言が飛び交い出した事で、混乱の中、右往左往し、敵味方の判別が付かず、同士討ちをしていた兵達が戦いを止め、そして成氏自刃の報が足利軍全体に広がると、一気に数万の兵が我先にと敗走を始める。


足利軍が敗走を始めたのを見て取った豊嶋軍と太田軍は、そのまま追撃を始め、背を見せ逃げる足利軍の後方に居る兵達を討ち取っていく。


「敵は逃げ出したぞ!!! 追って討ち取れ! 褒美は望むがままぞ~!!!!」


誰が言ったのかは分からないが、各所でそのような声が聞こえ、豊嶋軍が喊声を上げる度に、敗走する足利軍は恐慌状態に陥っていく。


足利軍が入間川を渡河し川越に兵を進めるにあたり事前に調べていた瀬に足利軍の兵が殺到し、対岸に逃げようと次々と水しぶきを上げながら川に足を踏み入れ渡っていく。


だが、川を渡り終えた国人衆や兵達が一息つこうとした時、川越に向かっていた急使と鉢合わせ、岩槻城の抑えとしていた兵が豊嶋、太田軍に攻められ敗走したとの報がもたらされた事で、足利軍の将兵は血の気が引いて行くのを感じ、休む間もなく慌てて常陸、下野に向けて逃げ出していく。


「岩槻の太田が豊嶋の兵と共にこっちに向かっているぞ~~!!」


どこからともなく聞こえて来た叫び声に、足利軍の将兵は更に恐慌状態となり武器を投げ出して走り出した。


■ 上杉顕定


夜襲を受け味方が混乱し、その場での立て直しが不可能であると長尾忠景より進言を受け、いち早く川越を離れ松山城へ向かっていた上杉顕定は、1000程の兵と共に入間川を渡り、坂戸に足を踏み入れた時、松山城からやって来た急使より、松山城落城の報を聞かされ、このまま松山城へ向かい、松山城を取り返し、そこで軍を立て直すか、それとも坂戸から桶川に抜け、忍城の抑えとして残して来た兵と合流するかの判断を迫られていた。


「松山城は誰に攻められたのだ!!」


「そ、それが…、長尾景春率いる兵でございまする。 援軍に来たと言い、城内に入るとそのまま城を守る兵を捕え…、某は川越に急を知らせようと…」


「景春だと!!! あ奴は日野の…、おのれ景春!! 豊嶋と通じておったか!!!」


急使として松山城から来たと言う者の話を聞いた顕定は、川越に向かう豊嶋の兵を素通りさせただけでなく、松山城を攻め落とした景春に対する怒りを家臣にぶつけていたが、再度駆け込んで来た急使の言葉を聞くと、松山へ兵を進め景春を討ち取ると言い出した。


「畏れながら、このままではこちらに向かって来ている長尾景春の兵1500と、川越に夜襲をかけた豊嶋軍に挟まれまする。 長尾景春が率いている兵は1500、我らは1000程、そのうえ多くの兵は着の身着のままで顕定様に付き従ってきた為、武具も持たぬ者もおりまする。 この場にて川越から逃げて来るお味方を集めたとしても…」


「お、おのれ景春!! 一旦桶川に抜け、忍城へ向かうぞ!! 後から逃げて来る兵達にも伝えよ!! 忍城の抑えとして残した柴崎長親達と合流して立て直すと!」


「なれば其のお役目、某が!!」


上杉顕定の命に、川越に残った長尾忠景(ながお ただかげ)の嫡男である長尾顕忠(ながお あきただ)が名乗り出て100程の兵を率い、川越に向かって行く。


「一気に忍城まで駆け抜けるのだ!! 軍を立て直して豊嶋宗泰と長尾景春の首を獲るのだ!!!」


上杉顕定は残った兵達にそう檄を飛ばすと、坂戸から桶川に向かい、忍城を目指して馬を走らせる。


松山城落城の報を持って来たのは風魔衆であり、忍城の抑えとして残した兵5000が寝返っているとも知らずに…。

稚拙な文章ではございますがお読頂き誠にありがとうございます。

また誤字報告ありがとうございます。

本当に、誤字脱字、言い回し等、稚拙で申し訳ございません。


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― 新着の感想 ―
[一言] うわぁ、壮大な裏切り詰将棋だわ。 地獄だろうな。。。
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