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滅亡回避し栄華を手に! 名門だけど滅び歴史に埋もれた豊嶋家の嫡男に転生したので天下統一を目指します。  作者: 武雅


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SS 未来の謀将へ、パクった格言を。

■1485年 某月 日野の陣 豊嶋宗泰


「殿、書状が届きましてございます。 差出人は…」


「今朝がた堺湊より船が戻って来たのであろう? なれば誰からの書状かは想像が付く、船が堺湊に向かう前に返事を認める故、明日の朝に書状を持って来たものへ俺からの返書を渡してくれ」


そう言うと、書状を届けに来た近習の者は、平伏し書状を部屋の隅にある文箱に入れて部屋を出て行く。


「さて、今回はなんと書いてあるか…」


そう独り言を呟いて、文箱より書状を取り出して、書状の中身に目を通す。

書状には、昨年、西暦で言うと1484年に居城を追われ、守護代の地位もはく奪されて以降は、自分を支持する国人衆達の元を転々としつつ、俺から送られた金で密かに守護に従う国人衆を調略に精をだしているが、最近上手くいかなくなってきており、どうしたら上手く調略が出来るのか?

と書かれており、他は近況報告のような内容だ。


う~ん、金を使い調略を仕掛けているのか…。

俺が書状と共に送っている金は100貫文。

この時代で言えば米が200石買える大金だ。

だが、不定期に送られてくる100貫文程度を有力な国人衆に渡したとしても、居城を追われ、守護代の地位を奪われた者に味方して家を窮地に陥れるような振る舞いをする国人は少ないはずだ。


確か俺よりも6歳年上で今年27歳になるはず。

俺のイメージでは調略、謀略のたぐいは類を見ない程の腕前だったんだが、実際は遅咲きだったのか?


そう思いつつ、紙と鉛筆を用意し、暫くの間、思案に暮れる。


いや、まだ若いとはいえ名将として後世に名を残す名将…、いや謀将だよ。

俺の思い付きの知識なんかを教えるとか、鼻で笑われるんじゃない?


まだ会った事も無い、この書状を書いた者の顔を想像しつつ、俺は毎回の如く大いに悩む。


「はぁ~。 とりあえず思い付いた事を書いて送るか…。 万が一これが元で討ち取られても、俺が歴史を変えているから、今更歴史が云々とかの心配なしな…」


そう呟いて紙に宛名を書き、社交辞令的な挨拶と豊嶋家の近況を軽く書いた後、本題を書き始める。


調略だけじゃダメなんだよ、調略だけじゃ。

そう、調略と謀略、これをセットにして行わないと。

調略と謀略は密に密に行わないと…。


俺が送った金は、国人衆に調略をかける際に手土産とするのではなく、その家臣を買収し、主人に対し自分の都合の良い事を吹き込ませる、または偽情報を伝えさせる為に使わないと…。

手土産に使ったら、本当に金をドブに…、いやこの時代だと厠か? に捨てるようなもんだから。


具体的にどう使うかと言うと、まずは家臣や自分を支持する国人衆の家臣を使い、守護に従う国人衆のお家事情、国人同士の力関係や係争の有無、守護や他家に対する不満などないかなど、付け入る事が出来そうな事を探す事から始める。


これは基本!


その上で、まずは力関係を見極めたうえで、係争案件を抱えている家に狙いを定めるのだ。

当然の如く調略をかけるのは力関係上、弱い方だ。

強い方は、力を笠に着て弱い方をいつでも抑え込む方が出来るが、弱い方は力で抗うよりも言葉で抗おうとするはず。

だが、守護や守護代に係争案件を訴え出て裁定を仰ごうにも、力のある国人衆の心を引き止めようとするはずだから、大体の場合、力の強い方が有利な条件の裁定が下る。


当然そのような事は分かりきっているので、守護や守護代に訴え出る事は出来ず、何とか合戦にならないよう細心の注意を払いながら抗っているはずだ。


まず調略をかけるのは、そう言った力を持つ者に圧迫されている国人衆から行う。


多少、手土産に金を持参しはするものの、調略に応じ、自分に味方した際の謝礼は、係争案件の解決、それも調略に応じた家が有利になるように決着をつける。

利権争いなら、見返りにその利権を認める事を条件にする。


まあ、それでも力関係上、そう上手くのかと疑うだろうから、自分が兵を挙げた際、最初は静観、そして一戦の後、有利となれば家を挙げて兵を出す事を約束させるのだ。


初戦を傍観しても良いと言う条件は、国人衆にとっては良い条件だ。

もっとも、初戦に率いる事が出来る兵は減るが、初戦を勝利で飾ればその後は調略に応じた国人衆が兵を挙げて味方に加わる。


そういう意味では、国人衆を味方に付ける為の初戦は、守護や守護代に従う大身の国人で、かつ近隣の国人衆に対し、力を笠に着て圧迫している者がいい。

まずは居城の奪還が先だが…。


史実でも三沢何某を攻め降伏させているので、書状には居城を奪い返したら、兵を揃え、そして鍛えて、三沢何某を攻めるのが最善だろうと認める。


これだけで良いのだ。

弱い者を調略しても、いざという時、役に立たないので大身の国人衆をと思う気持ちも分かるが、弱い国人衆を数多く調略し、初戦で大身の者を降伏させて弱い者を助ける。

これだけで大身の国人衆の圧力に耐えている者達は向うから助けて貰う為に、誼を通じようとして来るはずだ。


後は、国内で互いに遺恨を持つ家同士を争わせ、力を削ぐ事。

ここも金の使いどころだ。


どの家にも、自身の処遇に不満を持つ家臣は必ずいる。

そのような者に金をチラつかせ、また事が成就した暁には相応の禄を与える約束をして調略する。


調略をしたら、その者達を使い両家が争うように仕向ける。

これに関しては、細かい情勢が分からない俺がどうしたら良いかとは言えないので自分で考え、実行に移すしかないが、小規模な争いを頻繁に起こさせ、また、互いに無駄な小競り合いを終わらせようと送った使者を極力討ち取る。

首は相手の居城、または館近くに高札と共に晒す。


両者は互いに潔白を主張するだろうが、疑心暗鬼に襲われて一触即発の状態になる。

そこで再度小競り合いを誘発させれば、互いに兵を率いての合戦となるはずだ。

事が成就した暁に、約束を履行するしないは別の話だし。


もっとも、全て机上の空論であり、国内の情勢や国人衆の性格、力関係なども関わって来るので、正解という物は無いが、金を積んで調略をするよりはまし。


金で調略が上手くいくのは、自身が相応の力を持っており、その経済力とそれを背景にした武力を見せつけられる場合だ。


なので今書状を送って来た者がおこなっている調略はある意味間違っていると言える。


いつの日か独立し一国の主となった際は豊嶋家と同盟を結びたいと言っているし。

ここは書状と共に風魔衆を数人送ってやるか…、確かこの前、鉢屋衆を密かに通じ、味方につけたと書いてあったので、同族同士上手くやれるはずだ。

風魔衆というか風間家とは祖を同じとする一族とネットに書いてあったし。


さて、確か来年、1486年には京極氏に奪われた月山富田城を奪い返すはず。

恐らく俺が何かをしなくても史実通りに事が進めば来年には月山富田城を奪い返すはずだが…。


書状を書き終え、再度内容を見返していると、ふとある言葉が頭をよぎったので、その言葉を最後に付けたした。


(尼子経久殿、【謀多きが勝ち、少なきは負ける】この言葉を胸に刻み事に当たれば、貴殿と尼子家は繁栄をするはずである。 豊嶋武蔵守宗泰)


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[一言] うわぁ~ 尼子を謀神に成長させたのは豊島じゃないか!
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