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第3話 疾走するのは白ぱんつ

「普通にゲームの邪魔なんだけど。特に何も無いなら出てってくんない?」


立夏の蔑みの視線の先、そこには息も絶え絶えに倒れる俺の姿。


「はぁ…はぁ…ま、まって立夏…まだ…お兄ちゃんの話は…終わって…な…」


秋菜ちゃん人形のこめかみグリグリ攻撃の威力は凄まじかった。

爪立てて来た辺りガチなやつだった。


「本当にさ、ゲームの邪魔だから出てって!」


「り、立夏!違うんだ…」


生きた屍と化す俺に対し、ニーターの妹立夏は厳しい追放判決を下してきた。


「ちょ、待って! 違う、ちゃんと真面目な話が…」


「うるさいんだよ兄貴! もう出てって!」


割とゲームの邪魔をされてご立腹のご様子。

結構なキレ具合を見せている立夏。


「…お姉ちゃん、私からも話が」


「秋菜も…出てって。ゲームの邪魔…」


立夏から発せらたその言葉に、俺のこめかみに拳を当てたままシュン…っとなる秋菜。


いやまずその手退かせ。


「…なあ立夏。別に俺はお前に働けとか、外出ろとか言ってる訳じゃなくてさ」


「…いや、そうじゃくて。普通にゲームの邪魔」


そう言うと立夏はヘッドフォン型のマイクを取り出し、装着。


「ボイスチャットしながらやるの。本当邪魔だから出てって」


「…はい」


うーん…掴みが全然ダメだった。











「俺さ、立夏に話し相手になって欲しいだけ、って言ったのは割とマジなんだけどな…」


別に働けとか、外出ろとか、割と本気で思っていない。


そりゃいつかは、立夏も部屋から出てニート脱出の、仕事やら何やらが出来る未来になることを願うんだけどさ。


立夏も立夏で、何か前の職場で相当嫌な事でもあったんだろうな、と。


だってニート決込んじゃうくらいにヤられてるって事でしょ?

外に出る事を拒絶するレベルの何か。


そんなでっかいトラウマじみたものを食らったばかりに、外出ろだ働けだ言うのは酷な話だと思う。


兄であるが故の甘さかもしれないが、とりあえずは気持ちの整理がつくまでは…って。


ただ、それを待ってるだけでは時間がかかり過ぎる…そう思うから、

せめて会話くらいはして、立夏の気持ちの変化の1つのきっかけになればな…と、


「思ったから、ああ言う風に濁しはしたが言ったんだよ。他愛の無い会話で良いから、話をしようぜって」


「でもそれに気持ち悪いオプション付けまくって話したから追い出されたんでしょ?」


「ち、違うやい! それは秋菜がグリグリやるから、ゲームの邪魔になって…」


翌日、朝、通学前の家の玄関で。


俺と秋菜は身支度を整え靴を履きつつ、昨晩の反省会。


「…せっかく久々にお姉ちゃんと話す機会だったのに、本当これだからお兄ちゃんは」


「風当たりが強い」


ため息を妹に吐かれ、面目が潰れ倒壊寸前の俺はちょっと思考を切り替え、考える。


「話す機会、か…」


まだ俺の言いたい事の半分も、立夏には伝わって無いんだろうな。


と言うか、機会云々以前に話をしようと言う程なのだ。

そんなもの伺ってられるか。


しかし、まぁ…何か、話をするきっかけが欲しいな…


「話をするきっかけ…」


同じ家族相手に話をするきっかけを模索…なんて、ちょっと不思議な話なんだけど。


このままニートる妹。それをゆっくりで良いから改善の道へと促したい俺。


そんな現実。そんな構図。


これを進展させるべくして、立夏に接触をし、かつお話の相手になって頂く。


先ずに、何から…話のきっかけを…


「普通に昨日みたいに、話をしよう! なんかで行ったら多分追い返される気もするし…」


ゲームの邪魔って言われて終わり。


「…お兄ちゃん、早く行かないと遅行するよ?」


ハっと我に返ると、目前では開けた扉の先で自転車にまたがる秋菜の姿が。

チラッと玄関先の時計を見ると、もう家を出ないとマズイ時間になっていた。


「じゃ、行ってきます」


と、いつもは毒ばっかり吐く癖にこう言う挨拶みたいなものだけはしっかり言う、結構真面目な妹の秋菜。


「おう、行ってらっしゃい」


と秋菜を見送りながら、俺もいそいそと玄関を出る。


あー今日課題の提出日だ…と、少し億劫になりながら、


ふと。


自転車で走り去る秋菜の方へと目をやった。


「……ふっ。毒吐き女王もまだまだお子様だな」


目前、学校の制服のスカートの裾を自転車のサドルに引っかけ、チョロっと白パンが見えちゃってる状態で疾走して行く自転車ライダーの秋菜。


本人は気付いていないみたい。


「全く…」


可愛い妹の白いパンツを野獣どもの視線から守り抜くこと、それ即ち兄貴たる俺の役目。


とりあえずポケットからスマホを取り出しカメラ機能オン。

既に遠くに見える秋菜に向かい、カメラのピントをズームしてカシャリ。


微妙に写る白パンの写真を秋菜とのLINEに貼って、ひと言送信。


「ご馳走様でした…っと」


これは間違いなく帰ったら殺られるな、俺。


あいにく自転車疾走中はLINEの通知に気が付かないだろう。


さっさと駅に向かわねば…と、


ここで、脳裏に浮かぶは昨晩の、


赤。


「…あっ、パンツって言えば」


ビビビッと、きた。


「…血塗られたパンツだ」


立夏の鼻血で真っ赤に染まった、俺のパンツ。


「これだ!」

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