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人であるゴブリンであるが人を所望する  作者: 頑張るポチ(๑•̀ •́)و✧
第一章 人間化の法
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第六話──想定外の規格外──

なんか描写が真面目になりました。前話と変わりすぎて読みにくい方すいませんm(_ _)m

『あとでシバくかんな!』


イライラに満ちた声が洞窟全体まで響いた。空中に浮き続けている小人は知らん顔で進んでいく。


『えー?何をしたっていうんっすかー?』


イジりがいのあるものに向ける笑みによってイライラはさらに増大する。


『容赦しねぇぞ!』


『あのぅ。何が来るかわからないので静かにしてもらえますか?』


『あ、すいません』


眼鏡をかけた両側を赤いリボンで止めている少女によってしんと静まり返る。たしかによく考えればここは洞窟であり外に魔物がいた以上、中にもいるはずだ。結界を通っていれば。

洞窟に入る時、いくつかの結界が張ってあった。この結界を通れるのは簡単に言えば強い者のみ。反対に強い者なら入れる結界ということ。四人のうち回復が一、支援が一、攻撃が二という大分バランスのとれたチームであり余程のことがない限り全滅は有り得ない。


『...静かっすね』


『このまま何も無い可能性がありますね』


瘴気が多くある洞窟や遺跡には二つの種類がある。一つは対象は一体だが強大な力を持つ場合。二つ目は対象の力は弱いもののかなりの数が潜んでいる場合だ。ビルの全ての天井をくり抜いたような奥行き感満載の高さで目の前の道も暗く閉ざされているような異様な雰囲気に包まれている。いつ、どこで、何が起こるか予測もつかない洞窟において静かである場合が意外と危険である。


『────前方に敵を察知っす。距離20メール、数10...30...50...!?これはやばい展開っすね...。』


位置を特定する魔法は索敵にも向いているらしい。と、そんなことはどうでもいい、早速敵のお出ましか。


『正直言ってキリがないっす。どんどんこちらに向かってるっす』


小人、クロネルは若干冷や汗を掻いていた。確かに...?────おかしい。瘴気が強くなっているならわかるが誰かの意志で生み出しているような感覚が身体中を伝わった。


『...人がいる。皆、体力を温存しておいてください』


『了解っす。人って言われても分からないっすけど瘴気が一段と増えているやつならなんとなく』


『じゃあ先行は俺に任せな。ちと、突っ走ってくらぁ』


体力を温存と言った途端にハクは猛ダッシュし暗闇の中を突き進んでいった。...数秒後に大人数で敵を撃退するかのごとく数々の銃声が勢いを止めずに発射される。


『左!二丁拳銃・堅!。右!二丁拳銃・覇!いただきぃー!』


『もう、一人で行っちゃう癖は治んないっすね...』


見た目は同じでも出てくる弾に違いがあるという堅と覇。堅は実弾、覇は魔法弾らしい。壁を走ったり魔物の頭を蹴るなりと身軽な動きで殺していく。大量発生の魔物のうちのゴブリンらしきものが次々に肉塊と化していく。いつでも治癒ができるようにと杖を前に構えるリンさんは少し口を開けて呆然とそれを眺めていた。


『すごい...ですね』


『これならハク一人で充分っすね。まぁ、見張るだけはしますけど体力を温存しておき』


(シュッ!シュッ!)

いきなり斬撃が飛んできて思わず仰け反る。後ろを向いていたクロネルさんは少し裾をかすっただけでさすがの反射神経で辛うじて躱す。と同時に、木の枝が折れるような音がハクの持っている銃の別れとなった。


『俺の銃が割るってどういうことだよ!』


『私は遠距離からの攻撃が大嫌いでね...?君の銃に少しイラついたんだよ』


低く凛々しい声がハクの疑問に答えた。レイピアにしては少し太い刀身を持つ剣を持ち、くせ毛の目立つ栗色を仄かに揺らす。


『複数か...』


さっきの瘴気とは違って一瞬で現れた瘴気だったためまだ向こうにいる召喚者とは違う。あまり期待していなかった思考に思わず落胆した。ただ、目の前の瘴気も唯ならなかった。特に纏わり付くかのように帯びるレイピアを中心に体全体を渦巻いている。


『侵入者は容赦なく殲滅する。決してファラン様には近づけさせない』


『ファラン...?』


『知らないのに入ってきてしまったのか。死ぬ前に覚えておくといい。十魔とうまの一人風魔のファラン様だ。今はとある実験中さ。邪魔するなら容赦はしないし、まぁ今から殲滅す』


『あなたから来たんじゃないっすか?』


少々いらいらを溜め込んでいる声が眼前の男の話を遮った。口には笑みを、目は相手を見て、おでこに三つほどの怒りマーク。


『あと、死ぬ前に覚えておくといいはフラグですから死ぬのはあなたっすよ?今から殺されたいのなら僕と相手をするっすー』


『この眉目秀麗のファルク様の話を遮るとは...。なんとも失礼なガキだろうか。丁度四人だし、一対一でもいいな』


『一対零の間違いじゃないっすかー?あと、敵にあまり情報を言うのは宜しくないですし、ナルシは嫌わるっすよー?ナルシってわかります?自分のことを様付で読んでいることっすよ。あー笑えるっすー』


ニコリと笑っても表ではいらいらを醸し出しているクロネルはどうやら相当裾をかすったことをお怒りらしい。


『ここは僕に任せるっす。大丈夫っすよ。たくさん遠距離ぶちかますんで...フフフ』


((いたずら心満載だなぁ))と心のうちで思っておき二人に声をかけ先に行く。邪魔な魔物は退け、道を確保していく。


『させるか!』


『黙れこのナルシが!』


三人に向けて飛ばしてきた刃をクロネルが闇魔法で相殺する。ナルシの怒りも真骨頂のようでクロネルに全ての敵意、瘴気を向けた。クロネルは笑みは少し消えたものの勝てる気満々であったように見えた。


※※※※※※※※


『大丈夫でしょうか...』


リンさんがそっと呟いた。


『クロはああ見えて強えからな。倒れることはないだろう。そうなることがあれば少し所でもないがこの洞窟は崩れるだろう。』


『えっ、そんなに強いんですか!?』


『ああ、うん。そのうちわかるよ』


安心しきった顔のハクは速度を落とすことなく進み続ける。広い広場のようなところから狭い通り道となった今、危険度は一層増している。


『ハクさんとクロネルさんは戦ったことはあるんですか?』


『本気ではねぇが手合わせはしたことあるぜ。相性最悪でぼろ負けだったがな』


『...?』


首をかしげたので補足を入れる。


『クロは闇魔法が得意だから消しちゃうんだ。魔法弾も一応効くけど多分あの性格上というか才能があるというか魔法の規模が一つ一つ大きいんだ』


『...性格上?...才能?』


『簡単に言えば魔法の無駄遣いの度が過ぎてるってことだ。』


『...えっ、』


ドーーン!!。ドドーーン!!。ドドドーーン!!


まさに爆音が鳴り響き、リンさんも驚いていたが納得したようだ。

軽く地面も揺れているような気がする。足場が不安定になり危うく転けそうになる。


『クロの魔力の量は半端じゃないからな。あれでもあと、数百は撃てるだろう』


『そ、そんなにですか!?』


『姉もいるようだが相当なもんだとよ』


『は、はぁ...』


リンさんはさすがに度が過ぎて少し呆れた表情をとった。姉妹揃って魔力が多いのは非常に稀であり普通は片方が優秀、もう片方が一般的というケースが多々ある。クロネルのことはまだ良く知らないが姉の方も気になってくる。


『おい、ちょっと待て。人がいる』


声を潜めてハクが手でふたりを止める。目の前には長髪の女性と薄暗くて見えづらいが丸い生き物がいた。ウェーブのかかった髪におや?と言うばかりのふんわりと尖った唇で目がほぼ丸に近く大きな瞳で僕達を凝視していた。丸い生物は空気の抵抗を感じさせないように軽い足取りで彼女の頭にちょこんと居座る。


『こんだけでしたっけ?もっと居るはずなのに』


ほぼ機械音に近い、しかし感情が普通に感じられる純粋な子供のような声で刻刻と呟いた。


『いち、にぃ、さん。ちびがいない...あぁ、そうか。あのクソファルクか。さいあくー』


人差し指で数を数えた挙句仲間かどうかはわからないが愚痴をこぼした。爪をカリカリと削りながら瞳は向けられる。


『あなた達三人でもいいですけどあと、ファランさんがいるから一人の方がいいよ』


敵意が全く感じられないような瞳に思わず気を許してしまう。そういえばさっきからファランという風魔はどんなやつなのだろうか。


『あなたはファランさんと言うんですね』


先程のナルシと眼前の猫目とファランとやらの関係に疑問を抱いたリンさんはそっと口にする。


『さん付けは一階級差、様付けは二階級差だよ』


悪気もなくあっさりと答えた。さ図画にすぐ答えが返ってきたので少し驚いた表情を見せる。


『ここの石が必要だから邪魔なんだよ。さっさと戦お』


目をくりくりとさせながら用紙に合わない言葉を口にする。今のところ武装をしているようには見えないのだがあるとしたらあのふわふわ浮いている生き物だろうか。少し可愛げのある子供たちに人気になりそうな動物に見えなくもない。


『ここは俺が行く。あんたらは先に』


『は...はい!』


早くしないと何となく良くないことが起こりそうな気がする。そう直感しリンさんと一緒に奥へと進んでいった。


『銃撃戦は得意かな?』


『得意じゃないよ。でもすべて壊すからいいの』


その直後無数の巨大な槍が天井ごと破壊しながら現れた。


※※※※※※※※

格段に瘴気が強くなっている。

猫目の女性とは違う新たな瘴気。今までとは桁違いだと感じさせ肌が微かに震える。瘴気のことをよくわかっていないほどこの強さはわからない。現にリンさんは表情を崩さず前だけを見つめ走っていく。

新たな情報、あの猫目の言っていた石について、欲しがるということはそれほど希少価値があり敵対する以上は敵に渡ってはいけないもの。


『...ブースト』


急がなければ。軽めの速度上昇魔法をかけ歩幅を大きくしていく。額に汗を感じつつもその瘴気に向かって突き進む。

全く変わらない薄暗い景色から数分。それまでのとは別次元と思わせる強烈な光に目がくらみそうになった。どうにか顔を手で隠し薄目を開けて様子を見る。長年成長し続けてきた鮮やかな木の幹が並んでいた。天井は光り輝く【何か】によって見えず木々もそのものの力を得るように枝を伸ばしている。少しずつ目が慣れたところで歩ける道を確保していこうとしたその時、


『貴様らか』


低音がいくつも重なる重い声がはっきりと聞こえた。光り輝いているもの。先ほどの猫目がいった石だろうと推測するがそれに向けて魔法陣がいくつも浮かび上がっており右手でそれを操作している。目からくる威圧によって上を向いているリンさんが微かに震えた。


『邪魔をしないのなら立ち退いてもらおう』


『何が目的だ...?』


即座に言い放つ。敵の目的が定かではない以上無意味な攻撃はしない方がいい。


『貴様らはこの石を知らないのか?』


まるでその石が誰もが知っているようにいった。そんなもの全く記憶にない。あんなに光り輝いてかつ重要なもの...。


『知らないなら知らないで結構。...時間稼ぎでもするか』


すぐに話を戻した風魔は左手をこちら側に向けた。


『サモン(召喚)、ランクフォース』


魔法陣がいくつも並びそこから無数の手足が出現した。後に形を見せたのは大量の魔物。洞窟内で見たゴブリンのようなものだった。


『あれはお前のか!』


『ほぅ。なら殺したのは貴様たちだな?なら敵だ。殺れ』


命令したのは【殺れ】という二句なのに何故か魔物達の瞳には様々な感情が巡っていた。


────まずい...。


魔物達はどんどん数を増し、天井の半分を満たしていた。このままでは埋め尽くされるのも時間の問題だろう。ランクフォースとはすなわちかなりの強敵と言える。それを大量に召喚するとなれば莫大な魔力と数×力の強さがいる。軽く100匹いることから風魔はただならぬ強さを誇っている。

さらに、風魔は十魔の一人と言っていた。つまり風魔のような強さを持つものが少なくともあと九人はいる。

((これほど大規模な集団になっていたのだろうか?急に現れた可能性は少ないと考えると息を潜めるにも厳しい。こちらもなにか対策をねらなければ...))


今は剣と遠隔射撃でなんとか凌ぎきっている。押されてはいないが逆に押さえ返してもいない均衡状態を保ち、私情のことで考える。

新たに剣を生成し魔物を粉砕しにかかる。光り輝く空間の中でなおも強く光り続ける剣を見据えて遠隔射撃もセットする。


『────邪魔だ』


幾重にも重なる重音と共に鮮血が迸った。どす黒い体液をさらに風が粉砕し蒸発させ消し去る。放った剣や射撃も飲み尽くされようやく風が消えた。漆黒の風だった。何もかも残らず食いつくし破壊し無に返す虚無の風。


風魔との距離があるとはいえ重なった視線により身震いした。


『リンさん』


『...はい......?』


『死んだらすいません』


────死ぬ覚悟で戦わねばならないと悟った。



静夜VS風魔ファラン!お楽しみに!

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