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DeVource

DeVourceの訓練生として迎える、ルチエの最初の朝は――


想像していたより、ずっと早く始まった。


午前六時。


寮の部屋にアラーム音が鳴り響く。


ルチエは重いまぶたを開いた。


数秒間、天井をぼんやりと見つめる。


自分がどこにいるのかを思い出すまで、少し時間がかかった。


そして、ベッドの横に掛けられた黒い制服が目に入る。


DeVource。


「……そうだった」


ルチエは慌てて起き上がった。


今日は、他の新人たちと一緒に受ける初めての訓練日だ。


ルチエが訓練場に到着した頃には、すでに多くの人間が集まっていた。


同年代と思われる二十人ほどの少年少女が列を作っている。


緊張している者。


自信に満ちた表情を浮かべる者。


その雰囲気は様々だった。


ルチエは一番後ろの列に入る。


「なあ」


誰かが肩を軽くつついた。


ルチエが振り向く。


隣には、少し乱れた髪の少年が立っていた。


「お前も新人だよな?」


「うん」


「名前は?」


「ルチエ」


少年は笑った。


「Flinn」


ルチエは頷く。


「Vougwertzは?」


Flinnが片手を上げた。


その瞬間――


手のひらの周囲に、小さな風が渦を巻く。


「Schnell」


ルチエは興味深そうに見る。


「速度系?」


「そう」


Flinnは笑う。


「お前は?」


ルチエは少し迷った。


「Ziehen」


「Ziehen?」


Flinnが眉をひそめる。


「何だ、それ?」


ルチエは指を上げた。


空中に細い線が現れる。


その線を使い、簡単な球体を描いていく。


数秒後――


三次元の物体が手のひらの上に現れた。


Flinnは黙った。


「……なるほど」


球体をじっと見る。


「それ、かなりすごくない?」


ルチエは小さく笑った。


「そうとも限らない」


二人の会話が続こうとした、その時。


前方から足音が聞こえた。


一人の教官が訓練場へ入ってくる。


「全員、静かに!」


一瞬で空気が変わった。


参加者たちは姿勢を正す。


教官は、自分がDeVourceの訓練担当の一人であることを説明した。


「今日から、お前たちはただの一般市民ではない」


全員を見渡す。


「DeVourceの候補生だ」


準備運動を終えたあと、新人たちは本部施設へ案内された。


ルチエにとって、DeVource内部を本格的に見るのはこれが初めてだった。


想像していたよりも、はるかに大きい。


医療室。


管制室。


装備倉庫。


訓練場。


通信室。


さらに――


厳重に警備された区画まで存在していた。


ルチエは集団と一緒に廊下を歩いていく。


別の教官が、組織の仕組みについて説明を始めた。


「DeVourceは、能力を持ったVougwertzをただ集めただけの組織ではない」


彼らは大きなホールで立ち止まる。


「一つのシステムとして動いている」


正面のスクリーンに都市の地図が表示された。


いくつかの赤い点が現れる。


「WiTakersの活動が報告された場合、最初に情報を受け取るのがSecurityだ」


画面上の点が移動する。


「Securityは現場を確保し、民間人を避難させる」


さらに別の印が現れた。


「状況分析の後、必要に応じてFighter、あるいはLong Range Attackが派遣される」


続いて、支援を表す複数のアイコンが表示された。


「Supportは、現場のメンバーが任務を遂行できるよう支援する」


ルチエは少しずつ理解していった。


DeVourceは、単に強い能力者を戦わせるための組織ではない。


そこには役割がある。


仕組みがある。


そして――


連携がある。


次に案内された部屋には、四つの大きな表示が並んでいた。


FIGHTER


SUPPORT


LONG RANGE ATTACK


SECURITY


「DeVourceのメンバーには、それぞれ専門分野がある」


教官が最初の表示を指す。


Fighter


「Fighterは前線担当だ」


一人の上級メンバーが前へ出る。


そして、自らの身体能力を見せた。


「敵と直接戦う」


ルチエはGelbを思い浮かべる。


彼も、この部門なのかもしれない。


「Fighterに必要なのは戦闘能力、耐久力、そして短時間で判断を下す力だ」


次の表示へ移る。


Support


「Supportは、必ずしも戦闘を行うわけではない」


一人のメンバーが医療機器と通信装置を持って前へ出た。


「だが、Supportを重要ではないと考えるな」


背後のスクリーンを指す。


「Supportがいなければ、現場へ向かったメンバーが帰ってこられないこともある」


Supportが担当する仕事は多い。


医療。


通信。


能力分析。


装備。


そして、隊員の回復。


ルチエは、それぞれの部門が互いにつながっていることを理解し始めた。


三つ目の表示が点灯する。


Long Range Attack


「Long Range Attack」


訓練場の遠くに、一人のメンバーが立つ。


次の瞬間――


攻撃が標的へ向かって一直線に飛んだ。


「遠距離からの攻撃を担当する部門だ」


前線への火力支援。


戦場の監視。


Fighterでは届かない位置にいる敵への攻撃。


「ただし、正確な情報が必要になる」


そして最後の表示。


Security


「Securityは最初の防衛線だ」


DeVource施設の防衛。


民間人の保護。


機密情報の管理。


そして、脅威が保護区域へ侵入することを防ぐ。


教官は全員を見た。


「勘違いするな」


一人のSecurityメンバーを指す。


「Securityは弱い部門という意味じゃない」


少し間を置く。


「この本部が今も無事に立っている理由の一つが、彼らだ」


説明が終わると、全員は再び訓練場へ戻った。


そして――


最初の能力訓練が始まる。


それぞれ、自分の能力を発動するよう指示された。


ある者は炎を生み出した。


ある者は身体能力を強化した。


ある者はエネルギーのフィールドを作り出した。


そして。


ルチエの番が来た。


彼は手を上げる。


指を動かす。


空中に線が描かれ――


簡単な剣が現れた。


だが、その形はわずかに震えていた。


ルチエは必死に維持しようとする。


剣に亀裂が入る。


そして――


パキン!


具現化が消えた。


周囲の何人かが驚いた表情を見せる。


ルチエは息を整えた。


教官が彼を見る。


「お前の問題は集中力だ」


ルチエは頷く。


「Ziehenは精神状態への依存が大きい」


「迷えば――」


教官は消えた剣のあった場所を見る。


「具現化したものも迷う」


ルチエは自分の手を見る。


まだ自分の力を完全には理解できていない。


他の者たちとは違う。


炎。


速度。


水。


雷。


それぞれが、はっきりとした能力を持っている。


だがZiehenは――


何にでもなれる。


だからこそ。


ルチエには、何から始めればいいのか分からなかった。


夕方。


訓練生たちは再びホールへ集められた。


今度は、DeVourceの上層部の一人が姿を現した。


空気が一気に引き締まる。


男は全員の前に立つ。


「お前たちの中には、疑問に思っている者もいるだろう」


「なぜDeVourceが作られたのか、と」


ルチエは耳を傾ける。


「答えは単純だ」


男は全員を見渡した。


「かつて世界には、力を持つ人間そのものが恐怖の対象だった時代があった」


訓練生たちは静かに聞いている。


「DeVourceは、Vougwertzが狩られ、利用され、兵器として扱われることを防ぐために作られた」


少し間を置く。


「我々は彼らを守る」


「そして――」


「力を犯罪に使う者から、社会も守る」


ルチエの頭にWiTakersが浮かんだ。


能力を奪われた人間の姿も。


男は続ける。


「WiTakersは、すべてのVougwertzを排除すべきだと考えている」


「DeVourceは――」


「人間とVougwertzは共存できると考えている」


言葉だけなら、とても単純だった。


だがルチエには――


以前よりもずっと重く聞こえた。


なぜなら。


彼はすでに知り始めていたからだ。


この世界が――


それほど単純ではないということを。


夜。


ルチエは寮へ戻った。


Flinnはベッドに座り、手の中で何かを弄んでいる。


「明日も訓練?」


「うん」


Flinnがため息をつく。


「疲れた……」


ルチエは笑った。


そして窓の外を見る。


遠くに街の明かりが見える。


DeVourceへ入ってから初めて。


自分が何かの一部になったような感覚があった。


組織。


仲間。


そして――


もしかすると。


自分が求めている答えを与えてくれる場所。


ルチエは指を上げる。


空中に小さな線を描いた。


淡い光が現れる。


完全ではない。


少し震えている。


それでも――


今回はすぐには消えなかった。


ルチエは笑った。


「少しずつ……」


小さな具現化を見つめる。


「……できるようになればいい」


部屋の外。


廊下には、一人の人物が立っていた。


Gelb。


遠くから、その小さな光を見ている。


Gelbはわずかに笑った。


「そうだ……」


そして、そのまま背を向けて歩き去った。


ルチエは知らない。


自分がVougwertzとして歩む長い旅が――


今、ようやく本当の意味で始まったことを。

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