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宝くじ10億円でアバター救世主を請け負ったら、助けた英雄達が全員ヤンデレになってました。  作者: 無限飛行


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第8話 

カタンッ


私は倒れた玄関の写真立てを起こし、所定の位置に整えた。

それは唯一の家族揃っての全体写真。

桜母さんと弟達が一緒で珍しく親父も写った、満開の桜をバックに撮ったスナップである。

そこには笑顔溢れる皆の顔が揃っていた。





「早いものだな⋯⋯」



半年前、桜母さんは逝った。

死因は白血病。

私が高1になって1ヶ月後の事だった⋯⋯。












❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇


『⋯⋯⋯ごめんね、雄大さん、天音、ちゃん。どうか、空と尊、大を⋯⋯⋯ごほっ』

「桜!!」

「桜母さん?!」



成人急性リンパ性白血病。

生存率34〜57%

進んだ現代医療であっても発症ケースにより治療が間に合わない事が殆どである。

桜母さんの病は正にソレであった。

倒れて診断され発症から僅か3ヶ月。

あっという間の出来事だったのだ。




❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇❇




そして私にとっては空気みたいな存在の親父。

暫くショックで仕事にも行かず部屋に籠もっていたのだが、ある日保護者の役目を放棄して失踪した。

父親としてはなんとも無責任で情けない限りだが、こうして立て続けに保護者を無くした私は、未成年にして5歳児三人の弟達を抱え生活に奔走する事となったのだった。



「くよくよして過去を振り返っても始まらない。何事もポジティブで有れだ」



これは桜母さんからの受け売りだ。

桜母さんは実は養護施設の出身。

つまり天涯孤独からのスタートだった。

彼女はそれでも実力で奨学金を勝ち取り、見事Т大を卒業して大手商社に就職したのだ。

そこで最初の旦那を見つけたが、それが親父と親友だったらしい。

そして旦那の交通事故。

三つ子を抱えて旦那の突然の死別は、さすがに桜母さんも堪えたのだろう。

そこに丁度、その後の手伝いで通っていた親父が様々にサポート。

あの仕事一筋の朴念仁の何処にそんな甲斐性があったのかは知らないけど、二人の仲が急速に近づいたのは致し方無かったと思う。

こうして桜母さんと私は出会い僅か数年という短い間だったけど、血の通う親以上に彼女は私を愛してくれたのだ。



「「「あまねママー!」」」

「うん、だから天音お姉さん、な?」



だから弟達は私が守る。

今の私があるのは全て桜母さんのお陰なんだから。



❇❇❇❇❇❇❇❇

















『音⋯⋯さん⋯⋯⋯⋯』


「うーん⋯⋯⋯⋯」



『大日野 天音⋯⋯さん』

「⋯⋯ごめん、あともう少し⋯⋯⋯」



『大日野天音さん!!』

「ふぁい!?」

『ああ、やっと繋がった。私です。女神のフォルトーナです』

「あ、夢の女神さん?じゃあ、まだ夢の中なんだ。えーと私、寝てるんだよね?」

『どうして私の顔を見ると就寝中の確認になるんですか?!』

「うん、なんか、ごめん」

『あの、何だかお疲れですね?』

「分かる?寝ていい?」

『駄目です!』



そうだった。

またバイト明けで家に帰るなりバタンキュー。

あっという間に寝込んだんだった。

はあ、これも全てあの店長のせいだ。



「ふう。今日は何も考えずに寝込んでいたいんだけど」

『一体どうしたんですか?』

「うーん。そうだ女神さん、私の人生相談にのってくれる?」

『ええっ?ま、まあ、私の話の続きを聞いてくれるのであれば⋯⋯』

「あのさ、今バイトの人間関係に悩んでてさ。凄い困ってんのよ」

『バイト⋯⋯仕事の事ですね』

「そう、仕事。コンビニの深夜バイトなんだけど、レジとかバックヤードの仕事をしてるわけ。問題はそのバックヤードでの話なんだよ」

『バックヤードですか?』

「そこは店の裏側だから表から見えないんだ。そこで品物のチェックや補充作業をしてたんだけど、そこに店長が現れて、いきなり私に抱きついてきた!そして私が好きだからって告白してやがったんだ」

『ええ?!それは⋯⋯ちょっと、引きますね』

「そうだろう?もちろん私は告白に応じるつもりも行為を許すつもりもなかったさ。店長を突き放して止めて下さいって叫んだんだ。そしたら店長のヤツ、私が応じなければバイトを首にするって言いやがって、はあ、だから、振り払って逃げたんだ」

『当然の対応ですね。天音さんは何も悪くはありませんよ。その店長は自身の立場を利用して、天音さんに言う事を聞かせようと卑劣な手段を使ったんです。犯罪行為に違いありません』

「そう、なんだけど、問題はここからなんだよ」

『問題ですか?』

「そこは保護者の署名無しで雇って貰った、やっと見つけたバイト先だったんだ。私、未成年だから、バイトするには履歴書なりに保護者の署名が必要なんだけど、今は保護者が居ないから署名が貰えない。やっと見つけたのに⋯⋯」

『つまり天音さんは、店長の犯罪からは逃げられたけど、同時に職場を失ってしまったと、そういう事ですか』

「そうなんだよ。ああ、あの変態店長、どうりですんなり私を雇ったわけだ。最初からエッチな目で私を見てたんだよ、ちくしょう!」

『⋯⋯天音さん、仕事はお金の為ですよね?』

「ああ、もちろんだ。チビ達と生活する為にバイトしてたんだからな」

『天音さん、今日その店長から何か貰いませんでした?』

「い、店長から?慌てて逃げたから分かんないけど、あ、抱きつかれた時にポケットに手を入れられて、何か入れられた感触があったかも。たぶん宝くじの紙じゃないかな?アイツ、宝くじマニアで、しょっちゅう買っては私に一部をくれるって渡してきてたから。思えば、そうやって少しでも私の気を引こうとしてたのかも知れない」

『では、お金の問題は解決ですね。天音さんはもう、お金の為のバイトはしないで済みますよ』

「は?どういう事なの??」

『天音さんの希望は皆さんが将来に渡り苦労しないくらいのお金と、信頼できる大人の人を確保したいとの事でした。明日になれば、その憂いは解消に向かう事でしょう』

「はい?それはどういう⋯⋯?」

『一つだけ覚えておいて下さい。これは私の女神の権能を使った普通ではあり得ない事。天音さんは神との約束を交わしたのです。これは契約に等しく、それには対価が伴います。だから憂いが無くなったあかつきには、私の願いにも、ちゃんと応えて下さいね⋯⋯⋯⋯』すうっ

「あ、ちょっと!?」

『⋯⋯どうやら⋯⋯目覚めの時間に⋯⋯なったようです、ね⋯⋯』



そう言うや否や、女神さんの身体が透けて消えていく。

これは夢が終わる、そういう事のようだ。

だけど、一方的に何かの言質取られたような?

まあ、いいか。

どうせ夢だし⋯⋯⋯⋯⋯。


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