第17話 初めての魔力
「そ、そうだよ、魔法だ。だけどどうすれば使えるんだっけ?」
そう思って、フォルトーナとの会話を思い出してみる。
魔法とは魔力で自然界に直接作用し、様々な物理現象を作り出す特別な力。
だけど私は、内容からSFの超能力と変わらないんじゃない?ってフォルトーナに言った。
そしたら彼女、目をパチクリして、それこそ何の裏付けもない空想上の力ですって激しく反論されたんだ。
いやいや、だけど私からしてみたら、どちらも地球には存在しないわけ。
私にとっては言い方だけ変えたようなものでしかない。
そう言ったら彼女、私に何て言ったけ?
そうだ、ロマンが無いって言ったんだ。
ああ?
ロマンが無いって何なのよ?!
魔法の使い方を全然言ってないじゃん。
ポンコツ女神、私はどうすればいいのよ!
❇
(魔法なんてあり得ないんだし、そろそろそういうのは卒業すれば?)
(あり得なくはないの!異世界というのは観測出来ないだけで存在するって言った科学者もいるよ。雷が電気と同じなんて昔の人は知る由もなかった。科学は解らないから、存在しないからじゃ発展しない。解らないもの、目に見えないものからの探究もあるんだよ!!)
(ふーん、そうなんだ。じゃあ魔法ってどうやって発動するの?そういう仕組みを考えるのも新しい科学の探究に繋がるんじゃない?)
(信奉するアイザックアシモフ様はロボット三原則を作り上げたけど、まだそれを適用出来るほどロボットは進化してはいない。同じように魔法も科学と考えるなら、まだまだ方程式も未完だという事なの)
(アイザックアシカ⋯⋯何よ、その変なアシカ?)
(アシカじゃなーい?!親友よ、よく覚えておいてくれたまえ。アイザックアシモフ様とは私が尊敬する偉大なSF作家の名前なのだよ)
(口調が変わってない?つまり何が言いたいのよ)
(科学の基礎は小説にあり、小説は想像力によりもたらされる、だ。そういう事だから魔法も然り。だから私はラノベを読む)
(はあ、結局また自分の趣味に戻る訳ね)
(で、ラノベによれば魔法とは血液なんだそう)
(血液?)
(そう。全身を巡る血液をイメージし、身体全体に魔力を循環させるんだって。そうする事で、始めて魔法を行使出来る準備が整うらしいんだわ)
「は?!」
なんか懐かしい夢を見たな。
中学時代の親友がラノベにハマっていて、無理やり仲間に引き込まれそうになったんだっけ。
親父の仕事都合で学校を転々としてた頃、一人だけ気持ちよく付き合えた友人がいたんだ。
魔法は彼女が好んで話をしていたテーマだったんだよね。
「魔法とは血液。全身を血が巡るイメージをして始めて魔法の行使が準備できる、か」
ズズズズズズッ
「こんな感じなんっ?わわっ?!何か熱いものが全身を流れる感覚がある???」
まさかこの熱いものが私の魔力とか?
なら親友が言っていた事が今、私が体現しているという事なのかしら。
「不思議。なんか急に身体が楽になってきてる。もしかして立ち上がれるとか?」
心許無いけど無理を承知で立ち上がる。
頭は依然とクラクラするけど、足はなんとか踏ん張れそうだ。
近くの木に身体を預けながら、なんとか足に力を込めた。
「くっくああ~っ!!」
ズザッ
「た、立った?立てた!!」
視界はそれなりに高くなり、倒れて二日目にようやく初めて草むらより上に上がった。
流石に二日目の夜は迎えたくなかったから、取り敢えずの合格か。
「やっと二足歩行出来る。ピテカントロプスより賢いや。それともジャワ原人かな?」
うん、なんでか解らないけど体力が回復してる。
コレって私の魔力のせいじゃないよね?
でもそう考えれば筋は通るかって、それしか考えられないでしょうが。
「うん、魔力って栄養ドリンクだったんだ。でもここまで即効性があったら副作用もあるんじゃ?まあ、とにかく動けるようになったんだから心配は後回しにして、今の内に出来る事をやっておこうか」
栄養ドリンク、いやドーピングに近いか。
だとしたら花火みたいなもんだ。
切れたらそれで一巻の終わり。
うん、間違い無く終わる。
「多分魔力も私の体力の一部、なんだと思う。つまり有限なもの。だから体力はちゃんとした食事から栄養を摂取して、適度な休息と運動が必要なんだろう」
だとしたら、まずは腹ごしらえと休息だ。
だけど小屋の中には食べ物が無い。
近くにコンビニかスーパーがあればいいんだが、無いもの強請りをしても虚しくなるばかりだ。
「ここは人里離れた場所。近くにあるのは鬱蒼とした森と荒地だけ。つまり狩りの時間だよね」
そう私が思い立ち行動に移そうとしていたその時、何かが私と太陽の間を遮った?!
それは大変大きな影。
見た事もない巨大な影が私の頭上に現れたのだった。




