EPISODE33 、お手頃依頼
紹介状を手にした俺達は無事に【冒険者連盟】の参加枠を獲得した
俺が事前に入手した情報では、相当でかいヤマだったらしい。
【タルコス】から北東に位置する遺跡迷宮は手付かず。
大抵は攻略できる階層まで行って金銀財宝、装備を持ち帰る。
どういう構造なのか、魔物がいるのか、それなりの情報が集まるはずだ。
その情報が漏れてないってことは、未だ一人として調査はしていない事になる。
浅い階層でも十分な報酬にありつけるはず。
それに加えて実力者揃いの【冒険者連盟】。
リスクも低いと来た。
美味すぎる…よな。
「さっきから浮かない顔をして、どうしました?」
ファルが声を掛けて来た。
いけね…。
また顔に出ちまった。
ファルとティルゼは実力があっても、冒険者としての歴は浅い。
歴だけなら俺の方が上だ。
変に不安にさせるのも良くないよな…。
「ちょっとな。ティルゼに言ったように、これこそ、都合のいい依頼なんじゃねぇかなって」
だとしても、3人で挑むよりはずっといい。
「考えても仕方ないんじゃない?不安要素ばかり心配してちゃ、何もできないし」
ティルゼの言う通り。
一番リスクが低いのは確かなんだ。
不安要素ばかり気にしていれば、足踏みするしかない。
「…そうだよな」
でも、何か引っ掛かる。
何かが分かれば苦労はしないんだよな…。
今はやれることをするしかない。
俺達は3日後の遺跡迷宮調査に備えて【タルコス】で食糧や装備を買い足していると、冒険者管理局支部には続々と冒険者が集結しつつあった。
「すっげー…」
俺はそんな声を漏らしてしまっていた。
街行く冒険者達が名の知れた人達ばかり。
攻略できない遺跡なんてないだろ。
そう思っても仕方ない顔触れだった。
「凄い人達なんですね」
ファルは興味深そうに街行く冒険者を見ているが、あまり驚きはしていないようだ。
「肩書きばっか、あったって命張れる時に張れる人なんて何人かでしょ〜」
ティルゼは興味すらないようだ。
しかし、こいつ意外と核心突くこと言うよな…。
だが、これから遺跡迷宮攻略を共にすると考えると楽しみでしょうがない。
すると、タルコスの大通りが騒がしくなる。
舗石を歩く音が途切れ、売り声も小さくなり人々の視線が一方向に集まっていた。
住人達は店先から身を乗り出している者もいれば、表情を強ばらせている者もいる。
空気が…変わった?
気付けば、ファルも身構えているし、ティルゼに関しては目が据わっている。
張り詰めた空気感の中、幾つかの旗がゆっくりと掲げられていた。
1つは、澄みわたる青空に降り注ぐ太陽の光を象徴した旗。
もう1つは、盾の紋に、左右へ大きく突き出た角が勇ましく描かれた旗だった。
空気感が変わるのも頷ける。
【冒険者連盟】、【天光天晶】と【星波の守り手】の一団が到着したらしい。
だが、緊迫は長くは続かず、歓声が一斉に湧き上がった。
【天光天晶】の旗を先導にした白と水色の外套の隊列が通りに姿を現すと、人々の表情は一変する。
子供たちは手を振り、商人は売り物を一時忘れて拍手を送る。
金具がきらりと光る鎧や、外套の裾が風に靡くたびに、通りは祝祭のような熱気に満ちた。
「あの4人、抑えてますが魔力操作の使い手…それもかなりの手練ですね」
ファルの目を引いたのは、4人。
それぞれの冒険者ギルドの代表格とも言える異名を冠した者達だ。
実力と実績を総評して付けられる異名ってのは、単なる飾りなんかじゃない。
冒険者としての格。
評判と信頼を積み重ねた正真正銘の実力者としての証だ。
俺の不安は、一気に払拭される。
この面子なら、依頼を失敗するのが無理ってもんだ。
これなら安心して資金も確保できるし、実力を発揮できる。
俺は笑みを零していた。




