44、酒が無くなる
「俺は、司道鉄車。いわゆる神の子というやつだ」
「……今回、信濃を侵略してきたボス……かな?」
「そちらから見れば、そうなるだろう」
「それと、純野さんを虐めた奴……かな?」
「そいつは、俺が造ったモノだ。どうしようが、俺の勝手さ。……まさか、支配下を離れるとは、思わなかったがな」
「まだ、どうこうしようと思っているのだろうか?」
「信濃に、卜部翠隼順とグィグィラゲヴァーンがついていなければ、俺だけでも落とせただろうが……。まあ、今回は引くつもりだ。また滅ぼしに動くだろうが、すぐではない」
「じゃあ、いいや。あんたも、飲むかい?」
なんとなく、司道に酒を渡してみた。
「貴様……、俺をバカにしているのか?」
「飲まないならいいよ」
酒を返してもらおうと、手を伸ばした。
「!飲まないとは言っていない!」
そう言うと、司道は酒を一息に飲み干した。
「ん!」
そして、コップをこちらに向けた。
「ん?」
「察しの悪いヤツだ。もっと酒をよこせ!」
「三輪、わたしも、飲む」
「ギョゲッ!俺も、飲む。酒よこせ、三輪」
「ああ、あたしももらおうかね」
「私も、体力が戻ってきたので、いただきたい」
結局、ここにいる全員で酒を飲むことになった。
1時間後……
「ギョゲッ……おやすみ」
「私も、今は血が足りないせいか、限界ですな……」
グラヨンベスパが、酔い潰れた。ガイラルアッヴァーン氏も、べしゃりと音をたてて、ゴザの代わりに敷いた新聞紙の上に横たわった。
「はっ!?」
「起きたか、汚鬼」
「三輪、おはよう。まだ夜だけど」
「あー、寝てた?」
「うん。寝てた」
周囲に目をやると、純野さんと司道だけが起きて酒を飲み、他は皆さん眠りこんでいる。夜が更けているようで、気温も下がっていた。
「汚鬼よ、純野は俺が創った死神だったが、随分と人間らしくなっていたのだな」
「まあ、人間らしく……かどうかはともかく、感情の動きは、前よりあるかなあ。特に、酒がからむと」
「三輪は、失礼」
「ふむ。ただの殺戮機械とは、思えないようになった……」
「もとからそう……だったけれど、見えなかったのでは?酒を一緒に飲むと、素が見えやすい」
「なるほどな。たまには、敵と酒を飲むのも良いのかもしれないな」
司道鉄車は、穏やかに笑った。
夜明けまで酒を飲み、司道鉄車は去った。
「さて、僕らも帰ろう」
「ギョゲッ!俺達、墓場に、帰る」
「そうだね。じゃ、三輪さん達も元気でね」
「私も、今は血が足りないので、帰ります。三輪殿に純野殿、また飲みましょう」
「じゃあまた」
皆、帰っていった。
「僕らも、帰ろうか」
「うん。猫も待ってる。三輪、帰ろう」
珍しく、酒が無くなったのに純野さんが笑った。
一応、終了です。最後まで読んで下さった方がいらっしゃったなら、ありがとうございました。




