43、酒を飲みそこねる
ガション!ガション!ガション!ガション!
ビガッ!ビガッ!ビガッ!ビガッ!
「うわわわわ!」
黒のデンキパイロットは、数ヶ所の射出口を開き、ビームを射ってきた。
幸い、全ての射出口が開いたわけではなかった。そのため、左に大きく回避して射線から外れることが出来た。
次の光線が発射される前に、掌が届く間合いに近づく。
ゴパァン!
「……よし」
黒のデンキパイロットに掌を打ち込み、沈黙させることに成功した。
「ギョゲッ!三輪、後ろ、2体」
「了解!ああ、きついなあ、チキショー!」
あまり体力がないので、本当にきつい。
まあ、そろそろ落ちてくるデンキパイロットが減ってきているから、先は見えている筈ではあるのだが。
……なんとか、黒のデンキパイロットを全て破壊した。もう動きたくない。
「あー、皆さん大丈夫ですか?」
「ギョゲッ、俺様、元気だ。戦って、ないからな」
グラヨンベスパが、まず返事をした。
「わたしも、元気」
最も活躍した純野さん、まだ余力があるようだ。
「あたしは、ちょっときついねえ。でも、ガイラルアッヴァーンの旦那程じゃないね」
ゼッタニードルさんは、ガイラルアッヴァーン氏の方を見ながら、そう言った。
ガイラルアッヴァーン氏は、返事をする元気も無いらしく、のろのろとこちらを向いて頷くだけだった。
「まあ、ガイラルアッヴァーンさんは、自分の血が武器だから、相手が多いときついですよね」
「うん、ガイラルアッヴァーンは、貧血。デンキパイロットの攻撃を、かすらせもしなかったけど」
冷血人間も、大変だなと思った。
「はあ、一息ついたら酒が欲しくなったなあ」
「三輪は、いつもそう。でも、わたしも酒が欲しい」
純野さんと、顔を見合せて笑った。
「ふむ、……冷たい……血の代わり……に……酒精が流れる……のも、良い……かもしれません……な」
ガイラルアッヴァーン氏も、首だけ動かしてこちらを見て、ニヤリと笑う。
何かを忘れているような気もするが、酒を飲むことにしようか。
「ゲギョ?何か、近づいているぞ、三輪」
「……多分、司道鉄車。三輪は、忘れてたみたいだけど」
「あー、忘れてた。大神キャピターの御子、だったっけ」
「……そう。多分、わたしよりも、強い」
参ったなあと思っていたら、車が突っ込んできた。
「うへぇ!」
慌てて避けたら、車が消滅した。
「あれ?避けなくてよかった?」
「……いや、避けて正解だな。俺の神気は、車の姿をとって敵を滅ぼす。汚鬼の分際で、よくかわしたものだ」
いつの間にか、若い男がいた。




