36、仕事中は飲まない男
食屍鬼たちが住む墓地に着くと、既に三百体ぐらいのデンキパイロットが待ち受けていた。
「食屍鬼〜ども〜!おとなしく〜、滅ぼされろ〜」
どこかで見た奴が、指揮を執っている。
「あ、シャシャカだ」
「ん〜?……!貴様は〜死神の回収を邪魔した〜汚鬼か〜!死神も〜いるな〜」
「そちらは、なんで居るの?」
「別の〜計画が、邪魔されたから〜、こちらは失敗しないよう、幹部の俺様が〜来た〜」
「俺達もいるのさ!」
シャシャカだけでなく、登雄流さんの池を埋め立てにきたエクソシストの宇佐メリケインもいた。
「ああ、つながってるんだっけ。別の計画って、池の埋め立てですかね?」
「その通りさ。お前らのせいで、肩身が狭かったから、潰してやるのさ!」
「これ以上の〜問答は、無用〜。片付けろ〜!」
シャシャカがそう言うと、デンキパイロットが動き出した。
「待テ!」
グィーさんが、前に出た。そして、地面に亀裂が走り、地上タイプのデンキパイロット達を飲み込んだ。
「我ハ問ウ。コノ工事デノ土ノ扱イニツイテ。話ガ終ワッタラ、でんきぱいろっとハ返ソウ」
工事責任者であるシャシャカとグィーさんは、隅の方で話し合いを始めた。
ちょっと暇である。
「あー、宇佐さん。飲みます?」
「一応、仕事中だから飲まないのさ。それと、お前らは敵だ!」
なんとなく、宇佐メリケインにも酒を勧めてみたが、断られた。
「三輪、酒おくれ」
「はいよ、純野さん」
「……なんで死神も酒を飲んでいるのさ?!」
「ゲギョ!三輪、俺にも、酒、よこせ」
「あー、三輪さん。あたしも欲しいねえ」
「三輪殿、私もいただこう」
「ということで、宇佐さん。多分また書類の不備とかで長引きそうだし、のみましょう」
「ええい!巻き込まれてたまるか!」
宇佐メリケインは、真面目だったので攻撃をしてきた。
「ギョゲッ!三輪、よろしく。俺様、酒飲む、忙しい」
「うん。三輪、任せた」
「三輪さん、よろしく頼むよ」
宇佐メリケインの攻撃を避けつつ、ガイラルアッヴァーン氏を見る。
このメンバーの中では、比較的まともなので、助けてくれないかなあと期待をしたのだ。
「三輪殿、一人の相手に二人がかりは卑怯。三輪殿が敗れぬ限り、私は手を出しませぬ」
ガイラルアッヴァーン氏が、まともなことを言う。でも、手伝って欲しかった。
「全員、ぶち殺してやるのさ!」
宇佐メリケインは、ニンゲンなので動きが読み易かった。強いは強いが、妖獣の相手よりは、マシである。
「くそ!これでもくらえ!」
……手にはめた機械からビーム出してきたけれど、妖獣や拳鬼の相手よりはマシである。
機械の向き、その直線上から身をかわせばいいのだ。
卜部さんのように、こちらの意識の谷間を狙ってくるわけではない。ナメクルンAのように、粘液で動けなくされることもない。
宇佐メリケインが、右手の武器を向けてきた時には、既に斜め前に移動していた。
顔面に掌を打ち込む。掌全体を、べちゃりと打つ技である。
……どしゃり
宇佐メリケインは、倒れた。
「三輪、勝った。珍しい」
ギユヤラギャガラギャーーーン!
白い車が、すごい速さで走り込んできた。
「来たか!俺様の車よ」
シャシャカの口調が、変わっている。
シャシャカは、車に乗り込んだ。
「ハハハハハ!車さえあれば、俺は邪龍にすら勝てる!」
仕事中でも平気で酒を飲んだ時代も、あるようですね。車が普及した今では考えられませんが。




