35、「わたしは、ギョゲッ、とか言わない」
妖獣革命党の面々と妖獣たちに別れを告げ、帰宅した。
体がまともに動かない。
「さ……酒……」
立って歩くのがきついので、酒を置いてある押し入れまで這いずっていく。
「ギョゲッ!三輪の家は、このブタ小屋か?」
失礼なことを言いながら、食屍鬼のグラヨンベスパが入ってきた。
「ん?三輪、何してる?」
「さ、酒……」
「ん?酒?ああ、これか。飲んで、いいのか?」
グラヨンベスパはそう言うと、返事も待たずに酒をらっぱ飲みした。
「あああああああ!」
「ん?美味かったぞ、三輪」
げしっ!
「ゲゴッ!三輪、何を、する?」
「勝手に飲むな、チキショー!」
体の痛みも忘れて、グラヨンベスパを蹴った。
トントン
「三輪さん、いるかい?うちの旦那が来てると思うんだけど」
しばらくしてから、ゼッタニードルさんも来た。
「で、久しぶりだが、食屍鬼の二人は、どうして来たの?」
「墓場、工事で、追われそう」
「なんとかカー、とかいうのを走らせるために、墓場を壊すらしくてね。罰当たりなことさ」
「ゼッタニードルさんなら、追い返せそうなものだけど?」
「ああ、最初は追い返してたんだよ。金や銀のデンキパイロットが、10体ぐらいだったからね」
「だんだん、増えてる。赤や灰色も、来た。100体ぐらい」
「さすがに、毎日毎日、100体片付けるのも、面倒でね。三輪さんや、純野ちゃんの手を借りたいなあと思って、来たのさ」
ゼッタニードルさんは、そう言いながら酒のビンを差し出して来た。
「特に灰色のデンキパイロットが、厄介でね」
「確かに。空を飛ばれると、石をぶつけるぐらいしか出来ない」
「純野、飛べる。俺たち、期待」
「じゃあ、純野さんにも声を掛けよう。それと、ガイラルアッヴァーン氏にも声を掛けようか」
「ギョゲッ。冷血人間、久しぶり」
「ああ、ガイラルアッヴァーンさんの手も借りられると、ありがたいねえ」
「冷血人間、三輪と、違う。酒、無しでも、助けてくれそう」
「……ガイラルアッヴァーン氏にも、何かお礼はするよ」
まずは時春さんの祠へ、純野さんを迎えに行く。
「酒、ありがとう。食屍鬼、良くわかっている」
純野さんは、快く協力してくれることになった。
どうでもいいが、しゃべり方がグラヨンベスパと似ている。
「わたしは、ギョゲッ、とか言わない」
「久シブリダナ、三輪ヨ。我モ、行ク」
グィーさんこと邪龍グィグィラゲヴァーンの所へ、ガイラルアッヴァーン氏を迎えに行くと、グィーさんもついて来たがった。
「いやいや。グィーさん、土の守護者として忙しいんじゃないんですか?」
「今回ノ工事ハ、山ニ穴ヲ穿ツ。ソレニヨリ出タ土ヲ、災害ノ原因ニナリカネヌヨウナ場所ニ置クツモリラシイ。土ノ守護者トシテ、捨テ置ケヌ」
なるほど、グィーさんにも動く理由があったようだ。
今回の工事ではないが、信濃から加賀の方へ続く新幹線でも、トンネルの上で地盤沈下があった。
土の守護者としては、経済のために大地の調和が崩れるおそれがあれば、動く理由になるのだろう。
「キチントシテイルノナラバ、構ワヌノダガナ」
「無論、私も行きますぞ」
ガイラルアッヴァーン氏も来てくれる。
グィーさんが動くので、戦力過剰な気もする。
「我ハ、見極メタ上デ戦ウカヲ決スル。土ノ扱イヲ、キチントスルナラ、我ガ戦ウ理由ハ無クナル」




