32、妖獣革命党
卜部さんが去った後、練習したことを復習してから帰った。
妖獣革命党が拠点にしている信濃妖人大学へは、今日は行かないでおこう。
帰宅すると、戸の前に巨大ナメクジがいた。
「ああ、是害院博士のナメクジか」
「左様でゴザイマス。博士より、三輪様に伝言でゴザイマス」
ナメクジが喋っているが、是害院博士のナメクジならその位するだろう。
「では、お伝えイタシマス。『カンラカンラ!我々、妖獣革命党は、三輪さんを歓迎する。是非来たまえ、すぐ来たまえ』……以上でゴザイマス」
すぐ来たまえ……か。飯食って、一眠りしてからじゃ駄目かなあ。
「なお、博士からは『酒もある』とのことでゴザイマス」
「三輪、すぐ行こう!」
「あ、純野さん。いつの間に来た?」
「三輪、そんなことはどうでもいい。大事なのは、酒」
純野さんも一緒でいいのかな。
「ええと、ナメクジさん?」
「ナメクルンAでゴザイマス」
「……ナメクルンAさん。この娘も一緒でいいですか?」
ナメクルンAは、しばらく考えた様子だったが、了承してくれた。
信濃妖人大学は、信濃国にある大学である。
卒業することが難しいことで、有名だ。最長で20年は在学可能だが、卒業出来るのは1%に満たない。
文学や哲学に力を入れている大学で、ニンゲンでない者や異界の存在にも、門戸を開いている。
必修の語学は、エスペラント語。国際言語として造られた言語である。有名なエスペランティストは、宮沢賢治、新渡戸稲造、大杉栄あたりだろうか。
「カンラカンラ!三輪さん、よく来た」
「けけけけけ!お久しぶりね、三輪さん!」
「こんにちは。こいつらが、いつもスミマセン」
大学の入り口には、妖獣革命党の主要メンバー3人が迎えに来ていた。
カンラカンラと笑う是害院博士。白衣が妙に怪しげだ。ナメクルンAの背に乗っている。
党首の国無幸世も、何が嬉しいのか、けけけけと笑っている。彼女は、『U-MA』とプリントされた足首まであるスカートをはいて、胸には『妖』と刻まれたブローチを着けている。
『仲間が面倒かけてゴメン!』という表情をしているのは、昼顔透。召喚士だが、他のメンバーも何らかの妖獣を自由に喚べるので、影が薄い。一見、常識人に見えるが、妖獣愛が凄い。
「あー、皆さんお久しぶり。ええと、是害院博士は知ってるけど、こっちにいるのが純野さん。よろしく」
「わたしは、純野悠羽子。よろしく」
「けけけけけ!よろしくね。いつかユニコーン狩りに行こう!」
「初めまして。よろしくお願いします」
「カンラカンラ!純野さんも来たか!では、卜部さんに訓練を手伝うよう頼まれていることだし、行こうか」
彼らは、強力な結界を張れるので、周囲に被害が及ばないよう、その中で訓練をすることになった。




