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28、明日から修業だ!(今日からではない)

 今日は2話投稿したのですが、これは2話目です。



 泥沼の中で動きを止めている赤のデンキパイロットを足場にして、吉田さんと室賀さんの様子を見に行った。途中で純野さんとも合流した。



 「あの蛙、意外とポンコツ」



 純野さんは、濁流に巻き込まれかけたらしい。とっさに飛んで避けたとのことだった。





 吉田さん達は、結界の中で戦っていた。濁流の影響はない。



 「多分、結界を壊すか、決着がつくまでは、スィンヨーロ吉田は、出て来ない」


 「純野さん、いちいちスィンヨーロつけないで、吉田さんでいいのでは?」


 「せっかく覚えたのに。三輪は、意地悪だ」


 「……じゃあ、僕も純野さんを、フラウリーノ純野とエスペラントで『〜さん』呼びしようか?」


 「……三輪は、エスペラント語の勉強さぼってるって、猫が言ってた。だから、意外」



 正直、吉田さん達が負けるとは思わないので、純野さんと雑談をしながら決着がつくのを待った。






 「くそっ、覚えていろ!」


 「今回は見逃してやるのさ!」



 結界が解け、ぼろぼろになった月影と宇佐メリケインが、捨て台詞を吐いて逃げて行った。



 「おう、三輪達も終わったか……。なあ、なんか泥沼が出来ているんだが?」


 「ああ、登雄流さんがやり過ぎたんですよ」


 「調べてみないとわからないが、この状態だと企業も開発を断念するのではないだろうか」



 室賀さんが言うように、かなりひどい有り様なので、池の埋め立てどころではないかもしれない。



 「まあ、しばらくは大丈夫だろう。登雄流さんに千両箱もらって、四人で山分けだ」


 「吉田のお兄さん、私は要りませんよ」


 「いやいや、室賀ちゃんがいてくれて助かった。……本当に強くなったなあ」







 数日経ったが、涙ヶ池の埋め立てに動きはない。やはり開発は見送られたようだ。


 僕は、純野さん達に比べてあまりにも弱いことに、しばらく落ち込んでいた。



 「マスター、一番安い酒を下さい」


 「かしこまりました」



 ここは『ブタ酒場Ton』。基本的には、ブタ族のための酒場で、客もマスターもブタだ。僕はかつて勤め先で『ブタ野郎』と罵られたことがある。その夜、なぜかこの店を見つけ、以来行きつけの店の一つになった。



 「ぶふぃ、三輪よお。不味そうに酒を飲むんじゃねえよ!」



 今のセリフは、ブタ族の神ゴッドさんだ。彼は、とても酒好きで、この店の常連客だ。



 「すいません」


 「ったく!何を落ち込んでやがる?話してみろや、ぶふぃ」



 ゴッドさんに、自分が弱くて落ち込んでいることを話した。



 「ぶふぃ、なるほどな。……三輪、そんな時は、修業に限るぜ。お前、ニンゲンだった頃に、拳技を学んだらしいが、最近しっかり修業出来てねえだろ?」



 ……痛い所を突かれた。



 「……まあ」


 「ぶふぃ、だったら、明日から修業だ!おい、マスター、こいつにいい酒を出してやってくれ」


 「かしこまりました」


 「ゴッドさん……」



 ゴッドさんの気遣いが、有り難かった。そして、いい酒も。



 「ぶふぃ?……財布の中身が少ねえ……。マスター!今の無し!」


 「……もう注いでしまいました」

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