17、割れた一升ビン
翌日、ガイラルアッヴァーン氏と純野さんを連れて、園辺食堂に来た。
「いらっしゃい。解子姫から、報酬を預かってる。賽銭箱に、ここ一週間で入ってたのを、全部あげるとか言ってたぜ」
「おお」
「酒、買える」
「助かりますな」
中を確認すると、七万五千円入っていた。
「おお、大金だ」
「三輪、酒たくさん買おう!」
「三人?で分けましょう!」
僕、純野さん、ガイラルアッヴァーン氏で、三等分した。
「解子姫から、酒も預かってる。一升瓶一つずつ、持っていきな」
酒をもらい、解散した。
ガイラルアッヴァーン氏は、園辺食堂で食べてから帰るそうだ。
「三輪、酒うまそう」
「多分、かなりうまい」
純野さんから、ウキウキした雰囲気が伝わってくる。
いつもの安酒と違い、酒の神からもらった酒である。いやが上ににも、期待が高まった。
フュィィィイ!
不意に陰が出来た。上を見ると、灰色の全身タイツを着たようなヒト型のモノが浮遊していた。頭部には、「灰色」の文字と発電所を表す地図記号が書かれている。
「灰色のデンキパイロット……!」
灰色のデンキパイロットは飛行タイプで、こいつに倒されると口からヌラヌラした不愉快なモノを吐いて死ぬ。そういう仕様の殺戮機械だ。
「三輪、わたしに任せて」
純野さんが飛ぶ。灰色のデンキパイロットは、その速さに対応出来ず、地面に落ちた。
フュィィィイ!
フュィィィイ!
しかし、灰色のデンキパイロットは一機だけではなかった。
「純野さん!」
「大丈夫。千機来ても、勝てる」
僕に飛行能力はない。石でも投げて援護しようと思った時、嫌な感じがして左へ体を送った。
「へ〜え。避けるんだ〜。……まあ、こっちも本気じゃなかったがな〜」
どろりと地面が盛り上がり、男が現れた。
「俺は〜、シャシャカ〜。死神を〜取り戻しに来た〜!」
「組織とやらの人?」
「わか〜っちまったか?……死んでもらう」
雰囲気が変わった。
「さ、酒でもどうかな?」
もったいないが、さっき貰った酒を差し出してみた。
バキャ!ガシャーー
「フェギャ!!さっ、酒がぁあああああ!!!」
奴は、ビンを割った……。楽しみにしていた酒は、地面に吸い込まれてゆく。漂う香りから、間違いなくうまい酒だったことがわかる。
「いらねぇ〜んだよ!」
もったいない。もったいない。もったいない。
「ああ?震えてる〜。ははははは〜。怖いのか〜?」
ふしっ
「うおっ!?危ないねぇ〜」
割れたビンの欠片を拾い投げつけたが、避けられた。……が、構わない。シャシャカの左足のすねを、右足の外側……靴底のエッジでこするように蹴る。
それも避けられた。
「やる気か〜!潰してやるよ、汚れた鬼が〜!!」




