↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
9/9

第9話 【最終回】チーズ

「よく見破ったわ、加奈子。私が過激派のボスよ」


「えっと……」


「勝負は5品勝負。値段制限なし。場所は武道館」


「いいわ。受けて立つわ。手加減しないわよ育美」


こうして武道館での試合となった。


会場は1万5000人近くの観客で満員になった。


「これより、チーズ対海老の試合を行います。なお、5品勝負で値段制限はありません」


15000人の観客がどよめく。


「おいおい5品だってよ」


「値段設定なしってやばそう」


「財力ならチーズの人の方が勝つでしょ」


「いや、海老も過激派のボスだからすごそうだぞ」


試合前の控室。


加奈子は闘志に満ちあふれていた。


そこへスーツの男性が近づいてきた。


「塩の健司をにんにくの時次様が倒しました」


「では次はわたしの番ね」


審査員は有名レストランのオーナーと有名料理研究家と真奈美だ。


「ではこれよりチーズ対海老の試合を行います」と司会者が言う。


会場は大盛り上がりである。


先攻は海老になった。


「私の1品目はオマール海老のテルミドール。引き締まった身にベシャメルソースが絡んで、絶品よ」


次は私の番だ。


「私の1品目は焼きチーズカレー。3種のチーズを炙った焼き目を見て欲しいわ。カレーとの相性も抜群」


1品目から会場がざわつく。


「私の2品目はオマール海老の殻付きビスク。殻はローストしてあるわ。濃厚なスープは感動ものよ」


「私の2品目はチーズフォンデュタワー。お好きな具材でどうぞ」


チーズフォンデュタワーの登場に会場はさらにざわつく。


「私の3品目は伊勢海老の炊き込みご飯。もちろん伊勢海老をまるごと1尾使ってるわ」


「私の3品目は石焼きチーズリゾット。注目はなんといってもおこげね。香ばしさには抗えないわ」


会場は双方の出し物にそれぞれ意見を言っている。


「私の4品目は活け伊勢海老の姿盛り。素材で勝負。もちろん今朝獲れたてのものよ」


「私の4品目はチーズの海ハンバーグ。鉄皿一杯のチーズを全部食べていいのよ」


会場では、あまりの匂いに耐えられなくなる観客が続出した。


頭を抱えて、みな必死に自分を制御していた。


「私の5品目は伊勢海老のお味噌汁。もちろん伊勢海老1尾入りね。濃厚な出汁に言葉を失うでしょう」


「私の5品目はパルミジャーノ・レッジャーノの器パスタ。これに関しては言葉は要らないわ」


あまりのすごさに会場が静まり返る。


観客たちは歴史の目撃者になった気持ちになった。


審査員がメモを書き始める。


しばらく沈黙の時間が続くと司会者が言う。


「それでは結果発表です」


「審査員、レストランのオーナーの私の結論は海老。濃厚な海老の旨味が忘れられない」


「審査員、料理研究家の私の結論はチーズ。5品どれもずしりと来た。この満足感は驚嘆に値する」


「審査員、真奈美の結論はチーズ。正直両者は互角と言っていいわ。勝敗をわけたのは、チーズの方が創造性があったこと」


「勝敗がつきました。チーズです。チーズが勝ちました!」


会場から割れんばかりの大歓声。


「まさか私が負けるなんて」


「育美。いい勝負だったわ」


「私はこのまま屈するのか」


「それは違う。これからはともに励んでいきましょう。オマール海老のテルミドール。あれチーズ使ってくれたでしょ。私たちは仲良くなれるわ」


加奈子と育美が握手をする。


これからはお互い切磋琢磨して成長していくのだろう。



1週間後。


「あんたまたチーズの神様に祈ってんの?」と育美。


「当然。お祈りは欠かせないわ」


「そういえば以前言っていた豊心さんて人はどうしているの?」


「新しいチーズのパンを紹介してくれたわ。レシピも書いてあるから今度作ってみる」


「ふ~ん。それで今日はどうするの?」


「今日はフェタチーズを食べるわ。古代ギリシャまで起源をさかのぼることができる、長い歴史を持つチーズなの」


(完)

お読みいただきありがとうございました。

パン研!の1エピソードから発展した話ですがとても楽しく書くことが出来ました。

パン研!をまだ読んでいない方がいらっしゃいましたらこれを機会にどうでしょうか?

こういう対決ものではありませんがよろしくお願いいたします。

最後に蘇は作ってみたいですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。