そのサイズ
学べない学び舎にもいい隅があったお陰で知ったサイズ、物語を日干しするたびコロコロと変わって行ったサイズ。
ホットドッグのたぐいを買ってやったことで許してもらったサイズ、細くカーテンを開けて調べたサイズ。理科室で亡くしたサイズ、獣道をおぼえて、闇討ちをしなくなって、歌いながら剥がしていったサイズ。
誰かと歩いていることでいつも捨てる羽目になるサイズ、けれど駅前でその人と別れたあとでいつも急いで拾いに戻りにいっていたサイズ。白い雪のような愛情とぎくしゃくしていた頃に仲良しだったサイズ。
勝手なドライアイスみたいにいつも部屋を出入りしていたサイズ。
あのサイズとこのサイズの間に落ちて以来行方をくらまし二度と戻ってこなかったそのサイズ。
不合格が決まったなら、その時はその時で歌える歌があるみたいに、緊急時に何回かは召喚したサイズ。
火葬場に向かう車中で見かけた気がしたサイズ、急にブレーキ音が響いた時に咄嗟に庇ったサイズ、ここが迷宮の中であったならきっと別の道もあっただろうにと思いながら盗んだサイズ。
脚を組みながら、自分のサイズと相談して決めたサイズ。
味のとんだガムを紙に吐き出すように、手遅れになってから明るみにしたサイズ。
誘拐されていた数日の間に他のクラスメートにまで知れ渡っていたサイズ。
行きと帰りで変わっている、変わることを予期していたサイズ。
親の目をぬすんでキリンの下で願うことで出せた、あいくるしいサイズ。
汚れた鳩を使ってどうにか出せた、くるしいサイズ。
いつも彼の吐息で洗っていた、いとしいサイズ。
捨てられない手紙に折り目をつくってはいても結局破壊はしないみたいに、いつも結局息の根をとめるまではいかなかったサイズ。
思いはプレーに、という言葉で満ちた校庭で落としたサイズ。
「思い違いをしてても履き潰し、似せようか」
理解しているべきサイズをもう知ろうか。
そういうような提案をしてきた彼に、自分が何ていって返したのか思い出すことはできない。ただひとついえるのは、わたしの嘔吐はいつもサイズのことに関連している、ということ。




