第29話
パラレルユニバースムから元の世界に戻り、研究室へと移動する。そこで今回のまとめをして、解散予定だ。これでようやく家に帰ってゆっくりできると思うと喜びひとしおだ。
「はぁ〜……過酷だったな」
思わずため息を落とすと、1年のメンバーも元の世界に戻ってきて安堵したのか感想を口々に話し始める。
「滝行はとんでもなかった……」
「あ、三蔵サンもそう思ってたんだ! 聖職者志望とは言え、まだまだだね」
「滝行だけではなく、山登り自体大変だったね」
「だけどこれでわかった。ゴミ拾いは大変のうちには入らない……」
「黒巣くん、それは普段は『やる勇気』がないだけだろう?」
助教に言われて、そんなものかもな……と反省する。ゴミ拾いくらいの徳積みだったら気楽にはできる。少なくとも、滝行よりは。
「皆の衆。これで今日は解散とするがーー3年次は『パラレルユニバースムでの電波状況』のレポート、1年次は『自己暗示呪文について』の共同論文を後日提出してもらう。我も今から論文執筆だ!」
「えっ……今から?」
3ぼーず先輩がやっぱり助教を化け物を見る目で見つめる。あれだけ苦行をしたあとに論文を書くのか、この人は……。
「では、解散! はっはっは!」
漁火助教が自身の研究室に入ったところで、俺たちは解散することになった。
◇◆◇
帰り道、夕方ーー。
「じゃあ、また。今度は停学明けだから、4日後か?」
「そうだね、はぁー……疲れたぁ」
柊もため息をつく。
「とりあえず、今日・明日はゆっくり休むとして……個人個人で今日のことをレポートにしておくことが重要だな。それを停学明けにまとめよう」
「停学が開けたら共同論文執筆だね!」
三蔵と宇佐美さんも疲れてはいるのだろうが、前向きだ。しかし、入学して速攻停学はともかく、もうゼミでの共同論文を手掛けるって……俺たちは問題児だろうけどもある意味で優秀なのか? ともかく大学でのスピードは、今までの高校生活と違って、超爆速で進んでいく。これからもこの速さについていくと思うと、少しだけ大変だ。でも、やりがいはあるだろう。絶対に。
俺たち4人、揃って門を出る。
「じゃ、また4日後。ゼミで」
そう言うと、誰からともなく手を振り帰路に着く。4日間休めるけども、せっかく今日の山登りで体力もついただろうし、バイトを始めるのも手かなーー。そんな話もしてみたいが、まずは論文のためのレポートだ。結局停学でもやることはありそうだ……。
まだまだ大学生活は始まったばかり。春の夕暮れに一番星が輝いた。




