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ヒスティマⅥ  作者: 長谷川 レン
第二章 連合軍vsヘレスティア
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炎と水の争い



「ちょ、ちょっと、やりすぎちゃった感じ……?」

『今さらでしょう。それに、向こうの方が相性がいいのです。最悪の事態としては、あれを完全に受け止めている場合でしょう』


 むむ……。フィエロの魔力をかなりつぎ込んだんだが、これで気絶していないとなると……。どうにかして守る水を越えてソウナに直接攻撃を当てないといけなさそうだ。

 段々と煙が晴れて来て、溶けた建物とかの中心を見ていると、急に水が伸びてきた。


「!?」


 反応に遅れたウチはその足を水に飲み込まれると、巨大な圧力を感じて足が潰れそうになりながら地面へと叩きつけられた。


「か、は――ッ」

『マナ様!?』


 肺が詰まるような感覚を覚えながら咳をすると、足を掴んでいた水はまた動き始めてウチの体が浮く。


「くっ」


 魔法を発動する暇も無くその水によって体を叩きつけられ、まだ残っていた遠くの建物ごとつき破ったり、近くまで引き寄せられて地面へと叩きつけられたりする。


(やばい、どうにかしてこれ外さないと……ッ)


 意識が朦朧としてくる中で自分の手に金色の炎を顕現させ、振り回される重力に対抗しながら自分の足を燃やす。水を蒸発したとたん、外へと投げ飛ばされる所を体を丸くして地面を転がって行った。


「ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ」

『大丈夫ですか?』

「あはは……何とか……」


 これも師匠の半端無くきつい鍛錬の賜物かなと思い、立ち上がる。

 だけど体の所々が痛むけど服や体の外見からは傷一つ無い。


「そういえば、ウチが今着てる服ユミ様の所で貰った魔法鎧だった」


 それなら、打ち付けられた所で大して体に傷はつかない。電光王国の魔法鎧強すぎないだろうか。水で掴まれた足も骨が折れた感覚なんて無く、さっきまで痛かった足を地面につけて立って居ても痛くない。


「よし」

「……よしじゃありませんわ。わたくし、鋼鉄が簡単に潰れる単位でつかんだのですが」

「へへ~ん。ウチが二週間で鍛えた体と、この魔法鎧の力があれば屁でも無いね!」

「…………」


 にしても、まだレナの意識が戻って無いなんて、まだ魔力は残したいのに……。

 そう思ってレナを見ていると、レナが盛大にため息をついた。


「はぁ。二週間ですの? 二ヶ月の間違いでなくて?」


 なんだかこんな姿を見ていると戻っているんじゃないかって思うけど、遺跡に操られてる人ってみんなこうなるのかな。


「二週間であってるよ~。だって、ウチ達この時代に居なかったからね~」

「この時代に? 少々気になりますが……マナさん?」

「なに?」


 急に呼ばれて、つい返事をしたしまった後。


「下から水が襲ってきますわ。上に逃げてくださいですわ」

「!?」


 ウチがすぐさままだ残っていた〈炎翼〉で空へと逃げると、すぐさま下から水柱が上がって来た。旋回してそれを避けると、レナが手を動かし水が襲い掛かってくる。


「〈金色の炎〉!」


 もう魔力の出し惜しみをせず、水を問答無用で蒸発させていく。


「く、今のはレナさんが言ってくれなきゃ完全に当たってたッ」

『そうですね。レナ様、意識だけは戻ったのではないですか?』

「え?」


 驚いてレナを見る。その表情にはホッとした様な安堵の顔で、自分の腕をもう片方の腕で力いっぱい掴んでいる。


「れ、レナさん、意識戻ったの!?」

「ええ。ですが、まだ体は言う事聞きませんわ。わたくしが意識を取り戻したことでカイシンの力も大体抑える事が出来ましたわ。マナさん。わたくしがなるべく抑えてみますわ。ですからわたくしの後ろ首に向けて魔法を思いっきり飛ばして下さいませ!」

「首後ろ?」

「そうですわ。そこに『戒めの鎖』の印があるはずですの。頼みますわ!」


 レナがそういうと、急に水柱がレナの背後を守るかのように常時発動され始めた。どうやらそこにレナを縛る印とやらがあるみたいだ。レナを束縛する印とやらを破壊すれば良いわけだ。

 だけど、同じ神の魔法な上に、相性が悪いと言う事でこちらが圧倒的に不利だ。どうにかして後ろの水柱を無力化出来なくちゃいけないのに……。


『マナ様。攻撃にシャドウデビルの魔力は使わない方が得策です』

「どうして?」

『悪魔は悪魔の魔法が一番効くように、神は神の魔法が一番効くのです。悪魔と神では互いに反発しあって威力が半減してしまいます。神を使役する者と、その者のシャドウデビルでない限り』


 神も神が一番効くだなんて、少し不思議だけど悪魔はそうだったって自分で一番よくわかってるから信じれる。まぁフィエロを疑う理由なんて無いのだけど。そしてウチが使う〈神魔破陽弓〉は確かに反発していない。シャドウデビルは悪魔ではあるが特殊で、その人の内に初めから宿る悪魔だと言っていたし、その人が受け入れているから神もそのシャドウデビルは受け入れる事が出来て反発しないのかな?

 だとしたら、相手が使っている魔法は神の魔法。シャドウデビル分威力が半減してしまう。確かに今シャドウデビルを使うのは得策では無いね。


「ごめんシャドウデビル。今回は少し休んでて」

『私は君だよ? 言われなくても分かってる。だけど、水の防御に対してだったら使った方が良いはずだって気づいてるはずだよ』


 防御に……?


 そっか。反発するから威力が半減するけど、防御は元々反発して防ぐための魔法だから、神の魔法に対してだったら防御力が増減するのか。

 前に竜田がリクの三の太刀を防ぐ事が出来たのもこれが原因だったのかもしれない。そう考えると……。


「そうだね。レナの魔法に対しては悪魔の防御を使わせてもらうね! だとすると、レナの背中にある魔法はフィエロで破るしかない!」


 これなら、少しは属性の優劣に対してあまり気にしなくてもいけるかも知れない!


「マナさん、上から来ますわ!」

「!?」


 レナの言葉と共に、ウチの体を大きな影が覆うが、ウチはその正体を見る暇も無くすぐに横へと飛びさり、そこから〈火矢〉を放つ。

 威力が逆に倍増されるのは向こうも同じなのでこの程度ではすぐに消えてしまったけど、これは牽制にしか使えない。

 それなら絶え間なく矢を放ち続けて攻撃と防御を集中させるような高度な魔力操作を与えさせる考えを思いついた。

 どこかでボロが出れば良いなと考えているけど、レナの意識が戻ったおかげで魔法を放つ事はなく、自然とその水を自由自在に動かしているだけで終わっている。

 魔法を放つ様子が無いのでこれなら少しは楽になるとは思うが、ボロもあまり出やすくはならないだろう。


「〈火矢〉」


 迫りくる水に対して自由に飛びながら回避。隙間があればその間から矢を放つ。だけどやはりただの水だけでも邪魔に――。


「ちょっと待って」


 レナの背後の水はずっと上がったままで矢や弾丸のような魔法では当たるはずが無いだろう。あの水を突破するには爆散させた後すぐさま矢か魔法を放たなくてはいけない。だけどその隙に振り向かれたらダメになる。だけど、そのダメを逆に効率よく使えば……。


「……そっか。これなら行ける! フィエロ、いくつかセットするよ!」

『セット? それはどういう……』


 ウチは空を飛びながら水を避けている所を急降下で回避。地面までぶつかるその寸前で低空飛行すると、地面に魔法をいくつかおいていく。


『これは……ッ! なるほど、マナ様でしたらこの攻撃は容易に使えますね』


 だけどレナもバカではない。ウチの連続魔法が使用可能だとわかっているために、後ろから追って来ていた水が置いた魔法を全て破壊してきている。


『破壊されているようです。時間差発動ならあるいはと思いましたが、これはどうやって……』

「ウチは魔力操作が一番上手いの。それに、破壊されるのは想定の範囲!」


 ウチはその後すぐさま急上昇。もれなく全て魔法陣は破壊されたけど、今一番重要なのはそこでは無い。今現在も魔力供給線(、、、、、)を繋げれていると言う事。

 レナの後ろまで飛んでいくと、レナはもちろん振り向きこちら側に背を向けない。


「〈金焔破陽弓〉!!」


 あとは、今空にある水がこちら側に追いつくまでが勝負!


 ウチが放った金色の炎の矢を放つと、空にある水が急停止し、レナの周りにある水が操られてそれを防御する。だけどやはり属性の相性という事もあって水は全て蒸発するだけでこちらの矢も消えてしまった。

 だけどウチはそのまま飛んで正面から突撃した。


「マナさん!? 真正面からですと大量の水がッ!」


 レナの叫びと共に空にあった水が急降下して襲い掛かってきた。そこらへんにあった水を操っているだけだとは分かっていても、この量はさすがに予想外である。

 でも……。


「大丈夫! シャドウデビル、魔力全開で防御行くよ!」

『おっけ~』

「〈フレアウォール・デビル〉!」


 黒い炎が現れてその大量の水を防ぐ。これが魔法でなかったからこそ少しの間だけ防げる!


「一体何を――」

「魔力供給線を通して魔法陣再構築。……完了~」


「『――は?』」


 地面へと手をつけたまま、魔力を流した。



「〈フレアランス〉!」



 ウチは魔法を発動。

 だけどウチが手をつけた場所から魔法は発動されていない。


「マナさん、何をやって――ッ!?」



 その時、喋っていたレナの真後ろから炎の槍が後ろ首に直撃した。



「ぁ……」


 パリィィン。


 魔力が破壊されるガラスが割れる音が鳴り、レナが力なく倒れた。


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