番外編:愛しき英雄達よ6
更新が遅れてしまい申し訳ありませんでした。(汗)
後数話ほどしたら曹操などの話に移ります!!
「劉備お父様、孫堅お父様。御二方の気持ちは理解しております」
夜姫に父に言われた2人は心中に痛みを覚えた。
こんな可憐な娘を悲しい思いをさせてしまう。
それだけで痛いのだ。
「そのように悲しい顔をなさらないで下さい。先ほども言った通り御二方の気持ちは理解しております故に」
と、夜姫は言い2人に酒を注ぐ。
「何より私としても少しばかり曹操の動向が気になるので袁術と袁紹の領土を行き来するのは有り難いです」
曹操の動向を?
「前にも言いましたが、私の妹は曹操と似ています。故に接するでしょうから有り難いのです。何より曹操なる男が如何なる人物か・・・・些か興味がありますの」
「姫様!また御戯れを!!」
ここで李広がズイッ、と前に出て夜姫を窘めるように口を開いた。
「良いですか?貴女様は都を治める長にして、我等を誘い、養って下さる大切な御方。あのような能ある奸臣に興味など持つ必要はありませぬ!!」
如何に能力があろうと臣下にせず倒すなら尚の事。
「もし、毒牙に掛かったら爺は生きておれませぬ!!」
「大丈夫よ。あの男は好色だし、私に興味を抱いているわ。でも、親族は意外とマトモよ」
特に夏候惇という人物・・・・・・・・・
「あの男は優秀だわ。そして紳士だもの。出来るなら・・・・・・・・」
「姫様!!」
李広は激昂した声を上げた。
「はいはい、解ったわよ」
と、李広の様子を見て夜姫は手で制するが・・・・・・李広は黙らない。
「姫様、今日と言う今日は言わせてもらいます。貴女様は我等を始めとした長にして、大事な家族であります。軽々しい言動は慎んで下さい」
さもなくば・・・・・・・・
「この李広、爺として立つ瀬がありません」
「解ったわ。慎むわ」
夜姫は李広の様子を見て神妙に頷いたが、李広を含めた者達から言わせれば「その場凌ぎ」でしかない。
きっと夜姫は何らかの形で曹操と接触するだろう。
そうなれば面倒事になるのは十中八九「決定」したようなものだが・・・・・夜姫が決めたのなら従おう。
それが彼等の気持ちだったのだが、李広としては爺役として言いたかったのだろうとも思った。
「では、姫様。次の話題に入りましょう」
李広は夜姫に新たな話題を持ち掛けたが、夜姫も解っていたのか「朱花、翠蘭」と2人の侍女を傍に寄らせる。
「そなた等2人に問う。今後・・・・・どうする積りだ?」
「ど、どうとは・・・・・・・?」
「・・・・・・姫様に仕えるか、それとも故郷に帰るか、という訳ですか?」
李広の言葉に朱花は困惑したが、少し考えたのか・・・・・翠蘭は恐る恐る問い返した。
「そうだ。そなた等2人はハンニバル殿とスキピオ殿の腕輪を所持していた。つまりは何かしらの縁が働いたのだろう」
異国人同士が結ばれるのだから確かに・・・・・そうだろう。
「しかし、だ。御2人は既に姿を見せて、そなた等2人の縁は途絶えたと言って良いだろう。そして戦いも一先ずだが終わった」
ただし、これからは・・・・・・更なる戦いが待ち構えており、必然と国全体を巻き込む大戦になるだろう。
「そうなる前に逃げるか?それとも姫様に仕え続けるか?それを今すぐ答えろ」
と、李広は2人に詰め寄る。
2人は余りにも突然の言葉に困惑を隠せないのは言うまでもないだろう。
「儂としてはそなた等以外に夜姫様の侍女を務める者は居ない、と現時点では思っている」
李広は困惑する2人に再び困惑させるような事を言ったが、それについては説明を一応はした。
「そなた等は今の時点では役に立たたんが、それでも侍女としての役割を務めていた。下心を持たずに、な」
それが理由と李広は言ったが、2人にとっては何とも信じがたい言葉だった。
「は、はぁ・・・・・・」
「ありがとうございます・・・・・・・」
余りな理由であり褒め言葉に2人は困惑したが、李広は「それだけだ」としか言わず後は2人が決めろと言わんばかりに「さぁ、言え」と迫った。
「ちょっと爺。いきなり止めなさい」
夜姫が見かねて李広を止めると改めて自分の口から「私は貴女達に侍女として務めてもらいたい」と告げた。
「さっきも話したけど、今の私---即ち転生した私は友達が少ないの。そして・・・・この世界では貴女達が頼れるのよ」
それは解るでしょ?
と問われた2人は・・・・・今の夜姫ではない・・・・・・即ち転生した夜姫を思い出し頷く。
「だから、私としては続けて欲しいの。でも、もし、嫌なら諦めるわ」
来る者は拒まず、さりとて去る者も追わず・・・・・・・・・・
「それが私の流儀だから。まぁ、本当に手放したくないなら殺してしまえ、とも思うけどね」
嗚呼、こういう所が危なっかしいと2人は思った。
夜姫は・・・・・転生前も転生後も共通点が幾つか在る。
去る者は追わず、それでいて自分の気持ちを覆い隠そうとしている点だ。
その点は転生前の夜姫が解り易く見ていて傍に居ないと危ない、と思われる為に今まで侍女として傍に居たのである。
ならば答えは決まっている。
「私は侍女として居ます」
「お、同じく!!」
翠蘭が先に答えると朱花も慌てて答えた。
「夜姫様、私は貴女様に仕えておりますが、どうしても危うい妹のように見えてしまうのです。ですから傍に居させて下さい」
と、翠蘭は主人として仕えながらも妹みたいに思っていると答えた。
「え、と、私も似たようなものですけど、翠蘭が妹なのに対して私は友人か、まぁ、些か天然な姉として見ています」
「そう・・・・ありがとう」
2人の言葉に何かを感じ取ったのか、夜姫は月色の双眸を細めると静かに正座し頭を下げた。
「では・・・・これからも私の侍女として身の回りを頼むわ」
『・・・・・御意に』
夜姫の態度に応じる如く首を垂れたが、ここでも李広が口を挟んできた。
「ならば、姫様を護れるように武芸を身に付けてもらうぞ」
「ちょっと爺・・・・・・・」
突然の申し出に2人が驚き、夜姫は止めようとするが李広の方が先に喋り出した。
「侍女とは主人の身の回りを世話するが、それだけではない。時には曲者から主人を身を挺してでも護らねばならん。故に覚えてもらうぞ」
徹底して鍛えてやる、と言う李広の顔は夜姫に見せるような好々爺ではなく逆の顔であり、嗜虐心に満ち溢れていた。
恐らく侍女として2人は李広から見れば下の下であり、それを今まで我慢してきたのだろう。
しかし、2人が侍女を続けると言ったのだから・・・・・・これは好機と考えたに違いない。
「有り難く思え。この儂が徹底して鍛えてやる。そなた等は実に鍛え甲斐があるからな」
「爺。少し待ちなさい」
恐れ戦く2人を護るように夜姫が再び李広に話し掛けた。
「爺を馬鹿にする訳じゃないけど、皆で鍛えるわよ。それに私が見る限り・・・・・この2人、“得手”が既にあるわ」
「何と・・・・・・ふ~む・・・・・・・」
夜姫の「得手」なる発言に李広は驚いて繁々と2人を上から下まで無礼と言われる位に見るが、何かを感じ取ったのか静かに夜姫に眼を向けた。
「確かに、ありますね・・・・・いやはや、やはり姫様には敵いませんな。この老い耄れでは見抜けませんでした」
「仕方ないわよ。私の方が生れ付き見えるんだもの。まぁ、そういう訳だから・・・・・宜しくて?」
「御意のままに」
李広は夜姫の言葉に首を垂れるが、当の2人は何が何やら解らない顔をしていたが・・・・・不意に流れる音楽が変わり夜姫が立ち上がった事で思考を中断した。
この音楽を聞いたからだろうか・・・・・・・・・・?
それとも・・・・・・・・・・・・