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月の姫と英雄たち  作者: ドラキュラ
長安編
136/155

第五十九幕:舞の幕は下ろされる

更新が遅れました!


後数話---2話か3話で長安編は終わる予定です!!

家々を焼いた紅蓮の炎が城にまで迫り始めて来た。


その熱気は中に居る者達にも伝わってきたが、誰も逃げようとはせずジッと待っている。


しかし、中には我慢できない者も居た。


「遅い!遅すぎる!!」


と、一人の男がガチャガチャ、と鎧を鳴らして声を荒げる。


年齢は壮年で鎧からしても中々の位を授かっているようだが、性格は些か短気に見える。


「そう焦るなよ。それとも寝台の中でも焦るのか?」


くくくくく、と壁に背を預けた男が皮肉を言えば、男はジロリと眼を向けた。


「誰が焦るか!しかし、幾らなんでも遅すぎる!!」


「そう怒るなよ。それとも火が恐いのか?」


「誰が恐いものか!だが・・・・・・・・」


「だが、何だ?お前さん、さっきの言葉を間違えたのか?」


『我々は董卓様が出て来るまで待つ!!』


「・・・・そう言っただろ?なら、待てよ。まぁ、その時は姫さんが連れて来るだろうがな」


男は金色の双眸を細めて言い、チラリと男の左側に居る反董卓連合軍の将兵を見た。


「てめぇらに聞くが・・・・・誰が勝つと思う?」


奥の部屋で戦っている2人の内・・・・・・・・・


『我らが姫君!!』


と、連合軍の将兵は迷わず答えた。


逆に董卓軍に問えば・・・・・・・・・・答えは返ってこなかった。


しかし、それこそ彼らの答えであろう。


何せ相手は・・・・・・あの娘だ。


呂布と民兵の軍勢を数人の部下を連れて、その人数だけで突破して連合軍の陣へ自力で帰り、返す刃で今度も突破した。


勝てる訳ない。


それでも信じたいのか・・・・・・問いを投げた男を睨む。


「良い眼付きだな。董卓と言えば、天下の大悪人だが・・・・・あんた等、董卓が好きなんだな」


「あぁ、好きだとも。少なくとも私と華雄は殿が上官になって仕え始めたが・・・・・末端の兵士などは最初から従っている者も居る」


だからこそ、董卓を死なせたくないのだ、と胡しんが代表者として断言した。


「なるほど。姫さんと似ているな・・・・・・・・」


道化は何か感慨深い気持ちになったのか、金色の双眸を細めて呟いて・・・・・奥の部屋を見る。


今も聞こえる。


鉄と鉄が打ち合う音が・・・・・・・・・


「へへへへへ・・・・・良い音だな。今頃、姫さんは上機嫌だろう」


「確かに・・・・姫君は男性遍歴こそ激しいが、ちゃんと見ていれば自ずと好みは分かる」


と、道化の言葉に西楚の覇王と謳われた項羽が相槌を打つ。


「おやおや、寵愛を受けた男の僻みか?」


「まさか・・・・ただ、些か妬きたくなる。昔なら私が相手をしていたのが、今は董卓という男が代わりをしているのだからな」


涼しい顔で項羽は言いつつ、道化と同じように奥の部屋を見て・・・・・残りの者達も奥の部屋を見ては勝負の行く末を黙って待つ事にした。

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「とりゃああああああ!!」


連合軍と董卓軍の兵達が扉の外に居る中で、一人の男が獣みたいな雄叫びを上げて白刃を振り下ろした。


それを相手は左右にある稜線で捌くと、そのまま逆袈裟に斬り上げるように白刃を振る。


「ぬぅっ!!」


男は唸り声を上げながら後方へ引き、白刃を両手で構えた。


年齢は壮年で如何にも「武将」という雰囲気を醸し出しており、貫録は十分である。


対する相手は20になったばかりの娘で、この世の者とは思えない容姿をしており、装備も見た事がない物ばかりだった。


「・・・・強いな」


一言だけ男は両手に構えた剣を握りながら呟く。


風格と同じく声も貫録があるのだが、何処か楽しんでいる色が含まれていた。


「それだけ強いのに何故、逃げようとしなかった?それに呂布にも負けたのだ?」


いや、あの男に負けたのは単純に時間制限があったからか、と男は言い直す。


「えぇ、そうよ。逃げなかったのは貴方と居る時間が欲しかったからよ」


クスッ、と娘は年齢に似合わない笑みを浮かべてみせる。


ただの人間が見れば、それだけで死にそうな笑みだが・・・・・・・剣を構える男には通じなかった。


「大した殺し文句だ。だが、わしは欲深いんだ。そなたを物にしたい、と思いながらも・・・・・恐くて触れられない」


だから、ただ、近くに置いて見るだけに留める。


「それは今までの事で解っているだろうが・・・・・・・」


「あらあら、悪名高き男が言うには情けない台詞ね?でも、良いんじゃなくて?」


それも男の甲斐性と言える、と娘は言いながら片刃の剣を水平にして切っ先を男の喉に向けた。


「さぁ、もっと舞いましょう。時間は待ってくれないわ」


「あぁ、そうだな。では、舞うとしよう。織星夜姫殿」


「えぇ、何時でも来なさい。天下の大悪人---董卓様」


どあああああああああ!!


男---天下の大悪人と言われる董卓は掛け声と共に床を蹴り、その体格からは想像できない俊敏な動きで距離を縮めると上段から斬り下した。


「ふっ・・・・・・・・」


娘---織星夜姫は月の双眸を細めて、両手で握った剣を掴むと半身となり小手を斬ろうと試みる。


小手を斬れば武器は握れないし、動脈も流れているから致命傷になるからだ。


「甘い!!」


しかし、董卓は体格を活かした当て身を夜姫に食らわす。


「まぁ、勇ましい」


と、夜姫は笑みを浮かべながらも董卓の当て身を受けて、その力を利用し位置を変えて背後から袈裟斬りを試みる。


「ぬぅ!!」


董卓は振り返り、剣で受け止めるが一瞬だけ遅く・・・・左肩に白刃が食い込む。


「ぐっ・・・・・・・!?」


その鋭い白刃が董卓の肩に食い込んで、董卓は呻き声を上げるも足を踏ん張り押し返そうとする。


「中々にやるわね・・・・・でも、貴方の剣では出来ないでしょ?」


こんな風に、と夜姫が言い白刃を後ろから手で押す。


すると、肩辺りで食い込んでいた白刃が肉を更に斬り、骨にまで達しようとした。


あ、と年老いた女が悲鳴を上げて他の者達も眼を逸らす。


董卓の親族だが、誰も手出しせず勝負の行く末を見守っているが・・・・・如何に大悪人でも見るに堪えないのだろう。


「皆の者、よく見ろ!この天下の大悪人である董卓が斬られているのだ!悪人の末路を見届けよ!!」


董卓は敢えて親族に叫ぶが、それは自分に対する檄でもあったのは言うまでもない。


「ぐっ・・・・なるほど、片方しか刃が無いから・・・・・・そのように出来る訳か。しかも、反りがあるから斬撃でも威力を増す。実に考えられて・・・・・・ぐっ・・・・・いるな!!」


小娘と言える年齢の夜姫に力負けしている自分を嘲笑しながらも董卓は武器の性能を口にしながらも、柄に力を込めて力任せに押し返した。


「ぐぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


ブシュゥゥゥゥ、と大量の血飛沫が肩から吹き出て夜姫を赤く染めるが、それによって夜姫は眼を一瞬だが封じられる。


「どりゃあああああ!!でぇぇぇぇぇぇぇい!!」


渾身の力を振り絞り、董卓は夜姫に剣を振り下ろすが、それを夜姫は半身となり避けたが、董卓の剣は両刃ゆえに左右どちらに振っても相手を攻撃できる。


故に第二撃として・・・・・半身となった夜姫の胴を狙ったのだ。


誰もが胴を斬れたと思った。


事実、董卓の剣は夜姫の胴を捕えたのである。


しかし、やはり漢王朝という地上の天下は物に出来た男でも・・・・・・天よりも至高の存在を治める夜姫には敵わぬようだ。


ガピーン!!


董卓の剣は確かに夜姫の胴を捕えたが・・・・・その捕えた白刃は虚しく宙を舞った。


これを見て董卓は眼を見開かせるが、直ぐに微苦笑してみせた。


『所詮・・・・・わしは地上の大悪党にはなれても天を越えた大悪党にはなれなんだか』


と、思いながらも董卓は舞を続けるかの如く折れた剣を握り振り上げたのである。


間もなく舞は・・・・・・・幕を下ろす。


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