幼馴染は托卵女
前編、後編合計三千字程度で、モノローグ形式の短編となります。
どうも、お久しぶり……で、いいんですよね。
まあ、最後に顔合わせたのって、私が物心つく前って聞いてますし?
お元気そうでなによりですよ。
……元、お母さん。
私も忙しいので、要件は簡潔に済ませてもらえると助かります。
ええ、気付いてなかったらすいませんが、これでも来月からは受験生ですので。
いや女子枠とか……使いませんよあんなの。
実力も無いのに不釣り合いな大学行っても、自分が後で困るだけですし。
親にその態度は何だ……ですか。
はあ。まさか……貴女、まだ私の母親のつもりだったんですか?
正直、貴女の血を引いてるって考えただけで虫酸が走るんですが。
ああ……丁度今の私と同じ年くらいでしたっけ。
子供の頃から、ずーっと一緒に居て、正式に交際までしてたお父さん裏切って、騙くらかしてくれやがったのって。
……ああ、はい。知ってますよ。
貴女に托卵されて出来た娘なんでしょう、私。
確か、新任の面だけが取り柄の教師に引っかけられたのを押し付けたんでしたっけ。
……ええと、グルーミングされたから?
何もかにも人のせいで、自分は悪くありません、って?
全部アンタが性欲に流されて、自分の意思で決めてやった事でしょ。
本当に気持ちが悪い……何でそんなことが出来るんです?
まともな人には悪いけど、アンタらの世代ってそんなのばっかりじゃないですか。
どうせ……私とアンタを養うために、高卒で働くことになったお父さんの気持ちなんて、考えもしなかったんでしょう?
まあ、二、三年くらいでバレて、肝心かなめの淫行教師は塀の中、アンタはお爺ちゃんとお婆ちゃんも怒らせて、家から叩きだされて、私を置いてそのまま何処かにトンズラ、でしたっけ。
何で、あんな優しい祖父母から、アンタみたいな汚物が生まれたんでしょうね。
何で、アンタみたいな汚物の、血も繋がってない子供を……私の……お父さんは育ててくれたんでしょうね。
……何で、あんな優しい人たちが、アンタみたいな汚物に人生ひっかきまわされきゃならかなかったんでしょうね?
はあ?――知ったような口を、今更善人面してほざくな……気持ち悪い!
もう……アンタがいなくなってから十年以上経ってるんです。
面だけが取り柄だったアンタみたいなクソ女に今更シャリシャリ出て来られても困るんですよ。
とにかく――私の家族はお爺ちゃんとお婆ちゃんと、お父さんだけです。
アンタが誰に何回捨てられようが、借金どれだけ抱えてようが知ったっちゃありません。
どうぞ私のいないところで一人で朽ち果ててください。
ああ……正直、会うんじゃなかったって後悔してますよ。
本当に気持ち悪い。二度とそのツラ見せないでください、アバズレ。
◇
黙ってアレと会ったのは悪かったと思ってる……ごめん、お父さん。
でも、せめて一言くらいは言ってやらないと気が済まなかったの。
え、ああ……最悪だったよ。
もう二度と会いたくない。
見た目も、残ってた写真と比べても、見れたもんじゃないくらい酷くなってたけど、中身の方はそれ以下。
自分が何やらかしたのか、それっぽい事を取り繕って言ってたけど……悪い意味で、全っ然……分かってなかったみたい。
今更、反省したからどうだって訳じゃないけど……もうちょっと、ほんの少しくらいはさあ……!
あ、うん。大丈夫。何もなかった。
その……後始末はお爺ちゃんとお婆ちゃんと、お父さんのご両親にも相談したから。
……え?うん。
その、最後の慈悲で外国に住んでる親戚に預かってもらったんだって。
結構厳しい環境みたいだけど……矯正も兼ねてるんだってさ。
元々、借金まみれで他に行くところも無かったみたいだし、多分もう戻ってこれないんじゃないかな。
少なくとも……もう二度と私たちの前には出て来ないって。
うん、本当なら……お父さんにも謝らせるべきだったのかもしれないけど……
大丈夫?本当に?
うん、そうだよね。ごめん。
それじゃ……えっと、さ。
こういう事はちゃんと言葉にして伝えないと駄目だと思うから。
特に……私は。
ん……こほん。
それじゃ改めて。
心配かけてごめんなさい。
それと、いつも本当にありがとう。大好きだよ、お父さん。
その……えっと、これからもよろしくね。
評価、ブックマークをいただけると執筆の励みになります。




