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8歳

◇◆◇



 月日が経ち、俺は8歳となった。

 今日はお客さんが来るとのことで、何やら昨日からクロードが忙しそうにしている。


「ヴォルター様、本日はこちらの服をお召になってください」


 クロードにいつも着ているような普通の服ではなく、カッチリとした正装を渡された。


 お客さんのためにわざわざ正装するなんて、よほど気を使わなければならない人が来るのかな。


「誰が来るの?」

「ヴォルター様はまだお会いしたことがございませんが、この辺一帯を治める領主、カール・アウグスト・フォン・バーデン辺境伯様でございます」

「へ、辺境伯様!?」


 貴族様じゃないか!


 本で読んだことだが、確か辺境伯様って騎士爵、男爵、子爵、伯爵の更に上だったよな。なんでそんな偉い人が家に来るんだ?

 ……何か問題起こしたとか?


「ローベルト様とラウラ様はアウグスト家現当主の、バーデン辺境伯様と懇意にしていただいているのですよ」

「え、そうなの?」


 辺境伯様と懇意にしているって、父さんは貴族位とかを持っているなんて話は聞いたことがないが……。


「はい。ヴォルター様が生まれるよりも昔、まだローベルト様達が冒険者として活躍しておいでだった頃、バーデン辺境伯様と共に冒険をされていたのです」

「え、辺境伯様が冒険者だったの?」

「そうでございます。辺境伯というのは国境付近を領土としますから、後継は幼き頃から修行に励み、戦いの経験を積むのでございますよ」


 確か、この村が所属している領土の隣には『カリオデの森』という名の広大な森林地帯が広がっていた。

 バーデン辺境伯領はその森との国境を管理しているのか。


「特にこの領土と隣接する『カリオデの森』の奥には強大な魔物も住み着いておりますから。対魔物の戦闘経験を積むには冒険者が一番なのです」


 一緒に冒険をしたことがあるっていうなら懇意にしてもらっているのはわかるが、わざわざうちに何をしに来るんだ?


「なんでこの村に来るの?」

「どうやらこの村を通った先にある隣の領土へご用があるようで、その道すがらこの村で旅の休息を、とお考えのようです」


 そうなんだ。

 前世を含めても貴族様に会うなんて初めてのことだから緊張だ……。


「挨拶とかってどうすればいいのかな……?」

「ほほ、そこまで緊張なさらずとも無礼を働かなければ大丈夫でございますよ」


 その無礼の基準がわからないから聞いているんだが……。

 きちんと敬語で話せれば大丈夫かな。まだ体は子供だし、多少は甘く見てくれたらいいのだけれど。


「いつ頃に来られるの?」

「夕方ごろに到着予定とのことです」


 それならば、魔法の修行を早く切り上げてその後に着替えればちょうどいいかな。


「わかった、ありがとう。そうしたら魔法の修行を早めに切り上げてから着替えることにするよ」

「かしこまりました」



 さて、貴族様が来るまでは時間があるし、まずは剣術の修行から始めますか。

 とは言っても、今日は父さんと母さんもバーデン辺境伯を向かえるための準備をするらしいから、1人でやるしかない。


 とりあえず走り込みから始めるか。




 剣術の修行を始めてから2年、今の俺のステータスはこうなっている。


【ステータス】

【名前】ヴォル・クルーガー

【職業】

【称号】神に愛されしもの

【魔力】3372

【体力】785


 剣術の修行を始めたころには体力が2ヶ月で35ほどしか上がらなかったが、走り込みや素振りの量を徐々に増やしていくことで、成長の速度も格段に上がった。すでに一般の大人と同じ程度には成長している。

 魔力はだいたい1年で500ほどずつ成長している。このままの調子だと母さんの5万という魔力量に達するには……90年ほどかかるんじゃないか?いやいや、その頃には自力で歩けるかも怪しいぞ。

 となると、もう一つの方法で伸ばしていくしかないか。


 その方法とは、『魔物を討伐する』というものだ。ある程度の魔物を倒すことで魔力や体力が上昇するのだそうだ。

 なぜ討伐するだけで魔力や体力が成長するのかはわからないが、きっと小説や漫画で言う『レベルアップ』のようなものだと思う。多分、神様の暇つぶしの一環なんじゃないかな。


 しかし、まだ俺は魔物と出会ったことすら無い。年に数度、村の近くに魔物がやってきてはいるのだが、危険ということで家からは出してはもらえない。その間に父さんと母さんがあっさりと討伐してしまうのだ。


 父さん達の許可が出たら魔物の討伐にも参加させてもらえるようになるかな。

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