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◇◆◇


「さてと、ヴォル。修行を始めるぞ!」

「はい!父さん!」


 剣を習いたいと告白した後日、さっそく剣の修行を始めることとなった。

 もちろん魔法の修行も並行して行っていくため、基本的には昼過ぎまでは剣術。その後に魔法の修行を行う予定だ。魔力を使い果たしてしまっては体を動かすどころではなくなってしまうからな。


 6年ぶりに剣を使うことができる!

 昨日は楽しみでなかなか寝付けなかったからな!


「まずは走るぞ!」

「はい!……え?」

「ん?まずは剣を振る以前に体力をつけなければな」


 ああ、それはそうか。まだ生まれてからまともに運動もしていなかった……。まずは体力がないと何もできないか。

 確か、今の体力は……


【ステータス】

【名前】ヴォル・クルーガー

【職業】

【称号】神に愛されしもの

【魔力】2141

【体力】85


 85って、魔法を習い始めた頃からあまり上がってなくないか……?

 まあ、魔法の訓練で肉体的に疲労するようなことはなかったから、仕方のないことか。

 魔力だけ見れば一般的な魔導士くらいはあるのになぁ。


「素振りに入る前に、体を自分が思うように動かせるようにならなければな。運動になれるのが最初の課題だ」

「はい!」


 と、いうわけでさっそく家の敷地外へ出てランニングを始めることになった。




 ヴォルは道端で四つん這いになり、苦しそうに肩で息をしている。


「大丈夫か?ヴォル」

「う、うん……。す、少し休憩」

「まあ、初日だからな。ゆっくり慣れていこう」


 子供のころに体を動かすのってこんなにもきつかったっけ……?手足が短くて動かしにくくて仕方がない。



「あら、クルーガーさん。息子さんと運動ですか?」


 休憩していると、近くで畑仕事をしていたおばさんが話しかけてきた。


「ええ、息子に剣を教えることになりましてな」

「あら~!きっとお父さんみたいに強くなられるんでしょうね!」


 前にクロードから聞いたことだが、父さんと母さんはこの村ではかなり有名な夫婦らしい。一級冒険者ともなればそりゃそうか。

 二人はいつもこの村で出た魔物を討伐しており、村人から感謝されているみたいだ。とはいっても、この村の周りではあまり強力な魔物は出ないらしいが。


 ……それにしても父さんは両目が見えないのにどうやって周りの様子を感じ取っているんだ?今も当たり前のようにおばさんと話しているし、ここまでもなんの障害もなく並走してきた。

 今まで近くで見てきて当たり前のように感じていたが、何か魔法的な力を使っているはずだよな。

 せっかくだ、聞いてみるか。


「父さん」

「ん?どうした」

「父さんって、どうやって周りを見ているの?」

「ああ、それか。『気』を感知しているんだよ」


 気?魔力のことか?


「魔力のこと?」

「いや、魔力とは異なるものだ。んー、説明は難しいが、人や動物、植物、大地。この世のものはすべて気で溢れているんだ。魔力とは違ってすべての存在が持つ、生命エネルギーとでもいうものかな。これを周囲から感じとることができれば、周りの状況、生物の動きを把握することができるんだ」


 前世ではスピリチュアルな存在だった気が、この世界ではエネルギーとして実際に存在しているということか?それを感じ取っていると?

 ほとほとこの世界がファンタジーだと感じさせられる。


「それだけでなく、目が見えない分、鼻や耳などほかの感覚が鋭くなっているっていうのも要因としてはあるが、今の俺には目が見えなくともなんの支障もなく生活ができるのさ。戦闘だって昔ほどではないが、そんじょ其処らの魔物には負けんぞ」


 自分の腕の力こぶを見せつけながら、ニカっと笑っている。


「その気ってどうやって感じるの?」

「まずは自分の体から出ている気を感じ取るところからだな。まあ、剣の修行が進んだら教えるから今は走るぞ!そろそろ体も休んだ頃だろう?」


 そうだな、修行には手順ってものがある。まずは今できることからやっていこう。


「うん!」


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