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理と異邦の剣士  作者: いろは
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4.この世界の常識

 トルネラと出会ってから1ヶ月が過ぎた。

 この1ヶ月の間にトルネラからこちらの世界のお金の種類・文字・常識を教えてもらった。


 最初に俺はこことは違う世界から来た。と伝えたら、「あら、そうなのかい。それじゃ常識を教えとくかい」と言って、俺の言葉を信じてるのか信じてないのか分からなかった。


因みにこの世界のお金についてはこうだ。

石貨:1ゴールド

銅貨:100ゴールド

銀貨:1,000ゴールド

金貨:10,000ゴールド

白金貨:100,000ゴールド


 文字はまだ完全には覚えれてないが、ある程度は文字を書けるようになった。この世界は日本と違って識字率は高くはないそうだ。なので、徐々に覚えていけばいいと優は思っていた。


 この世界は地球と違って危険が多い。

 まず魔物と呼ばれる所謂モンスターなる存在がいる。

 魔物にはランクがあり、1から10までのランクがある。数字が大きくなるにつれて魔物の知能が上がり、強くなっていく。


 そして、森の中で出会った小鬼や狼も魔物の一種である。

 因みにあの小鬼は見た目通りゴブリンで狼はウッドウルフと呼ばれているらしい。他にもこの森の浅いところではトレントと呼ばれる木に擬態にして不意打ちを得意とする魔物や大きなキノコの形をしたギノールと呼ばれる魔物達でランクは1から2のランクである。そして、奥に行けば奥に行くほど魔物のランクが上がり、森の最奥には最大でランク8の魔物が確認されている。


 さらにこの世界には様々な種族がいる。

 全てにおいて平均的な種族の人族の他に魔法と精霊魔法、弓が得意で森の中で自然と共に生活する耳長族エルフ・鍛冶が得意な地底人族ドワーフ・獣の特徴を体に宿し、身体能力が非常に高い獣人族・魔法にも長けていて身体能力が非常に高く、総じて他の種族よりも強い特徴があるのが魔族などの種族いる。

 人種の中からは纏めて亜人と言われる事があるが、この言葉は差別用語であり、亜人と言う言葉は中々使われない。

 魔族は鬼人・吸血鬼・妖精・悪魔など他にもあるが種類があり、それらをまとめて魔族と言う括りにされている。

 中でも魔族は力こそが全てという考えの者が多く、国で一番強いものが王になり魔王になる傾向がある。それ故、力さえあれば貴族でなくても王に慣れる資格があるので、五種族の中でも一番王の変わるのが早い。


 高位の魔族になればランク1~4までの魔物を無条件で使役できる。より力のある魔族である条件下にあればランク8の魔物を使役を出来る。

 そして、今の魔王は歴代の中でももっとも好戦的と言われ、この世界を征服する為に魔物を使い、各地で暴れまわっている。力に物を言わせて破壊の限りを尽くしている者が多い中、最近ではスパイ活動や洗脳をして徐々に内部から崩壊させる者も出てきて魔族対他種族という構図が永らく続いている。

 魔族と言う共通の「敵」がいる為、魔族以外の種族は今は協力関係にあり、友好関係は良好である。


 この種族の話を聞いた時に優は自分がこの世界に連れてこられた時に見た映画の様なモノは殆どがこの耳長族、地底族、獣人種だった事を思い出す。


(あの時亜人って言ってたし、俺を連れてきたのは人族?もしそうだったとしたら、いくら共通の敵がいるとは言え1枚岩じゃないんだな。)


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 お金の種類・文字・常識をトルネラから学びながら、日本にいた頃にやっていた剣の素振りや筋トレ、型などを継続してやっていた。


 トルネラからは魔法と魔力の事を教えてもらった。

 トルネラ曰くこの世界の魔法は詠唱から魔法のイメージをして魔力を練って魔法を発現させる事が主流でこの詠唱の部分を省略して無詠唱で魔法を発現させる事は高等技術らしい。


 後は如何にその魔法に魔力を注ぐ量によって魔法の威力が左右される。例えば火魔法で一番簡単なファイヤーボールでも魔力を注ぎ込む量によって威力が左右される。大量に魔力をつぎ込めば岩をも焼き焦がし、消し炭にできる事も出来る。しかし、大量に魔力を使うには上手くコントロールしなければ魔法が暴走し、自分に被害が出て威力が高い魔法を使うほど緻密な魔力コントロールが必要になってくる。


 魔力は魔法を使う元になるモノでこれが無ければ種族関係なく、魔法が使えなくなる。そしてこの魔力が無くなれば気を失って倒れてしまうので魔法主体で戦う者は如何に自分の魔力を管理しながら戦うのが大切らしい。

 そして、魔力は生まれ持った才能も関係するが、限界まで使うと魔力が少しづつ増えていくらしい。この事はあまり世間には知られていない知識とトルネラは言っていた。


 トルネラには自分が雷?っぽい魔法が使える事を話した。


 そしたら、魔法には基本的に火・水・風・土の4属性が一般的で、上位属性として光・闇がある。それ以外にも確認されているが、その属性は極めて少なく特殊で『理』という括りにされている。

 俺の場合はその『理』の部類だと教えてくれた。


 その時トルネラは悲しい顔をしていた。優は何故トルネラが悲しい顔をしているのか分からず、困惑した。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


「それじゃ、おばあちゃん。行ってくるよ」


「あまり無茶しないでおくれよ。危なくなったら、すぐに逃げてここに戻ってくるんだよ」


「分かったよ。今度こそ行くね」


 優はこの1ヶ月ただ学んでるだけで無く、バルバラ大森林で魔物を狩っていた。

 トルネラと薬草を摘みに来た時にゴブリンが剣を持っていてトルネラがゴブリンを倒して護身用だと持っていた剣を優に渡した。ゴブリンと対峙した時は持っていた手が震えていたが、慌てるたびに初日に遭遇した狼、ウッドウルフと戦った時になった余計な思考が無くなり冷静に目の前の敵を倒す事だけの集中する状態になりゴブリンやウッドウルフを狩っていた。

 その度に切った肉の感触に吐いていたが、それも1ヶ月経つと吐く事が無くなり、あの状態にならなくても危うげなく倒せる様になっていた。


 あの雷に関しては日本いた頃から漫画やアニメを見ていたおかげで、イメージしやすく雷を纏ったり、放ったりしてある程度使える様になっていた。


 自分の魔力がどれくらいあるのか気になり家で限界まで雷を纏っていたらすぐに気を失ったので、あまり多くないと思い、今は気を失わない程度に使い、家で限界まで使って寝るという事を繰り返している。






「ふぅ、今日はこれぐらいにしておこう」


 ゴブリンやウッドウルフをある程度倒して倒した証明部位を切り取りトルネラがいる家まで戻った。


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 家に帰るとトルネラが夕食を作っていた。


「おかえり、ユウ。もうすぐ出来るからそこで待っていなさい」


 トルネラはそう言うとニコリと微笑んだ。その微笑みを見て優も自然と笑顔になり言われた通りに夕食が出来るまで待った。


 その日はトルネラに保存食の作り方を教えてもらってすぐに寝た。



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