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  作者: かいちょ
第1章 罪
10/10

第10話 葬送

静寂。

ただ、向の嗚咽だけが廃城に響いていた。

「Aya……」

「起きろよ……」

「なあ……」


返事はない。

向は震える手でAyaの身体を抱き寄せる。

まだ温もりが残っている。


「ごめん……」

「ごめん……」

「俺……」

「俺が……」


涙が止まらない。



「嫌だ……」

「嫌だよ……」

「Aya……」


聖は数歩離れた場所で立ち尽くしていた。


声をかけることも。

近づくこともできない。

ただ。

目の前の現実を受け入れられなかった。


「……向」

ようやく絞り出した声。

向は反応しない。


「向」

「もう……」

「もういい」

「離せ」






「嫌だ!」


向は叫んだ。


「Ayaは生きてる!」

「まだ!」

「まだ大丈夫なんだ!」

「救急車!」

「病院!」

「早く!」



聖は目を伏せた。

「向……もうダメだ」

「スマホは繋がらない」

「ここは山の中だ」

「……」

「もう」

「Ayaは……」









「やめろ!!」

向の怒声。

「そんなこと言うな!」

「Aya!」

「なあ!」

「起きろよ!」

「俺が悪かった!」

「もう疑わない!」

「だから……」

「頼むから……」

「目を開けてくれよ……」



返事はなかった。

夕日が沈む。

広間は暗くなっていく。

向はずっとAyaを抱いていた。


「……嫌だ」

「離したくない」

「嫌だ……」

「嫌だ……」

涙が床に落ちる。


その時。Ayaのポケットからスマホが落ちた。


画面が光る。

二人は凍り付いた。

「……」




震える手で画面を開く。

メモこう書かれていた。


『向』

『ごめんね』

『泣かないで』

『私は大丈夫だから』

『だから』

『生きて』

「……!」


向の瞳が揺れる。


「Aya……?」

聖は首を振る。

「違う」

「こんなの……」

「おかしい」

しかし。

続けて。


『寒いよ』

『向』

『どこ?』

『一人は嫌だよ』

「!」

スマホの画面が暗くなる。

そして。

広間の奥。

誰もいない闇の中から。



「向……」

小さな声。

向が顔を上げる。

「Aya……?」

「向……」

「寒いよ……」

「一人にしないで……」

向は立ち上がる。

「Aya!」

「待て!」



聖が腕を掴む。

「向!」

「違う!」

「Ayaは……!」

「離せ!」

「Ayaが呼んでる!」

「向!!」


向は聖を振り払い、暗闇の奥へ走っていく。

「Aya!」

「今行く!」

その姿を見つめながら。


聖は一人。

動かなくなったAyaの傍に座り込んだ。

「……Aya」

「ごめん」

「俺……」

「何もできなかった」



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