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片魂の王と転生少女  作者: 夢小物
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カチャサラ主席政務官


 第39章


 ヨロピン7公爵家のカチャサラ主席政務官とソーラー嬢がパールを訪ねて来たのは、休暇が終わる1週間前だった。


 「おはようございます。カチャサラ主席政務官、ソーラー様、何かございましたでしょうか?」

 「陛下が戻られましたので、公園の進捗状況の確認と、ヨロピン7公爵で建設予定の温室の設計図をお持ちしました」


 「カメールは朝から現場に出向いていますけど、行き違いがございましたか?」

 「いいえ、報告は毎日受けておりますが、離宮の建設のスピードに驚いております」

 「ええ、わたくしもカメールの報告を聞くたびに、驚きの連続です。基礎工事をキナグリ公爵が受け持って下さったおかげですが‥‥」


 「はい、その様に報告がされていました。では、温室の方も工事を始めてよろしいでしょうか?」

 「ええ、どうぞ、開始して下さい。わたくしは植物の鑑定をするだけですから‥‥」

 「パール様は鑑定ができるのですか?」

 「はい、鑑定能力がないと我が国では生き残れませんでしたので、覚えました。公園内は植物が多く配置されるので、広域での鑑定が必要になりますが、まぁ、どうにかなると思っています」


 「公園内の温室では主に生活、衛生、治療に役立つ植物を栽培したいと考えていますが、毒成分の薬草も治療には必要です。ソーラー様は薬草の管理などの経験はございますか?」


 「はい、わたくしも鑑定魔法が使えますが、管理は、その‥‥、家門に頼る事になると思います」

 「そうですか、では、温室の設計図を拝見されて頂きます」

 

 パールは設計図と完成予想図を見て、ラオネル魔法塔主の映像を応用して3D画像を浮かび出した。ヨロピン7公爵家の二人は、驚いた表情で魔法陣を発動するパールを見ている。


 「わたくしが造る公園にとても合うデザインで良くできています。一般には植物園と考えてよろしいでしょうか?」

 「植物園とは?」

 「公園は平民も利用できる施設です。当然ですが、貴族の方とご一緒になる事はありませんが、年に数回、平民への一般公開も予定して頂きたいです」


 「この温室に平民も入るのですか?」

 「もう一つ建てられてもよろしいですけど、ガラス張りの温室の暖かさを、平民の皆様にも体験して欲しいと思っています。そちらの温室では、平民向けの薬草などを多く栽培して診療所へ供給して頂くと有難いです」


 「パール様はその‥‥、治癒魔法も習得済みと考えてよろしいでしょうか?」

 「はい、そうでなければ生きてはいせませんでしたので」

 「メゾンドオリザボシ帝国は絶対王制ですが、すべての国がそうとは限りません。国王陛下は、素晴らしい公爵様たちの中で、その地位を保たれていると常に感心しています」


 「‥‥‥」


 カチャサラ主席政務官とソーラー嬢は、少しの間、何も話さずに映し出された映像を真剣に見ている。


 「訂正案をお持ちして、もう一度、お伺いしてもよろしいでしょうか?」

 「はい、時間は沢山あります。新学期にお会いしましょう」


 (休暇中はご遠慮願いますよ~~)


◇◇◇◇◇◇


 新学期が始まり、研究室には大勢の学生が挨拶にやって来る。その中にはソーラー嬢も含まれていて、挨拶が終わると相談をしたいと申し出があった。


 「どうぞ、座って下さい」と、研究室のパールの部屋へ通してパールの話を聞く体制に入る。


 「温室の設計は一からやり直しておりまして、着工が大幅に遅れる見通しです」

 「そうですか、急いでいませんので、納得のいく温室が出来るのを楽しみにしております」


 「それで?」

 「実は、パール様の能力の高さに、父もわたくしも少し驚いております」

 「それは、ヨロピン7公爵家の持つ能力よりも、わたくしの方が上かと言う質問ですか?」


 ソーラーは、制服のスカートの上に置いた両手を震わせながら少しだけ頷いた。


 「ヨロピン7公爵家の能力は、人も鑑定する事が可能と言う事で合っていますか?」


 ソーラーは、驚いた顔でパールを見ているが、今度は頷かない。


 「ソーラー様は、今、お父上から試験を課せられていると思った事はございませんか?わたくしと年が近くて、研究員として同じ事業に参加されていますよね?しかし、あなたのお兄様は、そのようなチャンスはなかったのではないですか?国王陛下よりも5歳も年上でいらして、陛下には、筆頭政務官はお父様が付いて、つけ入る隙はございません。それに嫡男としての能力も足りていないのでは?」


 「いいえ!兄上は素晴らしく優秀で、わたくしよりも立派な人間で、わたくしとは違います」


 「ソーラー様は、わたくしや国王陛下を鑑定した事はございますか?」

 「いいえ、決してそのような失礼な事‥‥‥、わたくし‥‥‥」

 「では、鑑定してみてください」

 「え??」


 「大丈夫ですよ。この国でわたくしと陛下を、鑑定できる人間はいません。それが、皇室である意義で、わたくしが陛下の婚約者に選ばれた理由です。わたくしは、失礼ながらすべての人間を鑑定していますよ、何度も言いますけど、それでなければ生きられませんでしたからね。フフフフ‥‥」


 「しかし、食べ物の中に混入された毒は少し厄介で、薬とも毒ともなる植物の鑑定能力はイマイチで、必ず魔法陣や試薬などに頼っています」


 「ソーラー様はその辺はいかがですか?」

 「‥‥‥わたくしは、その、一度、体内に入れて鑑定しています」

 「え??毒見ですか?」

 「そうです、ヨロピン7公爵家の人間は毒には耐性がありますので体内で鑑定した方が早いのです」

 「それはお兄様もですか?」

 「いいえ、兄は口にしなくても毒の判別ができますし、対処法も即座に考える事が出来ます。ただ、治癒魔法の能力がないのです」


 「治癒魔法がなくてもいいのではないですか?解毒剤が作るれるのですよね?」

 「毒は、一刻を争い、時間との勝負だと父は常に言っています」


 「ソーラー様は治癒魔法が出来るのですね?」

 「多少です。本当は植物の成長を助ける方が得意で、いつも、植物に囲まれて過ごしていたいと思っていますが、公爵家の娘ではそれも難しいですよね‥‥‥」


 「まぁ、それではモモホラ様のように、温室に自室を設けて結婚まで暮らしてみてはいかがですか?」

 「そのような事、お父様がお許しになりませんわ!フフフフ」


◇◇◇◇◇◇


 翌日、カチャサラ主席政務官は、今度は息子のポードーを連れてパールの前に現われた。


 「先日は、娘が大変失礼を致しました。パール様と年が近く、友人として相談したようですが、身分を弁えない行為であると、厳しく叱っておきましたのでどうかお許し下さい」


 「大丈夫ですよ。わたくしもお友達感覚で色々聞けましたから‥‥」


 パールの言葉が終わると、二人は背筋を伸ばしてから思いっきり頭を下げる。(意外と気持ちがいい)


 「それで、今日はどのような事でしょうか?」

 「昨夜、娘と話し合いました。その中で、モモホラ様のように温室で暮らせればいいねと言われたと聞き、私もその通りだと思いました。息子のポードーは治癒魔法が使えませんが、薬草や薬があれば即座に対処できます。どうか、温室内に息子の部屋を頂けないでしょうか?」


 「そのような事‥‥、わたくしの一存では決められません!」

 「ですから、国王陛下にご説明に上がる前にご相談に来ました。ポードーは平民用の温室の責任者にして頂いて、治療院のお手伝いもします。治癒魔法が使えなくても薬で対処する勉強を積ませたいのです」


 「‥‥‥」

 「それと、キナグリ公爵家とエスカーション公爵家から助言を頂きまして、パール様の上下水道も取り入れさせていただきたいと、お願いに来ました」


 「‥‥あなた方3公爵家は意外に情報共有ができているのですね?驚きました」


 「はい、3公爵家は魔力持ち出すので、お互い隠し事をしても仕方がないと結論に達しました」


 「今回は、この情報で手を打ちましょう。これで、少し動きやすくなりました」


 

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